まさにビザンティン芸術の宝庫!イタリアの古都「ラヴェンナ」でモザイク美術を堪能

まさにビザンティン芸術の宝庫!イタリアの古都「ラヴェンナ」でモザイク美術を堪能

更新日:2016/08/25 15:13

Hiroko Ojiのプロフィール写真 Hiroko Oji ヨーロッパ一人旅愛好家
ヨーロッパに残る最も完成されたビザンティン文化であるモザイクが、町のあちこちに残されているイタリアのラヴェンナ。アドリア海近くに位置する古都であり、モザイク美術の宝庫といえる町です。また、フィレンツェを追われたダンテが、モザイクを称賛した作品「神曲」を書きあげ、お墓があることでも知られています。

ポポロ広場を中心に、見所が散在するラヴェンナで、お得な共通入場券を利用して見学に出かけましょう。

ガッラ・プラチーディアの廟

ガッラ・プラチーディアの廟

写真:Hiroko Oji

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イタリアの古都・ラヴェンナ(Ravenna)は、ビザンティン芸術の宝庫として、たくさんの人々がそのモザイク美術を目当てに訪れる町です。

町の中心地である市庁舎が面するポポロ広場から、北に延びる通りを進んでいくと、年季の入った煉瓦造りの簡素な外観を持つ、「ガッラ・プラチーディアの廟」に到着します。これは、5世紀半ばに皇帝と共にラヴェンナの基礎を作った、テオドシウス1世の娘であり、ホノリウス帝の妹であるガッラ・プラチーディアによる、末期ローマ建築の霊廟です。9世紀までには、すでにガッラ・プラチーディアの埋葬所と伝えられており、3つの石棺が安置されています。

内部に入ると、この世とも思えない静かな世界に引き込まれてしまいます。丸天井のモザイクは、深い藍色に金色の石片がちりばめられ、まるで満天の星空を思い描くもの。壁面はバラエティに富みながらもまとまりのある色調で構成されたモザイクが覆い、特に「よき羊飼いの図」「水盤から水を飲む白い鳩の図」は必見です。

簡素な外観のサン・ヴィターレ教会

簡素な外観のサン・ヴィターレ教会

写真:Hiroko Oji

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ガッラ・プラチーディアの廟の隣の敷地に建つのは、サン・ヴィターレ教会。395年、ボローニャで発見された聖ウィタリスの聖遺物が、5世紀頃にラヴェンナに移されたことから、その歴史が始まったとされています。最初の教会堂は、現在の教会の西側部分に建設された十字型平面の建物で、小さな霊廟としてのものでした。今日残っている姿は、521年から532年のある時期に起工されたとも、534年以降であるとも言われていますが、定かではなく、いずれにせよ、古い歴史を持つものであることに間違いはありません。

煉瓦でできた八角形の集中式平面建築のサン・ヴィターレ教会は、ビザンティン建築・初期キリスト教建築を代表するものであり、ガッラ・プラチーディアの廟やネオニアーノ洗礼堂など、周辺の建造物と共に世界遺産に登録されています。隣接する国立博物館には、イコンや象牙、織物、レリーフなど見応えがあるものが展示されています。

サン・ヴィターレ教会の内部を埋め尽くすモザイク画

サン・ヴィターレ教会の内部を埋め尽くすモザイク画

写真:Hiroko Oji

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サン・ヴィターレ教会は、簡素な外観からは想像もできないほど、内部は、圧倒されんばかりの豪華なモザイクで埋め尽くされています。

内陣入り口のアーチ部分を見上げると、中央上部にキリスト、その左右に12使徒のうちの4使徒が配置される構図のモザイクが目を引きます。その上方の大天蓋には、金色を基調に、蔦模様とさまざまな象徴が組み合わされて描かれており、中央頂点には金の光背をもつ子羊(キリストの象徴)が配置されています。これだけでも目を瞠るばかりなのですが、祭壇側面の壁に描かれた「ユスティニアヌス帝と随臣」「皇妃テオドラと侍従」は、バックに金色を配し、緑や白・黒・オレンジなどコントラストが鮮やかなモザイク画で、それはそれは神々しいばかりです。

サンタポッリナーレ・ヌォーヴォ聖堂

サンタポッリナーレ・ヌォーヴォ聖堂

写真:Hiroko Oji

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ポポロ広場周辺に集まる見所からは少し離れた所にも、素晴らしいモザイクを有するスポットがあります。そのうちの一つ、サンタポッリナーレ・ヌォーヴォ聖堂は、駅へ向かう途中に寄るのに絶好のロケーション。

6世紀初め、宮廷に隣接する王宮教会として、ゴート族のテオドリック王により建てられました。内部は広々とした空間で、コリント式の柱とアーチがずらりと並ぶその上部を、びっしりと素晴らしいモザイク画が埋め尽くしています。北側は、東方三賢王と22人の聖女たちが聖母子に貢物を捧げる様子を表したもの、反対の南側には、貢物を持った26人の殉教者たちが、聖マルティヌスに導かれてテオドリック王の宮殿からキリストの元へと向かうシーンを描いたものになっています。モザイクだけでなく天井を埋め尽くす装飾も見逃せません。

かつてダンテが眠っていた場所は、教会の裏にひっそりと

かつてダンテが眠っていた場所は、教会の裏にひっそりと

写真:Hiroko Oji

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ラヴェンナは、フィレンツェを追われたダンテが最終的に落ち着いた町として知られています。ダンテは詩人であり、哲学者、政治家でもあった人で、その代表作「神曲」の中で、「色彩のシンフォニー」としてモザイクを称賛しています。そんな彼のお墓が、ここラヴェンナの町中にあるのです。サン・フランチェスコ教会の裏、写真の緑に囲まれてひっそりと佇んでいるのは、かつてダンテが眠っていた場所であり、現在は教会横に建てられた霊廟の中に設置されています。墓石は大理石で造られており、彼を追放したフィレンツェから奉納される油で灯される灯明が、絶えることなく灯されています。

モザイク画が溢れるラヴェンナ観光は、お得な共通入場券利用で!

ここでご紹介したのはほんの一部で、ラヴェンナにはまだまだ見所が散在しています。

そのうちの一つ、ネオニアーノ洗礼堂は、ポポロ広場の南西に建っています。赤煉瓦の5世紀建築の八角形をした建物で、元は古代ローマの浴場だったとされています。丸天井のモザイク画が必見で、中央には、ヨルダン川で洗礼者ヨハネにより洗礼を受けるキリストのシーンが描かれ、その周りを見守るように12使徒たちが取り囲み、さらに外側には、象徴的な玉座や祭壇が描かれています。隣接するドゥオーモの大司教博物館にあるマクシミアヌス司教座のレリーフ、サンタンドレア礼拝堂のモザイクも見逃せません。

少し離れますが、町の南5キロメートルにある、サンタポッリナーレ・イン・クラッセ聖堂のモザイク画「キリストと12使徒を表す羊」も見事なものです。

これらの見所を周るには、各見所で手に入るお得な共通入城券利用がお薦めです。組み合わせがいくつかありますので、購入の際にお確かめくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2004/08/20 訪問

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