JR大森駅西口を出てすぐ、豊かな木々が生えている一帯が「八景・天祖神社」。石段を登り境内に入ると、あまり広くはありませんが、駅から歩いてすぐの場所とは思えない趣のある雰囲気に驚くことでしょう。
今はビルが立ち並んでいますが、その昔、境内からは大森の海岸や房総まで見渡すことができたといわれています。そしてその景色の美しさは8つの風景「笠島夜雨、鮫洲晴嵐、大森暮雪、羽田帰帆、六郷夕照、大井落雁、袖浦秋月、池上晩鐘」と呼ばれました。文字を見るだけでも当時の風景が綺麗だったことが想像できますね!
また境内に生えていたとされる松は、平安時代の武将「源八幡太郎義家」が東征のおりに鎧を掛けて先勝祈願したという伝説があり、歌川広重の浮世絵「八景坂鎧掛松」にも描かれています。眺望が素晴らしい名勝地として、当時の人々の憧れの土地だったことが分かりますね。
天祖神社からJR大森駅に向かう階段の石段には「馬込文士村」のレリーフが飾られています。この地域には、大正末期から昭和初期にかけて、多くの文士や芸術家が住んでいました。そしていつからか「馬込文士村」と呼ばれるようになったのです。
その中には、小説家の尾ア士郎さんや宇野千代さん、川端康成さん、山本有三さん、村岡花子さんなどの顔ぶれも……。活発な文化活動を行うとともに交流もさかんだったようです。昭和初期には文士村の女性の間で「断髪」が流行。モダンガール(モガ)と呼ばれ、流行の発信地となりました。また、文士の間で相撲の話が持ち上がり「大森相撲協会」が発足、相撲大会が開かれるなどして楽しんでいたようです。
モガの先駆けとなった宇野千代さんと作家の尾ア士郎さんが新婚生活を送っていた場所が文士村でした。ふたりの人柄を慕い、家の中はいつも賑わっていたようです。そして、文士たちの語らいの場でもありました。当時の情報発信地であったことから「馬込放送局」と呼ばれていたようです。
尾ア士郎記念館は、尾ア士郎さんが1964年に亡くなるまでの10年間を過ごした家を復元し記念館としたもの。原稿用紙はもちろん、調度品など、生活の息づかいを感じる展示が魅力的ですよ!尾ア士郎さんのファンはもちろん、当時の作家の生活を知る貴重な文化財を見学できる施設として誰でも楽しむことができます。
さらに当時の作家の生活を知りたい方は、大田区立山王会館内にある「馬込文士村資料展示室」に行くことをおススメします。馬込文士村に暮らしていた文士や芸術家の写真や書簡、原稿を間近で見ることができます。
休館日:年末年始、臨時休館日あり
入館料:無料
お土産も文学にゆかりのあるものを。ご紹介したいのは「金海堂」です。和菓子といえば“餡子”ですが、こちらのお店ではすべての商品に使用している“自家製餡”が特徴。手作りの自然な味わいが、たまらない美味しさです。
なかでもオススメは「恋人の小径」。文士村には、NHKの朝ドラ『花子とアン』の主人公である村岡花子さんも暮らしていました。村岡花子さんといえば『赤毛のアン』を翻訳したことで有名ですね。「恋人の小径」は、その『赤毛のアン』をイメージして作られたお菓子なのです。あまおういちごを使ったいちご餡がとっても美味しいですよ!
以上、大森山王地区の歴史や見どころについてお伝えしました。文学好きの方も、当時の歴史を感じてみたい方にもオススメのスポットです。
今回はご紹介できませんでしたが、近くには「熊谷恒子記念館」、「龍子記念館」、「山王草堂記念館」もありますので、足を運んでみるとより一層、作家や芸術家が暮らしていた街の雰囲気を感じることができますよ!
この記事の関連MEMO
- PR -
このスポットに行きたい!と思ったらトラベルjpでまとめて検索!
条件を指定して検索
(2024/10/15更新)
- 広告 -