台湾南端、旧型客車で行く南国鈍行列車の旅〜台湾鉄路南廻線乗り撮り歩き

台湾南端、旧型客車で行く南国鈍行列車の旅〜台湾鉄路南廻線乗り撮り歩き

更新日:2016/05/19 17:03

もんTのプロフィール写真 もんT チューター、フリーライター
台湾の南端、枋寮と台東を結ぶ南廻線。南国の緑豊かな自然と、海あり山ありの風景の中を走る、台湾でも人気の鉄道路線です。今、この路線で特に注目なのは、1往復のみ運行されている普通列車。日本製の旧型客車が、今なお現役で最後の活躍を見せています。旧型客車に揺られて、南廻線を鈍行列車で旅してみましょう。

台湾鉄路南廻線と旧型客車について

台湾鉄路南廻線と旧型客車について

写真:もんT

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台湾は鉄道利用で、島をほぼ大きく一周することができます。今回旅する南廻(なんがい)線は、その環島鉄道網をなす一番南の区間で、1992年に全線開業した路線。海岸沿いや山岳地帯を走り抜け、車窓からはダイナミックな風景が展開します。台湾でぜひ乗っておきたいローカル線です。

路線の起点は枋寮(ファンリァオ)駅。高雄駅からは、特急「自強号」や急行「莒光号」で、およそ1時間から1時間20分で到着です。特急・急行列車は、そのまま南廻線に乗り入れていきますので、先を急ぐのであれば、そのまま下車せずに快適な旅を楽しめますが、今回おススメしたいのは、旧型客車を使った鈍行列車の旅です。

南廻線は、特急・急行は1日に15往復も運行されているのですが、各駅に停まる普通列車はたったの2往復のみ。そのうちの1往復が、エアコンなしの古い客車を用いた鈍行列車です。時刻表上では「普快」と記されています。

この旧型客車、実は1960年代から70年にかけて、日本から輸入されたもの。外観や内装こそ少し違いますが、車両自体はかつて日本全国で見られた旧型客車と同じものなんです。(日本では今やその走る姿は、大井川鉄道や津軽鉄道、それにJR東日本で運行されるイベント列車でしか見られません)

台湾では、この日本製の客車が大切に使用されてきましたが、老朽化によりとうとう南廻線の1往復のみに…。車両の置き換えも時間の問題か…ということで、ノスタルジーを求める旅行者にとって、今、注目の人気列車となっているわけです。

鈍行列車「普快」の運行ダイヤ

鈍行列車「普快」の運行ダイヤ

写真:もんT

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2016年4月の時点での鈍行列車「普快」の運行ダイヤは以下の通りです。途中駅については、主な駅のみ記してあります。(駅名の前が着時刻、後が発時刻)

下り:枋寮発台東行き
枋寮11:00→11:28枋野11:33→11:58大武12:02→12:25金崙12:34→12:46太麻里12:48→13:00知本13:10→13:27台東

上り:台東発枋寮行き
台東16:08→16:26知本16:28→16:40太麻里16:43→16:54金崙16:55→17:18大武17:20→17:48枋野17:55→18:20枋寮

台湾鉄路のウェブサイト上でも、列車の時刻は確認できます。
停車時間が少しある駅では、ホーム上にて記念撮影などできるでしょう。

最後尾は“展望車”?〜海岸線の絶景を眺望

最後尾は“展望車”?〜海岸線の絶景を眺望

写真:もんT

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では実際に枋寮11:00発の鈍行列車に乗車してみましょう。台北からでも、当日朝6時台の高速鉄道に乗り、高雄左營駅(在来線の駅名は「新左營」)から特急に乗り継ぐと、十分間に合います。

この列車、通常は3両編成での運行。もちろん全車自由席です。観光シーズン中の休日には、鉄道ファンや旅行客の姿が必ずありますが、それでも車内はガラガラ…。満席で座れないという心配は無用です。

一番人気は最後尾の車両。それは、車両連結部の扉がないために、デッキ部分が完全に開放された“展望スペース”になっているためです。列車は枋寮を出発してしばらくすると、枋山にかけて海沿いを走ります。展望車からしばしの間、去り行くレールと絶景を楽しみましょう♪

山岳地帯も力走!旧型客車の走りに注目

山岳地帯も力走!旧型客車の走りに注目

写真:もんT

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枋山駅の手前から、列車は進路を東にとり、高度を上げて中央山脈越えに挑みます。この山岳区間では、緑豊かな台湾の原風景に浸れます。エアコンがないので、もちろん窓は全開!風景写真を思い存分に撮れます♪

風景もさることながら、旧型客車の走りにも注目です。製造からおよそ50年が経過しているものの、まだまだ現役。特に全長約8kmの中央トンネル内は、時速およそ100kmは出しているのでは…という爆走!日本ではすでに味わえなくなった旧型客車の走りっぷりを体感できます。客車とレールが紡ぎだす重厚なジョイント音も、郷愁を誘います…。

途中下車のおすすめは太麻里駅〜南国の秘境ムードを満喫

途中下車のおすすめは太麻里駅〜南国の秘境ムードを満喫

写真:もんT

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大武駅を過ぎると、この後は東海岸沿いを北上。右手にオーシャンビューが続きます。

ここらでちょっと途中下車したいな…という気分になったら、太麻里(タイマーリ)駅での途中下車がおすすめ。南国の秘境ムード満点のローカル駅でありながら、特急・急行も一部の列車が停車するので、安心です。

駅前は本当に何もありませんが、駅前の緩やかな坂を下ると太平洋が…。そして右手に行くと、市街地。市街地へは駅から歩いて15分ほど…。コンビニや飲食店、宿泊施設もこちらにあります。
一方、駅北側の踏切を渡って山側へ行くと、農村の風景が…。絵になる風景がいっぱい展開しているので、急ぐ旅でなければ、あちこちゆっくり歩き回りたいですね。

写真は、朝の台東行き普通列車(区間車)。駅の北にある大コンクリート橋、午前中は海側から、午後は山側から、良い光線で写真が撮れます。

旅の終わりに

南廻線の終着駅・台東からは、台東線・北廻線を経由して、台北へと線路は続きます。

台北へは、太麻里駅で途中下車したとしても、その日のうちに到着可能。特に、台東からは、日本から輸入された新型の振り子式特急列車「タロコ号」や「プユマ号」が最速3時間35分で、台北までを結んでいます。つまり、高速鉄道や新型特急列車と鈍行列車とを組み合わせて、1日でぐるっと台湾を一周旅行できるんですね…。

旧型客車の鈍行列車がいつまで走るのかはわかりません…。台湾の原風景がまだまだ残っている南廻線。旧型客車の鈍行列車で旅するなら、いっそうノスタルジックな旅になることでしょう。今だからこそ味わえる鉄道の旅を、皆さん、思い思いに楽しんできてください。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/04/05−2016/04/06 訪問

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