写真:bow
地図を見る「甘茶」といわれてもなかなかどんな花かイメージできる方は多くないのではないのでしょうか。むしろアマチャヅルをイメージする方の方が多いかもしれません。「甘茶」とはユキノシタ科に属するガクアジサイの変種。葉を蒸してもみ、乾燥したものを煎じるととても甘いお茶になることが知られています。
京都は東山にある建仁寺の塔頭、霊源院は「甘露庭」と呼ばれる枯山水庭園に甘茶の咲く寺として知られています。青く、美しい甘茶が咲くこの時期に庭園が初公開となり話題となっているのです。
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地図を見る建仁寺は「学問面(がくもんづら)」と呼ばれ、五山文学と称される程の文芸を作り上げたことで知られます。そして、この五山文学の最高峰寺院として位置づけられたのがこの霊源院。建立当時は総合大学としての機能を備え、「学問面」を代表する寺院だったのです。
しかし近年では荒廃した状態が続き、現在の新住職を迎えてからは伽藍や境内を再整備。そして重要文化財である寺宝の中巌円月坐像(ちゅうがんえんげつざぞう)と胎内仏である毘沙門天立像が70年ぶりに保管先の京都国立博物館から戻り、拝観にも力を入れるなど一気に復興を遂げています。
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地図を見る今回公開されている「甘露庭」もやはり、近年手入れをされたまだ新しい庭園で、お釈迦さまの一生を表現した庭園となっています。その庭園に咲く青々とした甘茶。そもそも甘茶と仏教の関係とは一体なんなのでしょうか。
灌仏会(かんぶつえ)・仏生会(ぶっしょうえ)・花まつりなどと呼ばれる、お釈迦様の誕生を祝う仏教行事。実はこの行事に甘茶がかかせないものだったのです。
灌仏会では花御堂というお釈迦様の誕生を再現した像が飾られますが、この際にお盆の中に浸されている液体こそ甘茶なのです。そしてお釈迦さまが誕生した際、甘い雨が降り注いだという様子を模して甘茶を像の頭からかけるのです。
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地図を見るこぢんまりとした「甘露庭」には所狭しと甘茶の花が咲き乱れます。そんな中、実はかなり珍しい花も咲いています。江戸時代、ドイツ人医師シーボルトが「日本植物誌」で日本のアジサイとして紹介した「シチダンカ」です。
これは日本の花として紹介されたにもかかわらず、誰もその実物を見た人がなかったという幻のアジサイとされていました。その後シーボルトが紹介して以来、130年の時を経て偶然に発見されたという「シチダンカ」が霊源院「甘露庭」にひっそりと咲いています!ぜひ探してみてください。
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地図を見る甘茶の咲く庭だけでなく、霊源院は他にも見どころが。臨済宗の開祖であり、建仁寺の開山でもある栄西禅師は2度、宋へと渡り茶種を持ち帰っています。日本で栽培を奨励し喫茶の普及に努めた、いわば茶祖。
霊源院にも見事な茶室が2つ。「也足軒」と名付けられた四畳半の茶席は本堂内ににじり口がある少し変わった構造。また、本堂南側には一畳台目の茶室「妙喜庵」もあります。ちなみに霊源院の茶席では名物が惜しまず使われるとのこと!通常予約が必要な茶席も、特別拝観中は当日受付が可能です。興味があるならば一席、いかがでしょうか?
ちなみに拝観中はご住職や係員の方が丁寧に各部の説明をしてくれるというのも嬉しいポイント。気になる所などがあればどんどん質問してみるのもいいかも!青く美しい甘茶の庭が楽しめるのはこの時期だけ!ぜひ訪ねてみてください。
住所:京都府京都市東山区大和大路四条下ル小松町594
電話番号:075-531-0986
「甘露庭」特別公開期間:公式サイトをご確認ください
開門時間:10:00〜16:00
アクセス:京阪電車「祇園四条」下車徒歩約15分。市バス「清水道」下車徒歩約5分。
2019年5月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。
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この記事を書いたナビゲーター
bow
京都生まれ、京都育ちの生粋の京都人です。仕事で全国を飛び回り、京都の良さを再認識したため、京都の観光に携わる仕事をしています。全国を旅した経験と、観光業界に生きる人間としての視点、更には京都人ならでは…
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