「日比谷公園」には、1903年(明治36年)の開園時からある“第一花壇”と、1961年(昭和36年)に完成した“第二花壇”の二つの花壇があります。特に第一花壇ではチューリップ、パンジー、バラ、ダリアなど初めて見る西洋の花が植えられ、人気を博しました。これが一つ目の洋、つまり“洋花”です。
ドイツ留学の経験を持つ林学博士・本多静六(ほんだ せいろく、1866年〜1952年)によって設計案がまとめられ、開園した日本初の近代的洋風公園「日比谷公園」。現在でも“都心のオアシス”として、多くの人々の憩いの場となっています。
写真は1910年(明治43年)に「日比谷公園事務所」として新設された建物。当時としては斬新なバンガロー様式で、関東大震災や第二次世界大戦でも損傷すること無く残り、1990年(平成2年)には東京都の有形文化財に指定されました。「日比谷公園」の初期の建造物として、その面影を残しています。
「日比谷公園」の開園と同じく、1903年(明治36年)にオープンしたのが「松本楼」。お洒落なお店として評判を呼び、当時の流行に敏感な人々の間で、「松本楼」でカレーを食べてコーヒーを飲むことが大流行しました。こちらが二つ目の洋、“洋食”です。
その他にも、小説家・夏目漱石(なつめ そうせき、1867年〜1916年)や彫刻家で詩人の高村光太郎(たかむら こうたろう、1883年〜1956年)といった文人や芸術家が集う場所にもなりました。
現在は1階に“洋食グリル&ガーデンテラス”があり、ビーフカレー、ハヤシライス、オムレツライスなど愛され続けてきた昔ながらの味を楽しめます。3階では本格的なフランス料理を優雅な雰囲気の中で味わえる“仏蘭西料理ボア・ド・ブローニュ”となっています。
「日比谷公園」には「小音楽堂」と「大音楽堂」の二つの野外音楽堂があります。
「小音楽堂」は、1905年(明治38年)に国内初の野外の音楽堂として開館します。1923年(大正12年)に「大音楽堂」の完成により、「小音楽堂」と呼ばれるようになります。
座席数は約1100席で、現在も催し物などに利用されています。開館時には軍楽隊の洋楽が演奏され、大盛況となりました。こちらが三つ目の洋、つまり“洋楽”です。
特に座席数が約2700席の「大音楽堂」では数々の伝説のライブが開催。矢沢永吉のキャロル、忌野清志郎のRCサクセション、ザ・ブルーハーツ、尾崎豊などなど多くのアーティストたちがステージ上で人々を熱狂させてきた場所です。「日比谷野外大音楽堂」名称から“野音(やおん)”とも呼ばれています。
1929年(昭和4年)に「市政会館」と一体の建物として建設されたのが「日比谷公会堂」です。東京市長であった後藤新平(ごとう しんぺい、1857年〜1929年)の理念に賛同した安田財閥の創立者・安田善次郎(やすだ ぜんじろう、1838年〜1921年)。その遺志を継いだ安田家の寄付金により完成しました。
「日比谷公会堂」では、1954年(昭和29年)に初来日したオーストリアの指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908年〜1989年)の公演を始め、著名な演奏家や交響楽団のコンサート、講演会など数々の催し物が行われてきました。また「市政会館」では開館以来、オフィスビルとして使用されています。
「市政会館」並びに「日比谷公会堂」は、大衆娯楽や消費に関わる産業の発展に寄与した事が評価され、1999年(平成11年)に、“東京都選定歴史的建造物”に選ばれました。また、2009年(平成21年)には経済産業省による“近代化産業遺産”にも認定を受けています。
「日比谷公園」の東側中央にある噴水広場近くの出入口・日比谷門の直ぐ側にはフラワーショップ「日比谷花壇」があります。全国各地に店舗を持つ「日比谷花壇」の原点とも言える日比谷公園店で、記念やプレゼントにお花を購入してみてはいかがでしょうか。
1872年(明治5年)に創業して庭園業を営み、約70年の歳月を経て帝国ホテルへ出店。1950年(昭和25年)、「日比谷公園」に店舗を構えたのが「日比谷花壇」です。
戦後東京の復興計画の一環として、市民の憩いの場である「日比谷公園」に海外の例を倣ってフラワーショップを、と当時の都知事より要請を受け開店。以上のような歴史的な背景も面白いですね。
第一花壇、第二花壇を始め様々な花々が咲き誇る園内。となると、自宅に花を飾りたい、あるいは大切な方へのプレゼントにしたい、と思うかもしれません。そんな時にはピッタリのお店が「日比谷花壇」日比谷公園店。日本初の近代的洋風公園「日比谷公園」に因んで、“洋花”を選んでみるのもオススメです。
地下鉄の各線・日比谷駅から直ぐ、また霞ヶ関駅からもアクセスが簡単な「日比谷公園」。こちらを目的として訪問し、じっくりと食事も含めて楽しんだり、または何処かの行きや帰りに、ぶらりと途中下車して立ち寄ってみたりするのもオススメです。
園内にある各施設等に関する詳しい情報は、下部関連MEMOにあります公式サイトへのリンクから御確認下さい。
以上、“洋花、洋食、洋楽”と“三つの洋”を中心に、100年以上の歴史と伝統が残る“都心のオアシス”、東京都千代田区「日比谷公園」の御紹介でした。
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(2025/1/17更新)
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