写真:鈴木 旅人
地図を見るファテープル・シークリーが何故珍しい世界遺産なのか?それはヒンドゥーとイスラームの建築様式が文化的融合をしているからなんです。数あるインドの世界遺産の中でもこういった例は他になく本当に珍しい世界遺産、絶対に見逃せません!
中世の時代、デリーの支配者として君臨していたムガル朝の支配層はモンゴル系やトルコ系で、インドにとっては外国人でした。ムガル朝の3代目アクバルの当時、デリー周辺にはまだ敵も多く、アクバル帝はそういった他勢力との融和を目指したのです。
インドの旧勢力であるヒンドゥー教徒のラージプート出身者を登用するなど、インドを広く統治するに相応しい柔軟な対応の出来る皇帝だったわけです。
ファテープルシークリーが建築史上重要視されるのは、そこにインド古来の建築様式や技法が反映されているからなんです。
ファテープルシークリーでは、他のイスラーム建築のようにアーチやドームを多用せず、屋根や庇などの木組みを石で表現したような造りが見られます。これらは古くから仏教やヒンドゥー教の石窟寺院などに見られたもので、アクバル帝が諸宗教を融和するために実践していた建築様式なんです。
それが顕著に見られるのが下記の写真の建物、パンチ・マハルです。
階段状の五層の吹き抜けからなり、下層のデザインは全て異なるという凝りよう!建物前の中庭には方眼が刻まれていて、ここでハーレムの女性たちを駒に見立てたチェスを遊ぶための施設でした。広大な領土を持つ皇帝、さすがに遊びの規模も違います。
写真:鈴木 旅人
地図を見るファテープル・シークリーを語る上で重要なのは、たった14年しか使われなかった為、保存状態よく残されているということです。
世継ぎが生まれず悩んでいたアクバルに、ある聖人がすぐに男子を授かると予言します。すると翌年、予言通りに男子が誕生。そして相当に嬉しかったアクバル帝は聖人の住んでいた土地に遷都を決行。それがファテープル・シークリーなのです。
しかし、水不足が原因でたったの14年でファテープル・シークリーは放棄され、歴史から忘れ去られました。その為、保存状態良く残されたのです。
下記の写真は、ディワーネ・カースという貴賓謁見の間で、政務を行う建物です。ここに置かれた玉座で王は貴賓や賢人を迎えました。
写真:鈴木 旅人
地図を見る上記の宮廷地区とは別にモスク地区も設けられており、こちらの建物にもヒンドゥー建築の影響が見られます。各宗教を尊重したアクバルの理念が反映されているのです。
下記の写真ジャマー・マスジッド(金曜のモスク)はインド最大級の面積を誇る大きさ。回廊の柱や庇などにヒンドゥー建築の影響が見られ、大変珍しいモスクとなっています。
写真:鈴木 旅人
地図を見るムガル帝国の幻の都ファテープル・シークリー、いかがでしたでしょうか?タージ・マハルのある場所から40キロ程離れている為、つい見逃しがちな世界遺産なのですが、ファテープル・シークリーの様な建築様式が融合した建物は類がなく、絶対に見逃せません!
歴史から忘れられた巨大な帝国の夢の都。おとぎ話のような出来事の唯一の証人と言えます。是非、貴方もおとぎ話の世界に訪れてみて下さい。
この記事を書いたナビゲーター
鈴木 旅人
昔から旅が大好きで、バックパッカー時代も経て今は主に国内にのめり込んでいます。趣味が高じて、世界遺産検定や日本歴史能力検定などというものまで取得してしまいました。得意なジャンルは、歴史・民俗・神社・仏…
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