写真:Hiroko Oji
地図を見る南イタリア・ナポリの旧市街「スパッカ・ナポリ」の北側には、国立カポディモンテ美術館と並んで称される、世界的にも重要な「ナポリ国立考古学博物館」があります。この建物は、元々、1585年に騎兵隊の兵舎として建てられたストゥディ館というもの。ナポリ公国の王となったカルロ3世が、母親から受け継いだ遺産を展示することから始まりました。その後、フェルディナンド4世が、父親から受け継いだ膨大な数の美術品、芸術品、出土品のコレクションを、まとめて保存・展示する博物館として、ストゥディ館の改装に着手し、改装は何度も中断しながら、1816年に完成し、現在の姿となっています。
館内には、ギリシア・ローマ時代の大理石彫刻や、エジプトの美術品、ポンペイ・エルコラーノ遺跡からの発掘品など、世界的にも重要で名高いものばかりが展示されています。また、トルコのエフェソス遺跡でも見られるアルテミス像をはじめ、中庭に面した床のモザイクが美しい通路には、ローマやカンパーニュ州から集められた彫像がずらりと並び、まさに歴史の宝箱です。
写真:Hiroko Oji
地図を見る先ずは、ファルネーゼ・コレクションのある広い部屋を見てみましょう。ここには、大理石彫刻を中心にメディチ家由来の品を含む宝石が並べられています。一番奥で存在感を放っているふたつの模刻は、ローマのカラカラ浴場から発掘された、紀元前4世紀「ファルネーゼの雄牛」(写真です)と「ファルネーゼのヘラクレス」、透き通るような薄い衣をまとって左手に花束を持つ「ファルネーゼのフローラ」、そして優美な姿の「カプアのヴィーナス」など、素晴らしい彫刻が続きます。
写真:Hiroko Oji
地図を見る奥まった部屋には、とても繊細な彫刻を施された、カメオやラピスラズリなどの宝石が展示されています。中でも、目が吸い寄せられるのは、紀元前2世紀のアレキサンドリア製「ファルネーゼの皿」。1枚の丸いメノウの上に、盃を掲げる神々が白く浮き彫りにされているもので、小さいながらも存在感は大きいものです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る2階はポンペイ・エルコラーノからの出土品が展示されています。当時の文明の高さを物語るもので、フレスコ画、銀製品、ガラス細工、彫像、ちょっと変わった所では手術器具などが並びます。
なかでも、ヴェスヴィオ絵画と呼ばれる部門は、博物館でも名高いもので、当時の面影を知ることができるだけでなく絵画様式の変遷を知る上においても重要視されています。緑を基調に優美な花の女神を描いた「フローラ」、エルコラーノ出土の「ヘラクレスとテレフォ」、歴史上の人物を描いた、赤をバックにした「メガログラフィア」など、目を瞠ることでしょう。
また、4000点以上もあるローマン・グラス部門では、写真にある、濃い青の上に白く浮き上がるように天使や植物が描かれた「青いガラス壺」は、見逃せないものです。
写真:Hiroko Oji
地図を見るポンペイの有力一族ファウヌスの家で発見されたもの、ブロンズ製の「踊る牧神」像も見逃せません。現地の遺跡内、ファウヌスの家(Casa del Fauno)の開放的なアトリウムの中央に置かれているのは、このコピーで、オリジナルは博物館内のガラスの中に納められています。
ナポリ国立考古学博物館には、ここでご紹介したほかにも、必見の宝物は盛りだくさん!
地下にはエジプト・コレクションが展示されています。これは、トリノの博物館に続いてイタリア第2の規模を誇るもの。ミイラや見事なレリーフが施された石柩、副葬品、墓碑などが並びます。
また、中2階の階段右側には、ポンペイやエルコラーノからの出土品であるモザイクがたくさん展示されています。ポンペイの有力者ファウヌスの家で発見された「アレクサンドロ大王の闘い」をはじめ、「虎に乗るヴァッカス」、「3婦人の裸の肖像」、道化師「メナンドロスの喜劇」、床に描かれた「演劇用マスクと葉、果物」などのモザイク画の他、美しいモザイク装飾のある天板の丸テーブルや円柱など見応えたっぷり!しっかり時間を確保して、ゆっくりご覧くださいね。
入館の際には、カンパーニャアルテカードも利用できます。MEMOにリンクしておきますので、ご参照ください。。
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この記事を書いたナビゲーター
Hiroko Oji
旅の計画を練り、現地でその土地ならではの経験を楽しみ、帰ってきたら写真の整理をして旅行記や記事を書くと、一つの旅で3〜4回楽しんでいます。アメリカで大自然の偉大さに圧倒され、人生観が大きく変わりました…
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