写真:やまざき にんふぇあ
地図を見る日本中から参拝者の絶えない善光寺ですが、そもそも善光寺に祀られているのはどのような仏像なのでしょうか。なぜ、ここまで愛されているのでしょうか。
善光寺の本尊は一光三尊阿弥陀如来です。インドから朝鮮半島にあった百済国に伝えられ、そして552年に日本へ運ばれたとされています。642年に現在の場所に移され、644年に本田善光という人物により善光寺が建立されました。有名になったのはずっとあとの平安時代であり、当時は女人禁制の寺がほとんどでしたが、善光寺は創建当初から性別・宗派・身分を問わずすべての者を救うとされ、全国から参拝者が絶えず訪れるようになりました。諸説ありますが仏像としても日本最古のものであり、日本で最も多くの人を救ってきた仏像と言っても過言ではありません。
太古から多くの人を差別なく救ってきた一光三尊阿弥陀如来ですが、その懐の深さを表すスポットが善光寺内にいくつか点在していますので、さっそく紹介します。
写真:やまざき にんふぇあ
地図を見るまずは日本忠霊殿です。昭和45年に建てられた日本唯一の仏式による巨大な霊廟で、戊辰戦争から太平洋戦争まで240万人もの英霊を祀っています。1階には資料館が併設されており、仁王門に祀られている仁王像の原型を始め多くの宝物を展示しています。あらゆる人を受け入れる善光寺の懐の深さを最も感じられるスポットです。
写真:やまざき にんふぇあ
地図を見る善光寺には、むじな灯籠という奇妙な名前の灯篭があります。この灯籠にはちょっとかわいそうな伝説が残されているのです。
ある時、下総国(今の千葉県)のむじなが、狩り(つまり殺生)をしなければ生きていけない自分の罪を恥じて、人間に化けて善光寺に参拝しました。むじなは善光寺に灯籠を寄進しようと考えていたのですが、宿坊で元の姿に戻って入浴していたところを見つかり逃げだします。むじなのことを不憫に思った当時の宿坊の住職が、代わりに灯籠を建てたそうです。
せっかく千葉県から参拝しに来たのに何ともかわいそうな話ですが、人間だけではなくて獣ですら受け入れる善光寺の懐の深さを感じる伝説です。
写真:やまざき にんふぇあ
地図を見る善光寺で供養しているのは人間や獣だけではありません。1937年、生け花にされた花を供養するために善光寺近郊の華道関係者により花霊碑まで建てられました。
生け花のために切られてしまった花まで供養してあげるとは、何とも心優しいですね。
写真:やまざき にんふぇあ
地図を見る日本では年間20億通もの郵便が配達されています。事務的な連絡もあれば、心をこめて友人や恋人に手書きしたものもあるでしょう。ですが、配達トラブルや宛先ミスなどで何と年間180万通もの郵便が宛先にたどり着くことも、元の送り主の元に帰ることもできなくなってしまうと言われています。
そんな郵便を供養するのが、この迷子郵便供養塔です。無生物とは言え、使命を果たすことも帰ることもできないなんてさすがにかわいそうですね。ぜひこの供養塔で成仏してほしいものです。
いかがでしたでしょうか。
迫力のある重要文化財の山門や、国宝であり国内最大規模の木造建築である本堂などが注目されがちな善光寺ですが、一見小さくて地味な碑や供養塔にこそ善光寺の「すべての者を受け入れる」という懐の深さが隠されています。
善光寺を訪れてみれば、きっとあなたも「なぜここまで愛されてきたのか」が実感していただけるはずです。
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(2024/10/5更新)
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