写真:ザーカー 久美子
地図を見る2007年、29番目の国立公園に指定された「尾瀬国立公園」は、群馬県、福島県、栃木県、新潟県の4県にまたがる日本最大の山岳湿地です。東京ドームおよそ7915個分という広大な湿原には、尾瀬でしか見ることのできない19種を含む900種を超える植物が生息しています。
水芭蕉の群生地として有名な尾瀬ケ原は、国立公園の西に位置し、残雪の消える5月下旬〜6月上旬ごろ花を咲かせます。湿原へ、初夏の雪を降らすかのように咲く水芭蕉。その花はというと、実は中心部にある黄緑色の部分が花で、それを包んでいる白い部分は「苞(ほう)」と呼ばれる葉なんですよ。
初夏の水芭蕉はもちろん、尾瀬の夏を象徴する黄色のニッコウキスゲ、金色に輝く初秋の草紅葉など、四季を通じてさまざまな植物を鑑賞することができます。
歴男・歴女の方は、沼田(会津)街道を歩いてみては?街道の一部で、国立公園のほぼ中央に位置する一ノ瀬―沼山峠間の登山道を、当時を偲びながらトレッキングするのもおススメです。
日帰りでももちろん楽しめる尾瀬ですが、できれば1泊してゆっくり散策してみませんか?日帰りでは難しい尾瀬のふところ深くまで訪れることができ、何度か尾瀬に来たことがある方でも、新たな風景に出会えること間違いなし。
そして、湿地で水気の多い尾瀬では、朝夕に霧が発生することが多くあります。霧に映ろうニッコウキスゲやワタスゲの揺れる光景は神秘的なまでの美しさ。非日常的な景色に心を奪われることでしょう。
今回は、国立公園の西側、尾瀬ケ原と尾瀬沼の中間地点・見晴(みはらし)にある山小屋「桧枝岐(ひのえまた)小屋」をご紹介します。
写真:ザーカー 久美子
地図を見る尾瀬のガイドも務める山小屋の三代目・萩原英雄氏の経営する「桧枝岐小屋」は、1940年代の後半、猟師であった彼の祖父が清水の湧く見晴にオープンしました。
ロッジと日本家屋を合わせたような山小屋は、トレッキングで心地よい疲れを満たす旅人たちを温かく迎えてくれます。宿泊施設には、萩原氏のニックネームを冠した「喫茶ひげくま」が併設されており、尾瀬の美しい水で淹れたコーヒーや季節限定のかき氷、軽食が味わえます。たっぷり歩いた後の生ビールも最高ですよ。
こちらでは、通常のホテルや旅館と異なり「山小屋タイム」があります。共同風呂の入浴時間は午後4時半〜7時まで、食堂での朝食は午前5時半、夕食は午後5時半、消灯は午後9時となっています。林間学校のような感じ!?特に、夏に尾瀬を訪れる際には、早寝早起きすると、涼しいうちに快適に歩くことができますよね。(詳しくは、受付の掲示板でご確認ください)
写真:ザーカー 久美子
地図を見る一日歩いたあとの楽しみといえば、やっぱりディナータイム☆小皿に盛られた色とりどりの小鉢料理が食欲をそそります。
木道や山道の続く尾瀬のトレイルコースには車道がありません。それでは、どのようにして食材を運ぶのか。「ボッカ」と呼ばれる人々が数十キロの物資を背負って山小屋まで運んでくれるんです。トレッキング中に大荷物を背負った人を見かけたら、たぶんボッカさんでしょう。萩原氏も中学生のころにボッカとしてビールなどを運んでいたそうです。
街から尾瀬へ、一歩一歩運ばれてきた大事な食材。大切にいただいてくださいね。
写真:ザーカー 久美子
地図を見る受付の横には、暖炉のある談話室があります。丸太のテーブルがステキですよね。初めて会った方と情報交換したり、語らったり。特別な時間をお過ごしください。
談話室の奥には、男女それぞれのお風呂があります。お風呂では、尾瀬の自然を守るために石けんは使用できませんが、たっぷり歩いた後の暖かいシャワーは、ほんわかさっぱりしますよ。
写真:ザーカー 久美子
地図を見る和室は、質素で居心地の良いつくりとなっており、大きな窓を開けると、清々しい風が部屋のなかに満たされます。
ハイシーズンには相部屋になることがありますので、宵っ張りで、スマートフォンやタブレットを使用したい方は、音もれや明かりもれにご注意を。
尾瀬の静かな夜。ぐっすりとおやすみください。
トレッキングの旅をより豊かにしてくれる「桧枝岐小屋」は、例年4月下旬〜10月下旬までオープンしています。ぜひ1泊して、素晴らしい尾瀬の風景をゆったり鑑賞してください。
「真田丸」ファンの方は、尾瀬とあわせて群馬県沼田市にある「沼田公園」を訪れてみてはいかかですか?五層あったという天守閣の姿はなく、城跡を残すのみですが、日本の歴史公園100選に選ばれた美しい公園です。
〈一旅一首〉
尾瀬に吹く風へ新たな生命をたくしてワタスゲの穂のゆれる
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(2024/4/19更新)
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