写真:Hiroko Oji
地図を見るイタリア北西部のアオスタ渓谷は、フランスやスイスと国境を接し緑溢れる谷と4000メートル級のアルプスの山々に囲まれ自然が魅力の地。古来からアルプス越えの要衝地で、かつてはスイスとの間にあるグラン・サン・ベルナール峠、今はフランスとの間のモンブラントンネルが重要な交通路です。戦略的にも重要な地だったため、中世のお城や見張りの塔が点在する地域でもあります。
そんなヴァッレ・ダオスタ州の州都「アオスタ」の町中には、2000年前のローマ時代の遺跡が点在し、観光の中心となっています。
写真:Hiroko Oji
地図を見るアオスタの町を造ったのは、初代のローマ皇帝アウグストゥス。町の北東端に、彼の名前にちなんだ「アウグストゥス帝の凱旋門」が建っています。
アウグストゥスはカエサルの後を継ぎ、内乱をおさめて地中海世界を統一したローマ帝国の初代皇帝。ローマのコンスタンチィヌスやセヴェルスの立派な凱旋門に比べるとかなり小ぶりですが、しっかり残るローマ時代の姿です。
<アウグストクス帝の凱旋門の基本情報>
住所:Piazza Arco D’Augusto 11100 Aosta
写真:Hiroko Oji
地図を見る町の東の城門にあたる「プレトリア門」は、紀元前1世紀に造られた城壁の一部で二重になっています。
中央に馬車用の大きな入口とその両側に通行人用の入口、合計3つの通路があり、かつては弾薬庫兼関所として使われていた時期もありました。この城門は保存状態がきわめて良好。一角には観光案内所が入っています。
<プレトリア門の基本情報>
住所:Piazza Pretproane 11100 Aosta
写真:Hiroko Oji
地図を見るプレトリア門の北側にある「古代ローマの円形劇場跡」へ行ってみましょう。円形劇場と言っても正確には闘技場のことですが。
この円形劇場の建設が始まったのはアウグストゥス帝が町を築いた紀元前25世紀から数十年後のこと。幅81メートル、長さ64メートルの面積を占めていました。
写真:Hiroko Oji
地図を見る敷地内では発掘された遺跡が当時の姿に修復され、保護のために板敷で鉄柵のある通路が設けられています。
劇場跡で幅や高さの異なるアーチが3層に重なる見事なファサードは一番目立つ存在で高さ22メートル(ローマのコロッセオは48メートル)。半円形の石造りの客席は4000人の収容力があったものです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るローマのコロッセオよりかなり小規模ですが、その保存状態はとても良いものです。背景に見えるのは、西にモンテ・ビアンコ(モンブラン、標高4808メートル)やグランド・ジョラス(4202メートル)など、北にグラン・コンバン(4314メートル)やモンテ・チェルヴィーノ(マッターホルン、4478メートル)などといった、贅沢なアルプスの眺めが広がります。
<円形劇場跡の基本情報>
住所:Via Baillage,2 11100 Aosta
写真:Hiroko Oji
地図を見るアオスタのドゥオーモであるサンタ・マリア・アッスンタ大聖堂。入口部分は、フレスコ画や扉上部のタンパンに施された色鮮やかなテラコッタや繊細なレリーフ装飾などが美しい建物です。
大聖堂の最初の建設は4世紀後半。ローマ帝国でキリスト教も認められるようになったのは紀元313年、その後アオスタにも教会が建てられました。現在の建物ができたのは11世紀で、12世紀〜14世紀の間に何度か改築・改装されました。14世紀末には大聖堂のすぐ前に建っていたサン・ジョヴァンニ教会が壊され、合併して1つの大きな聖堂になったのが今日に残っています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る入り口正面のアーチ内側の壁にはフレスコ画、半月型のルネッタの中は彩色したテラコッタが施されています。
テラコッタ部分はテーブルのようなものの周りに人々が並んでいるので「最後の晩餐」のように見えますが、これは「被昇天の聖母」の場面。聖母自身はルネッタを飛び抜けて、三角の部分に天使2人に支えられ雲の上にいます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る聖堂内に入るとタイルのモザイク画がある床が美しく、床の一角には柵に囲われた八角形のガラス窓があり、地下回廊の一部を見ることができるようになっています。祭壇や壁面のフレスコ画、天井画のみならず、聖職者用の椅子も素晴らしく、見事な木工工芸の装飾が施されています。
聖遺物箱やアウグストゥスの凱旋門を飾っていた14世紀のキリスト十字架像など展示されている宝物館もお見逃しなきように。
<サンタ・マリア・アッスンタ大聖堂の基本情報>
住所:Via Laurent Martinet,16 11100 Aosta
電話番号:+39-0165-40251
開場時間:6:30〜20:00(日・祝)7:00〜20:00
写真:Hiroko Oji
地図を見るプレトリア門から東に延びる通りを少し北に入ったところには、11世紀創建のサントルソ教会が建っています。12世紀の四角い塔の鐘楼があるロマネスク様式の教会で、アオスタの聖人オルソを祭っています。見どころの一つが床のタイルモザイク。保護のための厚いガラスを通して見られます。また聖職者達が位の高い順番で座った長椅子に施された木彫り彫刻が素晴らしく見逃せません。
教会前には、樹齢2000年と言われるリンデンバウム(西洋菩提樹)が根を張っています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る古い石造りの井戸がある芝生に覆われた中庭を囲む回廊には、素晴らしい柱頭装飾のある列柱とアーチが並びます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る柱頭に施された彫刻はひとつ一つ違ったデザインで、人間や動物の姿が彫り込まれています。
<サントルソ教会の基本情報>
住所:Via Sant’Orso,14 11100 Aosta
電話番号:+39-0165-262026
開場時間:(3月1日〜9月30日)9:00〜20:00 (10月1日〜2月28日)9:00〜18:30
写真:Hiroko Oji
地図を見る大聖堂から徒歩数分にある考古学博物館には、ヴァッレ・ダオスタ州から発掘された出土品が数多く収められています。
写真:Hiroko Oji
地図を見る館内に並ぶのは新石器時代からローマ時代にかけての出土品の数々。
見学しやすいように通路が設置された地下遺跡の空間があり、そこを出ると数室に分かれてヘラクレスの頭部銅像をはじめ、装飾品や壺や建物を飾っていた様々な壁面レリーフなどが展示されています。
<考古学博物館の基本情報>
住所:Piazza Pierre-Leonard Roncas,12 11100 Aosta
電話番号:+39-0165-275902
開館時間:9:00〜19:00
写真:Hiroko Oji
地図を見る一旦外に出て大聖堂との間にある中庭の片隅にある地下への階段を下りると、古代ローマの「地下回廊(クリプトポルティコ)」につながります。
ここはかつての公共広場だった所。地下の中にアーチ型の天井と柱がずら〜っと続く広い通路ができており、幻想的な雰囲気が漂っています。古代ローマ時代に北の寒いアオスタでも人々が集うことができる場所として造られました。
<地下回廊の基本情報>
住所:Piazza Papa Giovanni,13 11100 Aosta
電話番号:+39-335-798-1505
開場時間:9:00〜19:00
ローマ時代の遺跡が見応えたっぷりのアオスタの町をご紹介しましたが、お楽しみはそれだけではありません!背後の山上へも足を延ばしてみましょう。
ピーラ山はアオスタの町外れからロープウェイに乗り20分かからずに到着する、標高1814メートルのスキーリゾート地。レストランも併設されています。さらに15分ほどチェアリフトに乗り継いで、標高2310メートルのシャモーレまで行くこともできます。 冬だけでなく、夏にはハイキングやサイクリングで高山植物や湖の自然を楽しむことができ、アオスタの町並みに加えアルプスの山々が一望できますので、ぜひ足を延ばしてみてくださいね。
2020年9月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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