首都圏屈指の昆虫王国! 夏の「秩父ミューズパーク」めぐり

首都圏屈指の昆虫王国! 夏の「秩父ミューズパーク」めぐり

更新日:2016/06/19 19:15

鷹野 圭のプロフィール写真 鷹野 圭 首都圏自然ライター
西武秩父駅から荒川を挟んで対岸に見える小高い山の中、秩父ミューズパークは、運動場あり、プールあり、音楽堂や野外劇場ありとバリエーション豊かな丘陵公園。秩父ならではの緑豊かな野山が残されていることが特徴です。その名前通りの“昆虫の森”ほか、園内全域でチョウやトンボを始め、子供達に人気の虫が数多く見られます。深い雑木林、広い草原、水辺……ハイキング感覚で色々な場所を巡り、虫を探してみましょう!

四季の移ろいを体感できる、自然豊かな丘の上で……

四季の移ろいを体感できる、自然豊かな丘の上で……

写真:鷹野 圭

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高い丘陵の上に位置する秩父ミューズパークは、秩父多摩甲斐国立公園の山々や巨大な浦山ダムなどを彼方に望み、展望台からは秩父の市街地を一望できます。高台ならではの魅力が満載といえるでしょう。加えて、晩冬のウメ、春のスイセンやシャクナゲ、夏のアジサイやサルスベリ、そして秋のイチョウ並木など、季節ごとに異なる草花が見頃を迎え、来園者の目を楽しませてくれます。写真はヘメロカリス(ユリ科)。パーク南口近くのなだらかな斜面一面に咲き、6月中〜下旬にかけて見頃を迎えます。近年は気温上昇に伴ってやや花期が前倒しになることもあるらしいので、事前にWebサイトなどでチェックしておくといいでしょう。

ヘメロカリスやアジサイのようないわゆる“お花畑”のほか、野の花が多く自然な雰囲気を残したスポットが多いのも特徴。とりわけ今回ご紹介する“昆虫の森”は広々とした草原を有し、初夏にはシラン、夏場にはオミナエシやオトコエシなどの山野草が開花します。こうした花々が夏、多くの昆虫たちを呼び寄せるのです。

昆虫を探すのなら、まず「花」をチェックしよう

昆虫を探すのなら、まず「花」をチェックしよう

写真:鷹野 圭

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初夏のウツギに始まり、真夏から晩夏にかけて咲くオミナエシ(女郎花)やオトコエシ(男郎花)などは、とりわけその蜜を求めて多くの昆虫が訪れる花として有名です。秩父ミューズパークの西側に広がる“昆虫の森”には、こうした植物がほぼ全域に植栽されています。それゆえでしょうか、都会では思いもよらないほどの高い密度で昆虫が暮らしているのです。

花に呼ばれてやってくるのは、やはりチョウやハチなどが多いようですね。写真は、オトコエシの花にやってきたキンモンガ。名前からもわかる通りガ(蛾)の仲間ですが、昼間に活発に飛び、翅が美しい黄色で形もチョウに似ているので、パッと見ただけではチョウと間違えてしまう人も多いことでしょう。このほか、アゲハチョウやタテハチョウ、シジミチョウ、セセリチョウの仲間が入れ代わり立ち代わり次々と姿を現し、昆虫の森のお花畑はとっても賑やか! さらにこれらのチョウを狙って、トンボやカマキリなどの肉食昆虫、そしてカナヘビ(尾がとても長いトカゲの仲間)などの小動物もやってきます。特にカナヘビの生息数はとても多く、季節によっては園路を5m歩くごとに1匹姿を見せるほど。これもまた、虫の数・種類がとてつもなく多いことの証明といえますね。

昆虫の森以外では、パーク南側の斜面に広がる雑木林が魅力。カブトムシやカミキリムシなど、森林ならではの昆虫と出合う機会も多いことでしょう。最近流行のトレイルランニングにもちょうど良いスポットです。

森の宝石 ゼフィルスも、ここでは至ってポピュラーな種!

森の宝石 ゼフィルスも、ここでは至ってポピュラーな種!

写真:鷹野 圭

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ゼフィルスって聞いたことがありますか?

主に木の上などで生活するシジミチョウのことで、とても小さいながらも色の美しい翅を持つものが多く、昆虫ファンの間では高い人気を誇ります。大体梅雨入りの頃から晩夏にかけて、自然度の高い樹林の近くなどで見られます。近年、都心ではめっきり姿を見かけなくなってしまいましたが、ここ秩父ミューズパークには豊かな自然が残されており、その美しく可愛らしい姿を“昆虫の森”を始め随所で見かけます。秩父の自然度の高さを実感しますね。

写真はアカシジミ。見ての通り鮮やかな紅色の翅を持ち、大きさは翅を広げると3〜4cmくらいでしょうか? ゼフィルスの中では比較的数が多いメジャーな種ですが、やはり都心では激減しています。しかし、ここではごく当然のように見かけられる種。樹林近くのウツギやクリの木の花などによく訪れます。高確率で出合えるのは、上記のように“昆虫の森”の中の花が咲いている場所。サイズは小さいですが翅の色が明るく結構目立つので、比較的すぐに見つかるはずです。

本種を見つけたら、ぜひ昆虫図鑑などを片手に他のゼフィルスも探してみましょう!

思わずギョッとする光景に出くわすことも……?

思わずギョッとする光景に出くわすことも……?

写真:鷹野 圭

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この写真、何が写っているのかわかりますでしょうか?

“昆虫の森”で撮影したものですが、まるで木の実か花のように、枝にたくさんの黄色いトンボがぶら下がっています。ウスバキトンボといい、首都圏でも決して珍しいトンボではないのですが、如何せんその数が凄まじい……とても数え切れたもんじゃありません。晩夏になると稀にこのように大量に飛来することがあるらしく、一斉に木に止まって翅を休めることがあるのだそうです。実はこの写真で写っているのは、氷山の一角中の一角。数株並んで植栽されている複数のウツギの木の、どれを見てもトンボがビッシリ……直に見ると面白いを通り越して不気味ですらあります。そして近づくと、それまでジッとしていたトンボたちが一斉に音を立てて飛び立ち、その光景は圧巻です。8月末〜9月初旬あたりが見頃(?)らしいので、トンボが苦手でない方はぜひ一度見に行ってみてくださいませ(汗)。

このトンボに限らず、非常に昆虫の生息密度が高いため、意外な種の思いもよらない姿を見かけるケースも多いはず。虫が苦手な方にはしんどいかもしれませんが(汗)、逆に愛着が沸くきっかけになる……かも?

お食事は、森のレストランでゆったりと

お食事は、森のレストランでゆったりと

写真:鷹野 圭

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秩父ミューズパーク内のスポーツの森には、アスレチックを中心としたアウトドア施設「フォレストパーク秩父」があります。ここのコテージ宿泊施設には本格的なレストランもあり、森の景色を眺めながらお食事を楽しめる良スポットです。写真は野菜をたっぷりと使ったグリーンカレー。野山の雰囲気を醸し出し、栄養価も高いおすすめメニューです。

ちなみにアスレチックは小学4年生以上対象で、木々の間を縫うようにかなり高いところを移動する本格派。大人でも十分に楽しめることでしょう。ロッジで宿泊し、時間に余裕を持って運動と自然体験を同時に楽しむのもいいですね。

山の自然と運動・芸術・遊びのコンテンツが共存する総合公園

ミューズとは、ギリシャ神話に登場する音楽の女神のこと。実際ここには本格的なオーケストラや音楽イベントのできる音楽堂や野外ステージがあり、パルテノン神殿を髣髴とさせるモニュメントがあるなど、ビューポイントも多い美しい公園です。昆虫を始めとした“自然”の魅力を体感しつつ、各ポイントを順次見て回りましょう。広い上に見所がいっぱいありますので、1日たっぷりと楽しめるはずです。

【アクセス】
秩父鉄道「西武秩父駅」または西武鉄道「秩父駅」より
秩父ミューズパーク循環バス「ぐるりん号」乗車

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/04 訪問

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