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写真:小谷 雅緒
地図を見るマーリア・ヴァレーリア橋はハンガリーの古都エステルゴムEsztergomと、対岸のスロヴァキア領シュトロヴォSturovoを結んでいます。エステルゴムはブダペストからドナウ川を北上した観光エリア「ドナウベンド」の町のひとつで、ハンガリー国内最高位のカトリック大聖堂があることで知られています。
マーリア・ヴァレーリアMaria Valeria (ハンガリー語表記)とは、オーストリア・ハンガリー二重帝国の支配者、ハプスブルク家の実質的な最後の皇帝フランツ・ヨーゼフと皇妃エリザベートの間に生まれた末の皇女の名前です。(独語表記はマリー・ヴァレリーMarie Valerie)
橋の完成は1895年9月、しかし、大戦中にドイツ軍により破壊されます。戦後、ハンガリーとチェコスロヴァキア(当時)では再建に向けて、何度も話し合いが行われますが、両国とも経済的に困難であり、最終的にはEUによる補助を受け、2001年10月に完成となりました。
(*本稿ではハンガリー語やスロヴァキア語で見られる特殊文字を使用しておりません。)
写真:小谷 雅緒
地図を見る橋自体は観光地ではありませんが、個人でもアクセスは難しくありません。首都ブダペストからエステルゴムまでは中距離バスで最短70分程度、終点のバスターミナルから橋までは徒歩15分程度です。ブダペストからは鉄道でもアクセス可能ですが、エステルゴム駅が町中心部から離れているため、鉄道利用はおすすめしません。また、スロヴァキア側からのアクセスも難しいため、おすすめしません。
橋が再建した2001年当時は、スロヴァキア側で国境検問所が設置されていましたが、現在ではシェンゲン協定により、パスポート検査はありません。
写真は国境検問所跡です。かつては歩行者用、車両用と設置されていた出入国審査のためのブースも遮断機もありません。いつでも誰でも、徒歩または車で渡ることができます。(公共交通はありません。)
(*シェンゲン協定とは、ヨーロッパの国家間において国境検査なしで国境を越えることを許可する協定です。)
写真:小谷 雅緒
地図を見るハンガリー側の橋のたもとには無料の駐車場があり、多くの人がわざわざ歩いて橋を渡ります。全長は約500メートル。ブラブラ歩いても10分程度の距離ですが、橋からドナウ川を見下ろしたり、辺りの景色を確かめながら進みましょう。特に、橋の上から、あるいはスロヴァキア側から見る大聖堂(写真)はオツなものです。
エステルゴムはハンガリー王国最初の首都が置かれた町で、そのころから現在までも、ハンガリーカトリック総本山があり、立派な大聖堂は観光地としても知られています。
スロヴァキア側のシュトゥロヴォの中心部は、橋を渡ってすぐ右折すると、歩行者天国にぶつかります。そこが繁華街。とはいえ、人口1.1万人の小さな町で、決して観光地でもありません。それでも、小さな商店やスーパーがあり、ハンガリーでは見られない商品が売られていて、ちょっとした異文化体験ができます。
写真:小谷 雅緒
地図を見るせっかくのスロヴァキアなので、スロヴァキアらしい体験をしようと思うところ。月曜日から土曜日であれば、町の商店も営業しています。手っ取り早く体験するには、スロヴァキア料理を食べることです。繁華街にも5軒程度のレストランが見つかります。種類は少なくとも、スロヴァキア料理とおいしいスロヴァキアビールに出会えるはず。
しかし、注意深く見聞きしていると、町はハンガリー語であふれていることに気が付きます。実はここ、第一次大戦までハンガリー領で、現在でも人口の7割弱がハンガリー系で、彼らは今もハンガリー語で生活しています。町の名はスロヴァキア語でシュトゥロヴォですが、ハンガリー語ではパールカーニParkanyといい、現在でもこの名で呼ばれています。
(*スロヴァキア全人口の1割がハンガリー系です。)
レストランでもハンガリー語のラジオが流れ、ハンガリー語のメニューがあり、スタッフはハンガリー系でハンガリー語を話し、おまけにハンガリー通貨フォリントでも支払いができます。
(**スロヴァキアの通貨はユーロです。)
写真:小谷 雅緒
地図を見る両町の発展は、橋なくしては考えられません。橋ができるまでは渡河方法は渡しでした。「国境の渡し」も風流に聞こえますが、ドナウは大河です。特に、ドナウベンドと呼ばれるこの辺りは流れが速く、増水・氾濫もよく起こります。天候に左右されやすい渡しではなく、恒久的な渡河方法が必要でした。
また、スロヴァキア側は特別な産業がない、極めて地味なエリアです。ハンガリー系住民であれば、ハンガリー側で働くことも難しくありません。エステルゴムから上流にかけては、外資の大きな工場がいくつもあり、スロヴァキアに生きるハンガリー系はもちろん、スロヴァキア人であっても就労のチャンスが増えたことになります。もちろん、ハンガリー企業にとっても、労働力の確保が簡単になったということは、言うまでもありません。
(*写真はハンガリー側より、エステルゴム大聖堂裏手からの眺め)
今回ご紹介するエリアに限らず、国境周辺というものはトワイライトゾーンともいえる、両国の特徴が交わる不思議な一帯。しかも、エステルゴムの国境は両国の町中心部が近く、徒歩で移動できる距離。これはレアなケースです。高速道路上の国境では決して味わえない、ローカルな雰囲気満点です。
エステルゴムに行く際は、大聖堂見学のみならず、国境を越えてスロヴァキア側でランチの予定を立ててください。一度に二つの文化が楽しめる、ユニークな一日となること請け合いです。
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