写真:野水 綾乃
地図を見る「野木町煉瓦窯」は、かつてこの地で操業していた下野煉化製造会社の煉瓦窯で、明治23年に築造されました。効率よく連続して煉瓦を製造するために考えられた窯で、改良したドイツ人技師の名をとって「ホフマン式輪窯」と呼ばれています。外観を見ても分かる通り、十六角形のひとつひとつが入口の付いた窯になっていて、16室の窯を火が順番に回ることで、搬入から予熱、焼成、冷却、搬出までを繰り返し行えるようになっています。
このホフマン式輪窯、昭和26年には全国に26基ありましたが、現存するのはわずか4基のみ。そのひとつが「野木町煉瓦窯」で、しかも初期の円形のものはほかにないそう。近代化産業遺産として貴重な煉瓦窯は、国の重要文化財にも指定されています。
これまでイベントで限定公開されることはありましたが、5年間の改修工事を終え、2016年5月より「野木町煉瓦窯」として常時見学ができるようになりました。
写真:野水 綾乃
地図を見る煉瓦窯内の見学は、ボランティアガイドの解説付きの見学ツアーに参加しましょう。所要時間は約30分、1日7回開催されています。見学ツアーの参加は100円、中学生以下は無料です。
用意されたヘルメットをかぶり、まずは窯の1階から見学します。ここに生の煉瓦を天井まで積み上げて焼成していました。天井に開いた四角い穴から粉炭を投じていたこと、空気の流れを仕切るために新聞紙を張り合わせた大きな紙を窯と窯との間に使っていたことなど、ガイドさんの解説とともに巡ると窯の仕組みについての理解が深まります。ほかにも1階では、煉瓦窯で働いていた方に聞いて再現した焚き口などを見ることができます。
写真:野水 綾乃
地図を見る一旦外に出て外階段を上っていく窯の2階には、また迫力ある光景が広がっています。鉄製の丸い蓋がいくつも並んでいるのは「投炭孔」といい、ここから下の窯へ燃料となる粉炭を投げ入れていました。両脇には粉炭を運んだトロッコのレールも残されています。
2階の中央には天井までそびえる煙突部分を見ることができ、ダンパーの開閉により空気の流れを調節していた仕組みなどを知ることができます。
写真:野水 綾乃
地図を見る野木町煉瓦窯のオープンに合わせて敷地内に開館した「野木ホフマン館」には、地産地消をテーマにしたカフェレストラン「こびとカフェ@陽だまりレンガ広場」が併設されています。
おすすめは、本格専用窯で焼き上げるピッツァ。栃木県産小麦「ゆめかおり」と天然酵母を配合した生地がもっちもちで、野木町産トマトなど地元野菜の具材とも相性抜群です。ほかにも野菜たっぷりの煉瓦サンドや野菜カレーなどがリーズナブルな価格で楽しめます。
写真:野水 綾乃
地図を見る野木町煉瓦窯から徒歩10分。「新井家ふるさと記念館」では当時の煉瓦窯で焼かれた煉瓦でできた建物を見ることができます。
こちらはかつて製糸工場だった場所で、煉瓦造りの建物は養蚕棟として建てられました。18代当主の新井元之助さんは下野煉化製造会社の顧問も務めており、製品にならない屑煉瓦を使い、煉瓦積みの職人養成を兼ねてこの建物を建造させたそうです。積み上げられた煉瓦にはいびつな形や色の黒いものもありますが、当時の職人の丁寧な仕事ぶりが感じられます。
新井家ふるさと記念館は個人宅のため、敷地内・建物内を見学する場合は事前にお問合せください。
いかがでしたでしょうか。日本の産業革命と明治の薫りを感じられる貴重なスポットです。
また、野木ホフマン館には周囲の散策に便利なレンタサイクルが用意されています。近くにはラムサール条約登録湿地の「渡良瀬遊水地」が広がっていますので、サイクリング気分で散策してみてはいかがでしょうか。
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(2024/3/19更新)
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