写真:Lady Masala
地図を見る旅行前に最新のガイドブックを手に入れましょう。博物館のフロアマップを見ながら「どの展示に興味があるか」と、タイムリミットを考慮した「優先順位」を決めておくと、見学当日にあれこれと迷って時間を無駄にすることがありません。
800万点もの美術品や書籍を収蔵しているという大英博物館はとても広く、まるで迷路のよう。そこで必要になるのがフロアマップです。要所に案内図がありますが、マップを持っていると便利です。
日本語のものがわかりやすいですが、特別展開催などで、展示室が入れ替わっていることもあります。手持ちのガイドブックが最新版でない場合は、館内で購入できる英語のマップを入手しましょう。
館内では、ガイドツアーが催行されています。英語ではありますが、そのコースが自分の興味と重なる場合には、それに参加するのもよいでしょう。日本語の解説を聞きながら見学したいのなら、有料のオーディオガイドがお勧め。厳選された展示のみの解説になりますが、所要時間は90分から120分です。
写真:Lady Masala
地図を見る館内を見学できる時間が非常に限られているという場合は、大英博物館のエッセンスが凝縮された「Enlightenment(エンライトメント)」(展示室1)を見学しましょう。設立250周年を記念して2003年にオープンした常設展です。
日本のガイドブックでは、「科学の夜明け」などと意訳されることの多い「エンライトメント」。直訳は「啓蒙主義(思想)」で、人間は、人種や宗教、文化を超えて、共通した理性を持っており、その理性によって世界の法則を理解しようという思想のこと。
科学の発展と宗教との分離を促したといわれているこの思想は、17世紀後半にイギリスで興り、18世紀にはヨーロッパ全体に広まりました。
「エンライトメント」は、大英博物館では最古の展示室、もともとはジョージ3世が所有していた蔵書が保管されていた場所にあります。そのためか、その空間に一歩足を踏み入れると、個人の邸宅の書斎に招かれたような温かく寛いだ雰囲気を感じることができるでしょう。
2階部分を飾るぎっしりと古書が詰まった本棚や、ディスプレーの合間に展示されている貴重な書物が、ここがかつては図書室であったことを物語っています。
写真:Lady Masala
地図を見る「エンライトメント」に展示されているのは、つくられた年代はさまざまですが、世界中から集められたという貴重な品物ばかり。それらを題材に研究を進めていた18世紀の学者や知識人たちは、自分たちの持つ世界観とは異なる物や考え方に偏見を持つことなく、ありのままを理解しようと努めたといいます。
例えば、キリスト教では迷信や偶像崇拝を排除してきましたが、異教の儀式や教理を否定することなく、そこにキリスト教との共通性を、さらには、あらゆる宗教のなかにある普遍性を見出そうとしました。
さまざまな事象を科学的、理性的に検証しようと試みた時代を象徴するだけに、この展示室には、ミイラをつくる際に臓器を保存したというエジプトの「カノプス壺」をはじめ、イスラム風の植物模様が美しいトルコの「イズニク陶器」、いくつものアヴァターラ(化身)の姿を現すインドの「ヴィシュヌ像」など、まさに古今東西のありとあらゆる貴重な資料が一堂に会します。
否定的に捉えていた未開の文化に興味を覚え、研究しようと努めた「エンライトメント」。展示室を見学していると、この時代の学者たちが感じたであろう興奮がそのまま伝わってくるようです。
大英博物館には、世界中から集められた貴重な展示品の数々が収蔵されています。館内は、地域・年代別に展示室が分かれていますが、「エンライトメント」を訪れることで、それらの垣根を飛び越えた、ありとあらゆる珍品を見ることができるのです。
旅行日程が限られている場合でも、ぜひとも大英博物館には足を運んでみてください。短い時間でも、博物館のエッセンスに触れることができるはずです。
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この記事を書いたナビゲーター
Lady Masala
旅とマーケット、蚤の市めぐりが大好きな庶民派ロンドナーです。ロンドンを中心にイギリス、ヨーロッパの見どころを歴史や文化とともに紹介いたします。また、趣味で集めているアンティーク・ヴィンテージ食器の魅力…
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