写真:Hiroko Oji
地図を見るデンマークの首都コペンハーゲンから列車で北へ1時間もかからず到着するのは、港町ヘルシンオア(Helsingor)。対岸のスウェーデン・ヘルシンボリ(Helsingborg)とフェリーで結ばれていて、わずか20分ほどの船旅で行き来することができます。
鉄道駅とフェリーターミナルは隣接しており、そこから湾を挟んで見えるのが、世界遺産のクロンボー城。シェークスピアの戯曲「ハムレット」の舞台としても名を知られている古城で、ヘルシンオアのシンボルです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るクロンボー城(Kronborg Slot)は、15世紀に通行税徴収を目的としてエリーク7世王が造ったものですが、一旦寂れた後、1574年フレデリック2世の命を受け、要塞機能の再強化ならびに王宮としての機能追加を目指し、大規模な改修工事に着手されました。1585年に完成したものは、三階建てで四方を翼廊に囲まれており、塔を備えた大規模なルネサンス様式の建造物でした。1629年には火災によって焼け落ちてしまいましたが、礼拝堂だけはアーチが頑丈であったために失われずにすんだとのこと。クリスチャン4世によって直ちに、初期バロック様式を導入して修復された城は、その後、幾度かの戦争とその度の改修を経て、1924年、現在の姿に落ち着きました。
壕と堅牢な城壁に囲まれ、北東入り口の向かいの壁にはシェークスピアの胸像レリーフがあり、訪れる人々を出迎えています。レリーフ下部には王子ハムレットについての記述もあります。
毎年夏には、中央に噴水があり石畳に覆われたお城の中庭を使って、「HAMLET SOMMER」の演劇が上演されています。上手く時間が合えば、是非演劇鑑賞をお楽しみくださいね。
写真:Hiroko Oji
地図を見るほぼ四角型のクロンボー城は、北棟は王の住居、西棟は王妃の住居でデンマーク・ルネッサンス様式の建物です。東の棟には、王族の部屋や厨房が入り、南棟は礼拝堂となっています。礼拝堂内部の装飾はフレデリック2世当時のもので、祭壇をはじめパイプオルガンや説教壇、壁面など金色がアクセントになる装飾がとても美しいです。
城内には、国内最大規模と言われる航海博物館があり、また、豪華な天蓋付きベッドや玉座、家具など配した部屋、トランペット奏者の塔、北欧一と言われる大ホールなど見学できます。そのホールの一角には、「ハムレット」上演に使用された衣装も展示されています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る地下には兵舎や地下牢があり、ひんやりとした地下室の片隅に剣と円形の楯を手にして腰掛けて眠る、デンマークの伝説の英雄ホルガー・ダンスク(Holger Danske)の石像があります。彼はデンマークの危機には数百年の眠りから覚めて祖国を救うと言われています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るお城を取り囲む内壕の周囲を歩いて回ると1時間ほどもかかるほど広く、土手には海に向かって並ぶ大砲群が、今でも城を守るかのように残されています。そのそばをライフル銃を携えた兵士が歩いていると、繰り返されていた戦争当時に戻ってしまったかのような気持ちにさえなってきます。
デンマークは、対岸のスウェーデンに比べてアルコール類が安いので、このヘルシンオアには、ヘルシンボリとの間を往復するフェリーを利用して、大量のビールやウイスキーなどを買い込みにくるスウェーデン人がたくさんやって来ます。このフェリーは頻繁に運行されており、クロンボー城と合わせて日帰りで対岸のスウェーデンの観光も可能です。是非足を延ばして観光を楽しんできて下さいね。
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この記事を書いたナビゲーター
Hiroko Oji
旅の計画を練り、現地でその土地ならではの経験を楽しみ、帰ってきたら写真の整理をして旅行記や記事を書くと、一つの旅で3〜4回楽しんでいます。アメリカで大自然の偉大さに圧倒され、人生観が大きく変わりました…
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