「あじさい祭」が開催される下田公園は、伊豆半島の東南端・下田港の湾口近くにあります。標高60mの岬全体が公園になっており「伊豆急下田駅」から徒歩で約20分の場所。
公園には、約15万株、300万株の紫陽花が群生し、6月上旬からの見頃の時期に合わせて「あじさい祭」が行われます。紫陽花は、自生する「ヤマガクアジサイ」の他、「ブルーキング」「アナベル」など、外国種の紫陽花も植えられていて、広大な敷地を埋め尽くすように咲いています。
遊歩道など、園内の至る所で見られますが、こちらの公園東側にある「あじさい群落」が一押しの見所になっています。威勢良く咲き乱れ、紫陽花で遊歩道が見られなくなっているほど。まるで、紫陽花の迷路かのように所狭しと咲いていて、見ているだけでも、紫陽花独特の香りが漂ってくるようではありませんか?
紫陽花園は岬の高台にあるので、紫陽花越しに市街地を一望することができます。眼下に広がる市街地は下田市の街並、左側に見える三角形が美しい山は「下田富士」です。
下田富士は、その昔「駿河富士」(現在の富士山)、八丈島にある「八丈富士」と、三姉妹であったとの民話が残され、火山の名残が見られる山で、世界ジオパークに期待がかかるジオサイト(見所)でもあります。街の中心部にそびえたつ下田市のシンボル的な存在なので、是非見ておきたい景色です。
下田公園は、戦国時代に下田城(鵜島(うじま)城)が置かれていた城跡に公園があります。そのため、公園の頂上には、城で一番重要な役割をしていた「天守台跡」があり、紫陽花を見るには格好の場所! 見晴らしが良く、眼下に紫陽花を見下ろすことができ、まるで殿様になった気分で見られます。遊歩道を歩く人の姿や、下田市街も一望できるお勧めの場所です。
天守台跡は、開国記念碑からあじさい群落地へ向かう途中の、山頂分岐点から階段を約40m上がるとありますが、舗装などされていないため、歩きやすい靴で行くのが良いでしょう。ここまで来る人は意外に少なく、静かな環境の中、東西南北の違った景色を楽しめる穴場スポットです。
先に述べたように、この公園は下田城跡が置かれていた史跡なので、歴史的な遺跡も見ておきたいところ。公園になっている岬全体が、城としての役割を果たしていて、先程の天守台跡の西側には、このような「空堀」があります。ただ、抉られているだけの大きな穴のように見えますが、これは、敵への阻害の目的で作られた堀の跡です。
遺跡はこれだけではありません。公園の東側にある「あじさい群落」は、山腹を削って平たくした「腰曲輪(こしぐるわ)」だったところ。西側にある眺めの良い「お茶ヶ崎展望台」は、敵を監視していた「物見櫓」の跡。まつりの期間中、出店などのブースが出ている「開国広場」は、平たく削った「曲輪(くるわ)」だったところです。
城跡が上手く使われていて、何気ないところが史跡だなんて驚きですよね。知らず知らずのうちに城めぐりをできてしまう、面白いところでもあるんですよ。
公園には、アメリカのカーター大統領が来日した記念碑や、下岡蓮杖碑などの記念碑があります。下岡蓮杖は、初代アメリカ大使「ハリス」の通訳だった「ヒュースケン」から、写真の取り扱い説明などの写真技術を得て、横浜に日本初の写真館を開き、日本営業の写真の開祖と呼ばれる人物。開国の時代の流れにのって成功を遂げ、写真館の他、乗合馬車や玉突場を経営した器用人で、その業績を讃えられて、記念碑が建てられいます。
下田にゆかりのある偉人なので、是非探してみては如何でしょうか? この碑の近くには、お茶などを頂けるお店があるので、歴史を感じながら一息ついても良いですね。
あじさい祭が行われる6月は、下田港で水揚げされる金目鯛が美味しくなるシーズン。あじさい祭に併せて「きんめ祭り」も同時開催されるので、市内のお店で金目を使った美味しい料理を堪能されても良いですね。
下田市は、幕末の開国の歴史が色濃く残っており、公園の近くにはペリー提督が上陸した「ペリー上陸記念碑」もあります。上陸の際、ペリー提督が下田城跡を訪れ、カタツムリを見つけ持ち帰ったようで、そのカタツムリは「シモダマイマイ」と名付られたそう。シモダマイマイは、個体差が激しいですが、小型で虎斑が美しいカタツムリのようで、紫陽花にも付いているかもしれませんよ。興味のある人は、探してみるのも面白そうですね。
あじさい祭が開催される下田公園は、駐車場が有料になります。圧巻されるくらいの紫陽花の量で、日本でも有数の見所です。下田の夏を彩る「あじさい祭」へ、是非お出掛けしてみては、如何でしょうか?
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