写真:沢木 慎太郎
地図を見る太平洋に突き出した日本最大の半島・紀伊半島。紀伊というのは昔の和歌山県の呼び名で、紀伊の南部を「南紀」(なんき)と言っています(和歌山県の人たちは「紀南」といいます)。
紀伊半島の最南端の地、和歌山県串本町にある潮岬は、北緯33度26分、東経135度46分にあり、これは東京の八丈島とほぼ同緯度というから、まさに南国ムードたっぷりな場所。
そして、この潮岬の断崖の上に建つ白亜の灯台が潮岬灯台。明治6年(1873年)に初点灯し、約100年もの間、海上交通の要として沖ゆく船を照らし続けています。
設計者は“日本の灯台の父”と呼ばれるイギリス人技師リチャード・H・ブラントン。
明治時代になって鎖国が解かれ、各国からの要請で建てられた日本最古の石造り灯台のうちの一つが潮岬灯台なのです。歴史の重みを感じる灯台の美しさに、思わずシャッターを押したくなってしまいます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見るこの黒ずんだ石を積みあげられた門が、潮岬灯台の入り口です。歴史を感じさせる重厚な石造りの門に思わず立ち止まってしまいました。
左側の木の扉がある部屋は、潮岬灯台に関する展示資料館。
潮岬灯台の仮点灯は明治3年で、当初は八角形の木造建築。日本で最初の洋式木造灯台とされています。アメリカから蒸気機関車のヘッドランプを取り寄せ、これを使って洋上を照らしていたというから驚きです。
明治11年に石造りの灯台に改築。その後、幾度かレンズを交換し、昭和59年に取り付けられた120センチの回転式レンズが今も使われています。
灯台脇に併設された資料館には、大正4年に設置された2代目の灯台レンズ(第2等不動レンズ)を展示。八角形木造の初代灯台の珍しい写真も見ることができます。
では、灯台の中へと入ってゆきましょう。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る灯台の中に入ると、びっくりしました。写真のように壁が石ではなく、なんと木造。木の壁に囲まれたらせん階段は68段。木の香りとぬくもりが感じられ、とても不思議な気持ちになります。
壁には時折、出窓のような窓がぽっかりと開き、陽光が石の階段を明るく照らし出し、ちょっと独自な空間が。灯台というよりも、西洋風のお洒落な建物を登っている気がしました。
灯台の高さは23メートル。最上階を目指し、68段のらせん階段をぐるぐると登ってゆきます。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る木の壁に囲まれたらせん階段を登ってゆくと、狭くて急な鉄の階段が突然に現れます。鉄板を踏みしめてひょっこり顔を出すと、そこはもう最上階。
目の前は、果てしない海の広がり。高さ30メートルの断崖に建つ潮岬灯台から沖を見ると、水平線が遠く、丸みを帯びているのがわかります。
激しく吹き荒れた台風のイメージしかない潮岬ですが、ここから眺める太平洋は明るく穏やかで、洋上がきらきらと輝き、眺めは最高。いつまでも水平線の彼方を見つめていました。
波に浸食され、縞模様の岩肌がどこまでも広がる潮岬。奇怪な姿をした岩が連なり、最寄り駅のJR紀勢本線(きのくに線)の串本駅から潮岬まで約7キロに渡って、美しいリアス式海岸が続きます。
写真の左側にある崖の上の建物は、潮岬観光タワー。ここのレストランで、『近大本まぐろ丼』という料理を食べることができます。これは、近畿大学が世界初のクロマグロ完全養殖に成功したマグロを食材に使ったもの。“全身トロ”とも称される近大マグロの味は格別です。
写真:沢木 慎太郎
地図を見る白亜の灯台のまわりを、トンビが気持よさそうに飛んでいます。ここは太平洋の荒々しい黒潮が打ち寄せるところ。
春から秋にかけ黒潮に乗って北上するクジラを、潮岬灯台から見かけることもあります。
潮岬は一年を通して温暖な気候に恵まれているため、海底にはテーブルサンゴの群生も。本州でも屈指のダイビングスポットとなっています。
また冬にはゆるくカーブした水平線から太陽が昇り、やがて水平線に沈んでゆく様子が見られます。つまり日の出と日没を同じ場所で見ることができる稀有な場所なのです。
そして潮岬灯台の近くには、航海の守護神を祭る潮御崎(しおのみさき)神社があり、断崖から吹きあげてくる海風を感じながら緑の小路を散策し参拝するのも心地よいです。
串本駅から潮岬方面へはバスが出ていますが、本数が少ないのでタクシーかレンタカーを利用されると便利。
潮岬は、大海原と大自然をたっぷりと満喫できるイチオシの観光スポット。南紀にお越しの際はぜひともお立ち寄りください。
■潮岬灯台
料金:200円(小学生以下無料)
時間:9:00〜16:00
定休日:なし
駐車場:1回300円
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2025/1/24更新)
- 広告 -