厚さ約5cmのケヤキ板を使った、99段の長い階段廊下は、何故か百段ではなく99段。
これには諸説があるそうですが、「百」という数字は完璧を表す意味があり、一段足りない事で、更に上を目指し続けるという意味がこめられています。
階段で結ばれた各部屋はそれぞれ趣向が異なり、各部屋の天井や欄間には、昭和初期を代表する画家たちによる、色彩豊かな日本絵画が描かれており、美の世界が繰り広げられています。
展示会は、それぞれの部屋の特徴を上手く活かしたものが多く、他では観られない、ユニークなものがあるので楽しめるでしょう。
7つの部屋の内、一番下にある広めの部屋。
天井には前室に8面、本間に15面、合計23面の襖仕立ての鏡面に荒木十畝による四季の花鳥画が描かれていて、柱や梁には、見事な黒漆の螺鈿(らでん)細工が散りばめられています。
また、障子などの建具の細工も素晴らしい。
荒木十畝は花鳥画を得意とする、明治〜昭和時代前期の日本画家で、非常に繊細な作風が知られています。
その花鳥画が引き立つように、落ち着いた雰囲気があるのがこの部屋の特徴ですね。
十畝の間の1つ上の部屋になります。
ここに入ってそのド派手さに、誰もが大きな歓声を上げる事間違いなし。
室内はすべて純金箔、純金泥、純金砂子で仕上げられ、彩色木彫と日本画に囲まれ、百段階段が絢爛豪華だと言われるのは、この部屋の存在があるからと言って間違い無いでしょう。
床柱は左右ともに巨大な檜で、精巧な彫刻 (中国の漁樵問答の一場面)が施され、また格天井には菊池華秋原図の四季草花図、欄間は尾竹竹坡原図の藤原時代上流風俗を極彩色浮彫され、廻り廊下は黒漆喰で、障子建具は火頭型の黒漆喰枠縁です。
欄間の尾竹竹坡原図は、五節句が描かれていて、一つ一つの絵を観ると、ちゃんとストーリー性があるのが面白いですね。
美人画の大家、鏑木清方が愛着をもって造った落ち着いた雰囲気の茶室風の部屋。
随所に扇を模ったものがあり、天井には扇面形杉柾板に四季草花、欄間の四季風俗美人画も扇型に描かれています。
奥の間の床柱は、貴重な径一尺五寸の北山杉の天然総絞丸太が使われており、廻り廊下の北山丸太を扱った化粧軒、障子建具、組子なども、非常に繊細に造られています。
展示会を観終わったら、こんな所もチェックしてみて下さい。それはトイレ!
総工費1億とも言われていますが、『百段階段』に負けず劣らずの煌びやかな装飾。
入口ではキンピカの美人画が出迎えてくれ、中に入ると更に驚きが。
なんとトイレの中に、川が流れているのです。そしてその川に架かる朱塗りの橋。川の中には、誰が投げたのか小銭がたくさん(笑)。
格天井にもやはり美人画。扉は朱塗りで螺鈿(らでん)細工が施されています。
トイレ内は広くゆったりとして、和式かと思われるかもしれませんが、そこは最新式の洋式なのでご安心を。
そんな贅沢な空間造りしている為、トイレは3室のみ。順番待ちの人でいつも賑わっています。
百段階段は、名だたる日本画家の名画や繊細な様式美を観られるのが特徴ですが、こんな風にコラボレーションされていると更に楽しめます。
今回は、2016年5月15日まで開催されている、生け花とのコラボレーションの写真をご紹介しましたが、頻繁に展示会は開催されています。
生け花以外では、「和キルト」「和あかり」「ひな祭り」などがありますが、あの假屋崎省吾さんも定期的に作品展をやっておられます。
目黒駅からは、シャトルバスも出ているので、アクセスが良く、もちろんホテルなので宿泊や食事をする事も出来ます。
ホテル内を散策するだけでも楽しいですが、ぜひこの機会に、絢爛豪華な『百段階段』の世界を見に行って下さい。
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(2023/11/29更新)
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