フランスのアンドル=エ=ロワール県、ロワール渓谷にあるのがシュノンソー城(Château de Chenonceau)です。シャルル8世の侍従であり財務大臣だったトマ・ボイエという人がいました。ここにあった建物を壊し、1515年から新しく邸宅を築きます。彼の妻の名前はカトリーヌ・ブリコネー。第九代のフランス王となるフランソワ1世とも交流があり、城に招待もしています。そしてその調度品は今も残されているのです。
後にボイエの息子がフランソワ1世に城を献上しています。その後、フランソワ1世の息子であるアンリ2世は、愛妾のディアーヌ・ド・ポワチエに城をプレゼントしました。彼女はこの地を愛します。アーチ型の橋を作って対岸までを結んだのがこのディアーヌと言われ、「ディアーヌの橋」として今でも人々を魅了しています。
しかしながらアンリ2世に死が訪れます。これをきっかけに王妃であるカトリーヌにより、1559年にディアーヌは城から追い出されたと言われいます。それでもディアーヌはアンリ2世の死を悼み、常に黒い喪服を着用してその後を過ごしたと伝えられています。
シェール川から聞こえてくる水の流れの中、優しい光がステンドグラスを通して差し込んでくるシュノンソー城は、フランス人の中でも数ある城の中でこの城が最も美しく気高いという人がいる程です。
実はこのステンドグラスは1954年に製作されたものです。もともと有った窓はその前に破壊されたからなのです。しかしながらその他は昔からの物が残され、使われています。
空間としては決して広い場所では無いのですが、ここで多くの人が色々なことを祈ったことに、同じ空間で思いをはせてみてはいかがでしょうか。
王妃であるカトリーヌが、アンリ2世の愛妾であったディアーヌのかけたアーチ型の橋の上に、1576年に建設した場所がギャラリーと呼ばれるところです。長さは60mあり、白と黒の独特の色使いが素晴らしいものです。ここはダンスホールとして使われていました。
実際に対岸まで歩くことが出来ます。窓からは川の流れを見渡せ、当時と変わらない光景を楽しむことが出来るのです。
ここは二人の女性の思いが交差する場所、と言えるかも知れません。美しいフロアーと川の流れに、皆さんは何を感じるのでしょう。
ルネサンスの暖炉があるフランソワ1世の寝室は、さすがに豪華な作りとなっています。15世紀の祭器棚、16世紀のイタリア製キャビネットが残されています。その空間の中で、王が見ていた同じ場所で、周囲をじっくりと眺めてみましょう。
今回掲載しているのはディアーヌの庭園です。庭園はこの他にカトリーヌの庭園と呼ばれる場所があり、ディアーヌの庭園は12000uの広さを持ち、カトリーヌの庭園は5500uとなっています。
二つの庭園は二人の女性の個性が出ているとされますが、大々的に作られているアンリ2世の愛妾であったディアーヌの庭園と、広さもデザインも控えめに見えるアンリ2世の王妃であるカトリーヌの庭園。
気が強かったという王妃の性格からすれば、なぜ小さな庭園としたのでしょう。一説には王妃であることから一切の見栄を張る必要は無く、あえて控えめに作ったという話もあります。
このような視点で見ることも、興味深いものではないのでしょうか。
今回ご紹介した他にも、ディアーヌ・ド・ポワチエの寝室、緑の書斎、図書室、2階には五人の王妃の寝室、また面白いところでは台所の見学をすることが出来ます。移動に使う白い階段も美しく、長い歴史を感じられる素晴らしい場所ですので、ぜひとも足を運んでみて下さい。
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