台北に西本願寺があった!「八拾捌茶輪番所」で自社焙煎の極上台湾茶はいかが?

台北に西本願寺があった!「八拾捌茶輪番所」で自社焙煎の極上台湾茶はいかが?

更新日:2018/07/23 15:12

吉川 なおのプロフィール写真 吉川 なお 台湾在住ライター、元旅行会社勤務の旅行マニア
日本統治時代、台北市の中心部に「西本願寺」と呼ばれた大きなお寺がありました。戦後は廃寺となり、火災でほとんどの建物が焼失してしまいましたが、台北市政府が復元工事に着手し、「西本願寺広場」という癒しのスポットになって生まれ変わりました。

廃墟だった住職の宿舎は「八拾捌茶輪番所(バーシーバーチャルゥンファンスォ)」というお茶処に大変身!日本情緒漂う和の空間で、自社焙煎された良質の台湾茶が味わえます♪

本願寺の台湾別院

本願寺の台湾別院

写真:吉川 なお

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MRT西門駅から徒歩5分、中華路を歩いていると、突如、日本式の大きな鐘楼が見えてきます。ここは日本統治時代に浄土真宗本願寺派の台湾別院があった場所で、台湾における布教活動の拠点でした。

1922年から御廟所、鐘楼、樹心会館(布教施設)、輪番所、本堂などが建てられ、台湾一大きな日本寺院となりましたが、敗戦によって廃寺となり、残された建物群は民間宗教団体の手に渡りました。1975年に火災が発生して大半の建物が焼失すると、やがて違法建築物で埋め尽くされ、いつしかその存在も忘れられてしまいました。

この地に転機が訪れたのは、その30年後の2005年のこと。台北市政府が周辺の緑地計画に着手して違法建築を取り壊すと、焼け残った建築群が出現し、ようやく日の目を見ることに。歴史的価値も認められて、鐘楼と樹心会館は市定古跡に、輪番所、参道、本堂台座、御廟所土台は歴史建築に指定され、建物の修復工事も始められました。

2012年、工事が終了して、鐘楼には復元された鐘がつりさげられ、建物はギャラリーやお茶が楽しめる場所に変身しました。日本統治時代の建物を復活させる動きが加速している現在、地元でも注目のスポットとなっています。

お茶処「八拾捌茶輪番所」

お茶処「八拾捌茶輪番所」

写真:吉川 なお

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西本願寺広場の右手にひっそり佇む和風の建物は、1924年に建てられた住職の宿舎で、「八拾捌茶輪番所」というお茶処になりました。屋根瓦以外は大きく破損していましたが、外観は以前の姿通りに修復され、畳の広間も復元されました。

「八拾捌茶」のオーナー周杏羽(ヂョウシンユー)氏は、焙煎師として訓練を積んだ方。お茶の香りを熟知する職人で、長く培ってきた技能を基に2011年に「八拾捌茶」を立ち上げました。1号店は台北市中正区汀州に、待望の2号店がここ、輪番所です。

のれんをくぐって中に入ると、期待通りの和の世界が広がっています。窓からやわらかな自然光が入り、天然の木の香りとお茶のいい匂いがほんのり漂い、しっとりとした和の雰囲気を醸し出しています。

和のムードあふれる店内

和のムードあふれる店内

写真:吉川 なお

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お茶がいただけるスペースは入口入って右手のテーブル席、土間の上の畳の広間、庭が眺められる縁側の3カ所で、その時の気分で好きな場所が選べます。台湾人に一番人気があるのは畳の部屋で、そこから席が埋まっていくそうです。

テーブル席の前に並んでいる茶器はセンスのいい素敵なものばかり。購入も可能です。壁には美しい着物の帯が飾られ、広間には畳と座布団、庭には石灯篭まであります。そこかしこが和の趣に彩られていて、思わず台湾にいることを忘れてしまいそうな内装です。

台湾産・自社焙煎の高品質な茶葉

台湾産・自社焙煎の高品質な茶葉

写真:吉川 なお

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ここで供される茶葉はすべて自社焙煎された「八拾捌茶」のオリジナル。台湾各地の茶園から厳選した良質な荒茶を生産者から直接購入し、焙煎師が焙煎して当地で包装しています。優秀な焙煎技術によって味わい深い香りと風味に仕上げられています。

メニューにあるお茶はすべて台湾産で、ひとつひとつに産地が明記されています。おなじみの文山包種茶、烏龍茶、凍頂茶、東方美人、鉄観音などから紅茶までより取り見取りです。

「八拾捌茶」では茶葉に花の香りをつける薫花も自社で行なわれているので、薫製花茶もお勧めです。茉莉花、玉蘭花、野薑花、黃金桂花、含笑花、柚子花、晩香玉、樹蘭など台湾の植物が多く使われています。

香りを吸い取りやすい茶葉の性質を利用した薫花は、古式に従い現代の技術で花と茶葉の割合が調整されています。ベースとなる茶葉を焙煎し、つぼみが開き始めて花の香りが最も出る前に摘んだ花をまぜて薫花した後、丁寧に花を除去し、数日置いたあとにその薫製茶を再び焙煎。花の香りをより引き出すため、さらに7〜30日寝かせるという手間をかけた作業が行われています。まさに熟練焙煎師が生み出す極上の味です。

お土産用の茶葉は試飲しながら選ぶことができます。当日、お茶を飲まれた方は5%割引になります。

淹れ方さまざま、茶菓子も充実

淹れ方さまざま、茶菓子も充実

写真:吉川 なお

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お茶の淹れ方は、お椀で淹れる碗泡、蓋杯で淹れる蓋碗、急須で淹れる茶壺があり、茶葉によっては単杯(一杯)で注文できるものもあります。茶葉代とは別にお湯代を請求する茶芸館もありますが、ここは不要です。

碗泡と蓋碗は日本語が達者なスタッフが淹れ方を教えてくれます。手順を説明してくれるだけでなく、お茶選びのアドバイスなどもしてもらえるので、お土産を選ぶ際にも役立ちます。

お茶請けの茶菓子が充実しているのも高ポイント!白あん饅頭やパイナップルケーキなどの台湾伝統菓子、わらび餅、ようかん、大福餅などの和菓子、マドレーヌやクリームブリュレなどの洋菓子など多彩なラインナップで、どれも台湾茶とよく合います。週末のみクロワッサンなどの軽食セットも用意されています。

台湾で和を感じるひととき

日本情緒あふれる空間で、台湾伝統のお茶をいただく。異国でありながら、ほっとする癒しの時間がここにあります。

一般の茶芸館にはないイベントも開催されています。なんと、毎週土曜日には日本の茶道のお点前教室が!予約不要で、その場で申し出れば、着物を着たスタッフが作法をレクチャーしてくれます。台湾で日本を感じる体験です。他にも音楽会や占い教室なども開催されているので、タイミングが合えば参加されてみてはいかがでしょうか。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/18 訪問

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