大野ヶ原は四国カルストの西側に広がります。四国カルストの代表的な風景である天狗高原と同じカルスト地形ですが、こちらは入植地であり、人が生活する小さな町になっています。四国でも有数の豪雪地帯である大野ヶ原。牧草地が広がり、サイロや木造の小屋が立ち並ぶ風景はまるで北海道を思わせるものです。
大野ヶ原の中心産業は酪農。カルストを利用した牧草地が一面に広がります。“天空の草原”といえる、四国カルストの中心である姫鶴平(めづるだいら)にも牧草地が広がりますが、大野ヶ原は人の生活がそこにあります。大野ヶ原には「ポニー牧場」があり、動物たちと触れあえます。規模は小さいですが、牧歌的な大野ヶ原の風景の中でポニーやヤギ、ウサギたちと触れあうと、まるでアルプスの少女ハイジの世界に来たかのような素敵な体験ができます。
また、ポニー牧場の近くにある「龍王神社」は山の上にありながら、漁業や海の神をまつる珍しい神社です。牧場の中にポツリと立つ社は、これも北海道を思わせてくれる独特の風景です。また、神社の裏手にある「小松ヶ池」は、カルスト地形のドリーネに水が溜まってできた池で、世界的にも希少なものです。ぜひ参拝しておきましょう。
大野ヶ原の飲食店は少なく、主にカフェの営業が中心ですが、「ペンションもみの木」や「ミルク園」が人気です。どちらも大野ヶ原でとれた美味しい牛乳や自家製の乳製品、濃厚なソフトクリームなどを楽しむことができます。
特に「ペンションもみの木」のチーズケーキは美味しいと人気。大野ヶ原の看板スイーツとして知られています。外はこんがりと焼かれていながらも、中は融けるようなトロトロの食感でチーズの濃厚な味わいが絶品です。ひとつひとつ手作りのため数量限定。休日には早々に売り切れるので、できれば早めの時間に訪れたいですね。
大野ヶ原でひときわ目につくのが町の頭上に広がるカルストの草原。これは1403mの頂をもつ「源氏ヶ駄馬」という山です。不思議な名前の由来は、源平合戦ののち、この地に落ちのびた平家の落人が、この無数の白い石灰岩を白馬に乗った多勢の源氏と見間違えて逃げ出したからと言われています。
現在は牧草地として放牧がおこなわれており、頂上までも簡単に登ることができます。農作業用の道路が解放されていますので、麓からのんびり歩いて登っていけます。頂上付近は放牧地の柵沿いに山道。頂上には頑丈な祠があるだけで遮る物は何もなし。愛媛・高知の県境となっており、険しい四国の山々の大パノラマと眼下に広がる大野ヶ原の風景を一望することができます。
源氏ヶ駄馬からの展望はどの方向も素敵ですが、特に秀逸なのが見下ろす大野ヶ原の風景。山の上に広がるカルスト台地がすべて牧草地になっており、その中心に大野ヶ原の小さな町があります。その町へ向かって下界から1本の道路が牧草地を貫いて大野ヶ原の町に向かっています。その風景は北海道のそのもの。それでいて、北海道の風景が幾重にも重なる深い山の上に突然と現れるのですから、とても不思議な光景です。
大野ヶ原は大人数が収容できる施設がなく、アクセスする道も細いことから観光バスが入りません。そのためとても静かな観光が楽しめます。静かにカルストの地形をハイキングしたり、美味しいスイーツを楽しんだり、北海道のような絶景の中をドライブするにはもってこいの場所です。
大野ヶ原へのアクセスですが、天狗高原・姫鶴平といった四国カルストの人気エリアを一緒に見るなら「地芳峠」から県道383号線を走行します。少し細い道ですが、カルスト台地と森の中を走る風景が素敵なドライブを楽しめます。どうしても細い道の運転は苦手!という方にオススメのルートは国道197号線からのアクセス。
国道197号線は愛媛県宇和島市と高知県須崎市を結ぶ走りやすい国道です。どちらも高速道路のインターがあるのでアクセスも容易。愛媛と高知の県境にある「高研山トンネル」の愛媛側に「緑資源幹線林道 日吉・松野線」の入口があります。大きな看板と電光掲示板が目印です。地図には小さく乗っている道ですが、実は全線2車線で離合の心配のない道路です。県道でアクセスするより大回りになりますが、すれ違いが心配だったり大型の車ならこのルートがお奨めです。
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