更新日:2023/09/19 12:51
写真:堀内 京子
地図を見る小鹿田(おんた)焼は江戸中期の1705年に開窯、技術的には初期は唐津焼、後には高取焼や小石原焼の影響を受けた民陶です。開窯以来、伝統的技法を一子相伝で受け継いでおり、現在は10軒の窯元が作陶を行い独自の作風を守り続けています。その技法が1995年、国の重要無形文化財に指定されました。
集落には薪を使って焼成する登り窯や陶芸用の土を砕く唐臼が点在し、昔ながらの技法を伝える光景が広がっています。登り窯は火を入れると約30時間(共同窯は約55時間)、夜通し焚き続ける大変な作業です。2008年には窯元がある皿山地区と棚田が広がる池ノ鶴地区が併せて「小鹿田焼の里」として国の重要文化的景観に選定されました。
写真:堀内 京子
地図を見る各窯元の庭先には成形が終わり、天日乾燥中の陶器なども並んでいます。この後は装飾になりますが、代表的な装飾としては刷毛目・飛びかんな・櫛描き・打ち掛け・流し掛けなどがあり、独特の模様が描かれます。工程ひとつひとつに独自の工夫が施され、手作業ならではの味わいのある小鹿田焼きは料理がとても映える器です。店頭販売している窯元もあり、手軽な値段から色々と揃っていますのでお土産にもお勧めです。
写真:堀内 京子
地図を見る窯元めぐりの途中には「ギーーー、ゴトン」という唐臼の音や水音が聞こえてきます。陶器の原料となる原土を粉砕する為の唐臼が川沿いに造られ、原土は20日〜30日ほどかけて粒子状になります。唐臼の音や水音が山里に響き、とても心地良く癒されます。環境省選定の日本の音風景100選に「小鹿田皿山の唐臼」が選ばれています。
写真:堀内 京子
地図を見る小鹿田焼の伝承を目的として建てられた「小鹿田焼陶芸館」には約100点の作品が展示され、歴史や作業工程などが資料や映像にて分かり易く紹介されています。小鹿田焼を世間に広く紹介した世界的な陶芸家であるバーナード・リチャード氏の作品「鹿文大皿」なども展示してあり、小鹿田焼の魅力に触れることが出来ます。入館料無料ですのでお気軽にお立ち寄りください。
【日田市立 小鹿田焼陶芸館】
開館時間/9:00〜17:00
休館日/水曜日・年末年始
入館料/無料
写真:堀内 京子
地図を見る小鹿田焼の里にある食事処「山のそば茶屋」の鄙びた佇まいは、のどかな山里の景色とよく合い、風情が漂っています。窓の下に清流が流れ、近くにある唐臼の音が「ギーーー、ゴトン」と心地よく響いて居心地が良い。メニューは蕎麦・うどん・だんご汁・鮎の塩焼き・地鶏親子丼・手作りの甘味などが揃っています。
写真の「山の茶屋定食(1,200円)」は、かけそば・山菜・煮物などの小鉢・ご飯が付いたセットになり、蕎麦は地元産の玄そばをひいた手打ちの十割蕎麦です。こちらの蕎麦は「田舎のちぎれそば」と呼ばれ、素朴な味わい。自家製の柚子こしょうも蕎麦の薬味によく合います。
人気メニュー1位は山の茶屋定食、2位は山の手そば(地鶏・ごぼう天・山菜入り)、3位は地鶏そばになります。食器に小鹿田焼が使われており、器も楽しみながらの食事は小鹿田焼の窯元めぐりへお出かけになる方にもぜひお勧めです。
【山のそば茶屋】
営業時間/11:00〜16:00頃
定休日/不定休
毎年10月の第2土・日曜日に民陶祭(みんとうさい)*が開催され、小鹿田焼きの全ての窯元が開放されます。店先にたくさんの器が並び、窯元めぐりを楽しみながらお気に入りの器を見つけて買い求める陶器ファンの方が遠方からも訪れて賑わいます。
窯元めぐりの後は日田市内の観光はいかがでしょう。日田市は九州の小京都とよばれ、商家や白壁の蔵屋敷が建ち並ぶ豆田町などの散策もお勧めです。旅館では鵜飼いを見ながら屋形船で食事を楽しむ宿泊プラン(期間限定)も人気を呼んでいます。
*…2023年9月追記:2023年度は開催中止となりました。
この記事を書いたナビゲーター
堀内 京子
旅行もご当地グルメも大好き♪日頃は仕事多忙な毎日ですが休日にはフットワーク軽く、温泉や観光地へ出かけてリフレッシュしています。温泉巡りを続けてきた中で浸かった温泉は九州を中心に1,000湯を超えました…
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(2025/1/20更新)
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