『もののけ姫』モロのモデルとは?埼玉・秩父に伝わる三峯神社のオイヌサマ伝説

『もののけ姫』モロのモデルとは?埼玉・秩父に伝わる三峯神社のオイヌサマ伝説

更新日:2017/02/14 16:48

陽月 よつかのプロフィール写真 陽月 よつか フリーライター、星空準案内人
社会現象にもなった名作映画『もののけ姫』。物語の舞台となった山々は、屋久島や白神山地がモデルだというのは有名ですね。
では、あの三輪明宏さんが声優を担当した、シシ神の森を守護する白い犬神『モロの君』に、モデルとなった神様がいると言われているのはご存知でしょうか?
秩父の三峰山、深い山々に神が住むといわれる三峯神社。そこでは、今もオイヌサマが聖域を守っているのです。

神社なのに狛犬がいない? 独特の信仰を持つ聖地、三峯神社とは

神社なのに狛犬がいない? 独特の信仰を持つ聖地、三峯神社とは

写真:陽月 よつか

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関東屈指のパワースポット、秩父の三峯神社。厳しいほどの霊気を持ち、強力な運気をいただけると言われる、山中にありながら参拝者の絶えない神社です。
2012年の辰年に出現した、水をかけると浮き上がる石畳の龍や、パワーをいただけるご神木などが有名ですね。そしてもう一つ、狛犬でなく、オオカミが境内を守っていることでも知られています。

こちらのオオカミ、三峯神社の眷属で、一般に『オイヌサマ』と呼ばれ信仰されています。
本来の名前は『大口真神(おおくちのまかみ)』。ニホンオオカミの神格化した神様です。

眷属とは本来、神の霊力を受けた神のお使いであって、神ではない、という場合がほとんどです。その中でオオカミは、眷属でありながら神として崇められてもいる珍しい神様。秩父地方の他では、全国でもオオカミをお祀りしているのはほんの数社だけなのです。ちなみに、四国地方などで信仰されている犬神とはまったく別の神様です。
鳥居の前はもちろんのこと、境内のあちこちには、オイヌサマ像が沢山!

何故オオカミが眷属に? 始まりは英雄・ヤマトタケル

何故オオカミが眷属に? 始まりは英雄・ヤマトタケル

写真:陽月 よつか

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三峯神社の歴史は『古事記』『日本書紀』の時代までさかのぼります。
創建したのは日本武尊(ヤマトタケルノミコト)。東征の折にこの地を通りがかり、美しい山々の景色に国造りの二柱イザナギ・イザナミを偲んで祀ったとされていますが、この時ヤマトタケルをこの地に案内したのが白いオオカミでした。

また、江戸時代のこと。日光法印が秋口の夜に山上の庵室に静座していると、どことも知れぬ山の中から次々とオオカミが現れ、境内に充ちたということがありました。法印はこれに神託を感じ、山犬の神札を信者に配ったところ霊験のあったことから、オオカミは三峯神社のご眷属として遠い地方にまで知れ渡ることになったのです。

今はどこでお参りできる? オイヌサマの仮の姿とは

今はどこでお参りできる? オイヌサマの仮の姿とは

写真:陽月 よつか

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1000年以上の長きに渡り三峯神社を守るオイヌサマですが、今は山中の奥深くに隠れているとのこと。なので、三峯神社の奥の『お仮屋』が文字通り仮の住まいとして、大口真神のお宮となっています。拝殿から徒歩10分ほど、縁結びの木のさらに奥にお祀りされています。こちら、石段が急なので、お参りの際は履き慣れた滑りにくい靴がおすすめ。

けれど、実はお宮まで行かずともその霊力を実際に感じる方法があるのです。それは、霧。
三峰山は古来より『霧の三峯山』と呼ばれるほど霧の多い山。そして三峯神社では、霧は神様のお姿だと言い伝えられています。霧が多い日はオイヌサマが現れやすく、神秘的な現象が起こるとのこと。伝説は今も続いているのですね。

普通なら、山を訪ねた日に霧が出たら、残念に思ってしまいがちですよね。けれど三峯神社ではまさに吉兆! 是非ご神気を身体全体で感じてみて下さいね。

森や山を守るオオカミの神聖な『白』

森や山を守るオオカミの神聖な『白』

写真:陽月 よつか

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ヤマトタケルをこの地に案内にしたのは、『白』いオオカミでした。
毎月1日にだけ特別に授与される『氣守』は、それにちなんでの『白』色です。オイヌサマの化身とされる霧も『白』。白は、ここ三峯神社では、神様の色であり、特別な色なのです。

そして、モロもまた『白』い犬神として描かれています。
昔秩父は産鉄地だった、なんて話もあります。もしかして…? なんて、想像が膨らみますね。

今もなお三峯神社を守り続けるオイヌサマ伝説

『もののけ姫』のモロのモデル、三峯神社のオイヌサマ伝説、いかがでしたでしょうか。
山間でありながら、東京から日帰りも出来る距離。伝説を体感したい方はぜひ訪れてみて下さいね。御朱印をいただく派の方は、オイヌサマの描かれた特別御朱印もお忘れなく!

電車、バス:秩父鉄道「三峰口」駅下車、西武観光バス「急行・三峯神社」行きバスにて約75分
車:秩父市街から約90分 駐車場有料(普通車510円)

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/05/05 訪問

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