写真:Naoyuki 金井
地図を見る銘仙とは、一般的に云う"平織の絹織物"で、日本のシルクロードである群馬、埼玉、東京都下で明治期に作られ、ブランドではなくフリースのような生地のことです。
本来は廃棄される屑糸を平織した先染の着物として生まれ、最初は縞の地味な織物でしたが、大正期に銘仙と袴姿が女学校のテッパンスタイルになり、花柄などの大胆なデザインがトレンドとなったのです。
銘仙の著名な産地には、秩父銘仙、足利銘仙、伊勢崎銘仙、桐生銘仙、八王子銘仙があります。
このうち『秩父銘仙』は、平織りで裏表がないのが特徴で、表裏で仕立て直しができるリバーシブルな着物です。こうした丈夫で長持ちの特性が女中たちの普段着として人気となり、また玉虫色に光る質感と縞模様柄であることがオシャレ着として注目されるようになったのです。
アニメ「あの花」の超平和バスターズが秩父銘仙を着たオリジナルイラストもキュートですね。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る『ちちぶ銘仙館』は、秩父でも重要な絹産業のなかで織物・銘仙に関する資料を保管・展示するミュージアムです。2013年に秩父銘仙が国指定伝統的工芸品に指定されたこともあり、その伝承的技術を継承する意味で様々な体験コーナーも充実しているのです。
こうした中でミュージアムの建物自体も見逃せません。
現在の建物は、1930年に"埼玉県秩父繊維工業試験場"として誘致した際に建てられたものです。アメリカ人建築家フランク・ロイド・ライトが考案した大谷石積の外装を取り入れ、昭和初期の特徴的な装飾を施されました。そして和洋の調和した優れた本館のデザインとノコギリ型の屋根の工場棟が評価され、2001年国の登録有形文化財に登録されたのです。
写真:Naoyuki 金井
地図を見るノコギリ型の工場棟には展示コーナーがあり、銘仙の作られる行程を説明しています。
蚕の繭から糸を巻き取る《糸繰室》では、機械展示のほか、毎月第二土曜に製糸の実演が行われています。必要な本数の経糸の長さを揃えて織機に巻き付ける《整経場》では、デザイン通りに配列された経糸がカラフルです。また、秩父銘仙の特徴である糸を染めてから織る"ほぐし捺染"の行程の《捺染室》は必見で、手動式の織機が並ぶ《織場》では、明治から昭和初期の空気が流れています。
このような展示の他、アンティーク銘仙や有名女優のポスター、当時のファッションなどの貴重な資料が展示されている《ギャラリー》がありますので、当時のトレンドを感じてください。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る"見る"だけでなく、"作る"こともできます。
体験の一つが《型彫室・型染め体験室》で、型染め体験ができます。"型"とは銘仙のデザインの元となるもので、型紙の和紙に手彫りして型を作り染めていきます。毎月第二土曜日には実演もありますので、文字通りの職人技が見られます。
二つ目は《織体験室》で、手織り機を使って実際に織る体験をします。30分ほどで出来ますので、あなただけの思い出を作ってみてはいかがですか。
三つ目の《染場・染体験室》では、埼玉県で盛んな"武州正藍染"による作品が作れます。1時間程度掛かりますが、オンリーワンの作品を仕上げてください。
これらは特に予約なしで体験できますので、お気に召したら体験してみてください。
写真:Naoyuki 金井
地図を見る館内には、秩父にある織元の製品を購入することができます。
ファッショントレンドだった秩父銘仙は、洋装生活への変化と共に、寝具や座布団などに変わり、現代では生地加工により室内用品に取り入れられています。
反物は勿論のこと、ハンチング、ストール、巾着などの小物、ほぐし捺染のタペストリーなどの装飾品、そしてコースターなど様々な商品が扱われています。
市内各所の織元でも購入できるので、その参考にしても良いでしょう。
秩父銘仙の魅力を少しはお判りになられたでしょうか。
普段着でありながら休日のちょっとした外出に使えるオシャレ着であった"銘仙"は、正に現代のフリースでありデニムなのです。
"あの花"のキャラや花子の様に、レトロモダンな"秩父銘仙"を味わってみてはいかがでしょうか。
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(2024/12/13更新)
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