写真:けいたろう
地図を見る京都を代表する嵐山のランドマークである渡月橋の美しさを堪能しつつ左岸側を上流へ歩くこと数分。亀山公園への入り口や茶店を越えたあたり、川を挟んだ対岸で水面に浮かぶようにして営業しているお茶屋さんが、今回目指すべき琴ヶ瀬茶屋です。
桂川の対岸に立ち、琴ヶ瀬茶屋を見ると多くの人が「どうやって向こうへ行くの?」と思うハズ。「橋でもあるの?」、「渡し舟が来るの?」と考えるかも知れませんが、答えはどちらもノー。ヒントというか、答えは1枚目の写真に写っています。
写真中央、こちら側の川岸に係留してある黄色い手漕ぎボートには、よく見ると『琴ヶ瀬茶屋』の店名。そして、手前の看板には『向岸の茶店にお越しのお客様はこの黄色のボートをご利用ください。 嵐山 琴ヶ瀬茶屋 細川』の文字。
そう、琴ヶ瀬茶屋へは、自分たち手でオールを使ってボートを漕いで向かいます。桂川に船を浮かべ、下流に渡月橋を眺めながら漕ぐボートは風流そのもの。しかもボート使用料はナシ。貴重な体験がプライスレス!
写真:けいたろう
地図を見る写真:けいたろう
地図を見る桂川に浮かべたボートの揺れを楽しむこと数分で対岸のお店に到着。近くまで行き、係留してあったロープをお店の人に投げれば、ボートを手繰り寄せてくれるので、細かい操舵は出来なくても大丈夫。
お店の席はゴザ敷きの小上がりに四角いテーブルといった海の家スタイル。料理も焼きそば、おでん、イカ焼きといった海の家的なラインナップ。海の家で食べる焼きそばは、妙に美味しかったりしますが、壁も何もなく、川の家とも言える解放感たっぷりな琴ヶ瀬茶屋では、その効果は同等かそれ以上。
海の家的なメニューが中心の琴ヶ瀬茶屋ですが、川魚料理は絶品。川魚の天ぷらに使われるのは、嵐山の湧水を店内に引き込んだ生け簀のアマゴ!塩で食べる天ぷらは、内臓の苦味と衣の油が絶妙。ビールとの相性が完璧ですが、くれぐれも飲み過ぎには注意が必要です。
写真:けいたろう
地図を見る琴ヶ瀬茶屋から川に目をやると、多くの船が行きかいなんとも叙情的なのですが、よく見ると桂川遊覧の屋形船や、上流から来る保津川下りの船に混じって、ちょっと特殊な船の存在に気付きます。その風変わりな船は、観光船に横付けしてお酒やおつまみを販売する売店船と呼ばれる嵐山名物の船なのですが、この売店船が琴ヶ瀬茶屋にもやってきます。
琴ヶ瀬茶屋のメニューのうち、イカ焼き、みたらし団子、おでんなどは、この売店船が担当していて、それらを頼むと、川を渡って船が持ってきます。お店の人に「おでん下さい」というと、彼方からやってくる船、そして運ばれる商品。そして去っていく船。なかなかにシュールな光景です。
琴ヶ瀬茶屋は、嵐山の木々が天然のサンシェードで、風が吹けばサヤサヤと葉擦れの音が心地よく、他には水の流れの音だけが聞こえるという抜群のロケーション。自然の音に身を任せて、ビールを飲んでいると何とも駘蕩とした気分。京都の一大観光地という雰囲気ではなく、観光地化されていない、名もない南の島の木陰でくつろいでいるようなムードで、「琉球神話の海の向こうにある楽園のニライカナイってこんなトコかな?」なんて思ってしまいます。
沖縄でいう島時間のような、ゆったりまったりとした時間に身を置き、対岸に目を移すと、目いっぱい嵐山を楽しもうと歩く観光客。そんな人の流れを見ていると「もうここから動きたくない」という思いが去来。長居しそうになりますが、浦島太郎状態にならないように、その点だけは要注意です!
今回紹介した琴ヶ瀬茶屋は、穴場のお店というか、もはや、まるで楽園。一度川を渡ると帰りたくなくなります。
あまりに川に近く、台風などで川が氾濫するたびに水に沈むお店なのに、大正8年の創業以来、100年以上も歴史のある琴ヶ瀬茶屋は、知る人ぞ知るといったお店で、ホントは内緒にしておきたいんですが、あまりの理想郷っぷりに秘密にしておく事ができませんでした(笑)
ちなみに、実は琴ヶ瀬茶屋は、渡月橋から右岸側を伝って、陸路で行くことも可能。お酒を飲み過ぎても歩いて帰られるので安心です。しかし、やはり川を渡る方が断然オススメ。ぜひ行きだけでもボートで渡ってみてください!
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2023/12/10更新)
- 広告 -