神秘の湖「摩周湖」は、北海道の道東地区、弟子屈(てしかが)町にあるカルデラ湖。カルデラというのは、火山噴火で地下に溜まった大量のマグマが噴き出し、空洞となったマグマ溜まりが陥没することによってできる大きな鍋状の窪地の地形のことです。そして、その窪地に水が溜まったのが、カルデラ湖。近くにある屈斜路湖、阿寒湖もカルデラ湖ですので、阿寒国立公園内には3つもあることになります。
摩周湖の水深は、なんと211.5m!平均水深も138mあります。周囲にそびえる断崖は、そのまま一気に落ち込み水深を深めていく、そんな感じなのでしょう。そして湖面中央付近にポツンと浮かぶのが、カムイシュ島。これはじつは、230mもの高さの火山の頂上だけが顔を出している状態なのです。まるで巨大なタワーのような急傾斜の山がこの水中にあるなんて、驚きです。
でも、これだけではありません。摩周湖には、たくさんの神秘や不思議があるのです。
摩周湖の神秘・不思議を少しご紹介します。
■その1 川が1本も無い!
摩周湖には、注ぎ込む川も流れ出る川もありません。入ってくる水は雪解け水や雨水だけ。なのに、水が溢れたり減ったりすることなく、水位は変わらないのです。なんで??
■その2 透明度、世界一!(最大透明度41.6mの世界記録:1931年)
雪解け水と雨水のみが貯められること、湖自らの圧力で湖水が地下に滲み出し、再び湖中に湧き出すという天然のろ過システムを持つこと、流入する川がないため土砂などによる汚染が無いこと、さらに周囲の高い壁が人を寄せつけないことなど様々な条件が重なり、この透明度が生み出されています。もちろん透明度は、今も世界のトップクラス!摩周ブルーという独特の青い色の秘密も、このあたりにありそうですね。
■その3 霧!
「霧の摩周湖」という有名な歌がありますが、実際、摩周湖は霧が多く、特に6〜7月は晴れやかな全景を終日見られるのはひと月の半分くらい。でもその時期には、周囲の霧が滝のように流れ込む幻想的な「滝霧」の風景を生み出すこともあり、霧は摩周湖の大きな魅力ともなっているのです。周囲全体が霧で覆われて前が何も見えないなんて思ったら、その霧があっという間に晴れてしまうということもあります。どんな霧に出合えるかも楽しみですね。
■その4 第2展望台がない!
摩周湖には、第1展望台、第3展望台、裏摩周展望台の3つの展望台があります。あれ?第2展望台は???
じつは、かつては第1と第3が細い道で結ばれており、その間に第2展望台と呼ばれる所があったのです。撮影の好ポイントとなっていたのですが、なにぶんカルデラ壁の上、危険も多く次第に使われなくなりました。写真は第1展望台です。広い!
摩周湖の第1展望台があるのは標高約550mあたりで、遮るものはありません。ですので、湖そのものだけではなく、そこから見る眺望も超一級!そこからは、眼下に広がるダイナミックな眺望を堪能することができます。根釧原野から釧路平野、そして太平洋まで見渡すことができ、車で走っていると、まるで原野へ飛び出していくような感じさえします。レストハウス下には、下界の絶景を見るための展望台が設けられているので、ぜひ忘れず立ち寄ってください。
なお、第1展望台レストハウスの売店には、たくさんの土産品が用意されていています。摩周湖や下界の眺望などをあわせて、ゆっくりと時間をとって観光されるといいでしょう。なお、ここの駐車料金は有料(2日間有効)で、近くの硫黄山駐車場とあわせて普通車500円、バイク200円となっています。
やはりここ第1展望台からの夕景についても、語らないわけにはいけません。夕景は、それまで霞んで見えなかった部分をシルエットにして美しく見せてくれます。
写真は摩周湖から西の方角に見える、阿寒湖方面の山々です。手前に高くそびえているのは雄阿寒岳。中央奥に小さくポツンと見えているのが雌阿寒岳。近いように見えますが、30kmも離れています。また反対の方向を見ると、道東地区のシンボルともいえる斜里岳の荒々しくも雄大な姿が見えます。ここからは、「自然ってこんなに美しいんだ!」って改めて感じる夕景が広がっています。
夕陽が沈んでゆく速度は意外と早く、楽しめるのはほんのひと時。でも、それだけにその刹那な美しさは長く心に残ります。摩周湖からの夕景も、ぜひご覧になってください。
いかがでしたでしょうか、神秘の湖「摩周湖」。
阿寒国立公園は、摩周湖を初めとして「屈斜路湖」「阿寒湖」「川湯温泉」「神の子池」「オンネトー」「硫黄山」・・などなど、ここにしかないという自然の美しさを、思い切り堪能させてくれる見どころがいっぱいの所です。時間の許す限り、じっくりとまわっていただければと思います。
またここは、釧路方面、知床方面、網走方面それぞれの中間にあたる位置にあり、これらのどの地域との組み合わせでも旅計画が可能です。JR釧網本線も通っており、鉄道旅を基本にした旅でも立ち寄ることができますよ。
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