朝倉氏遺跡は、この山あいに流れる一乗谷川を挟んで、山城(朝倉氏の居城跡)と復元された城下町の二つのエリアにわかれている。まずは復元された城下町を訪れてみよう。
戦国大名の中でも文化人として知られた朝倉氏の治めるこの地は、多くの文人や商人が訪れ北陸の「小京都」と呼ばれ繁栄していた。
今ここには、当時の武家屋敷や庶民の住む町屋などが映画のセットのように再現されている。家々の中も見学ができ、台所や井戸、中庭、厠、店舗など、当時の暮らしの様子をリアルに感じることができる。
また、侍の甲冑やお姫様の小袖の着付け体験ができるコーナーがあるので試してみてはいかがだろうか。当時の衣装に着替えればさらなるタイムトリップ感を味わえるかも?
戦国時代の城は基本山城で、執政の場というより軍事拠点だった。城エリアは、城下町エリアから濠を挟んだ山裾にあり土塁がめぐらされている。シンボルである入り口の「唐門」をくぐると朝倉氏の広大な御殿や庭園の跡が点在し、山城は背後の山頂に築かれている。
建物はなく礎石などが残るだけだが、草が生い茂る広い平地に規則正しく並ぶその跡を見ていると、ここにあった荘厳な大屋敷の姿が目に浮かんでくるようだ。
少し奥に上ると「湯殿跡庭園(ゆどのあとていえん)」という、戦国時代の気風漂う荒々しい巨石を使った庭園がある。他にも石を使った庭園跡がいくつかあり、そのダイナミックかつ綿密な構成美は国指定特別史跡・特別名勝となっている。
地元のボランティアの方が遺構の説明や朝倉氏の歴史をガイドしているので、姿を見たらぜひ話を聞きにいこう。遺跡は見学しただけでは古いものを見てそれで終わりになってしまうが、ガイドの話を聞き歴史の背景を知ると、この地でかつて起きたことの臨場感をよりいっそう味わえる。
さて、復元城下町と朝倉氏の屋敷・庭園跡の見学だけでも十分に雰囲気を満喫できるが、時間と体力があれば山頂の一乗谷城攻略にも挑戦してみよう。山頂には本丸(千畳敷)、一の丸、二の丸、三の丸の遺構が尾根や谷筋伝いに現存している。
急こう配の道を片道約1時間は歩くことになるが、途中で多くの土塁や竪堀、曲輪、空堀跡など、中世の山城の仕組み・構造をたっぷり楽しむことができる。
山頂からは福井平野が一望でき、天気が良ければ三国港、日本海まで見渡せる。
復元城下町はテーマパーク的なおもしろさだが、遺構側は、川の流れと山々の緑、木陰、季節ごとの花など昔のままの自然の風景があり、ピクニック気分で山歩きを楽しめる。ただし夏場は水分の確保と虫よけの準備を忘れずに。
福井県で食べるお蕎麦は、大根おろしと鰹節を添えた「おろし蕎麦」が一般的だ。
一乗谷の周辺には「一乗谷あさくら水の駅」や「一乗谷レストラント」などおろし蕎麦が食べられる食事処は点在するが、小腹を満たすのが目的なら復元城下町の入り口にある売店のおろしそばが量が少なめでおすすめだ。ついでに屋台で売っている団子もおいしい。
一乗谷城は日本100名城(にほん100めいじょう)に登録されているので、ここで記念のスタンプも集めることができる。
400年間忘れられ土に埋もれていた中世の城下町が現代によみがえった…まさにここは日本のポンペイのよう。
近年、携帯電話会社のCMキャラクターである「白い犬」の故郷という設定になり知名度が上がったことと、北陸新幹線が金沢まで開通したことで観光客は増えているそうだ。
この静かな「廃墟」的なたたずまいは、新幹線が福井まで延伸したら失われるかもしれない。そう思うと静かなうちに行っておきたい場所でもある。
肌で戦国時代の息吹を感じられる隠れ里、一乗谷。歴史好きな人はもちろん、そうでない人もぜひ一度お出かけください。
なお、毎年8月には「越前朝倉万灯夜」と「越前戦国まつり」が開催され、戦国時代さながらの火縄銃の砲煙を見ることができる。日が暮れると15,000個のキャンドルが灯されて、昼間とは違う幻想的な夜を楽しめます。
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