写真:陽月 よつか
地図を見る奈良県最大のターミナル駅、近鉄大和西大寺駅。広域な路線網を持つ駅で、東は三重の伊勢や賢島・西は神戸の三宮・北は京都・南は奈良の吉野までが、大和西大寺駅の線路で繋がっています。
また2009年9月に、平城遷都1300年祭に合わせて駅ナカショッピングモール「タイムズプレイス西大寺」がオープンしたことでも人を呼んでいます。その中に作られた展望デッキ、こちらから大和西大寺駅が日本中から鉄道好きを集めているその理由を覗くことができるのです。
ショッピングモール「タイムズプレイス西大寺」の奥に位置するこの扉、うっかりしていると見過ごしてしまいそうですが、こちらが電車を上から眺められる展望デッキへの入り口。入り口廊下には近鉄奈良線・橿原線・京都線などの、当駅乗り入れの電車が並んでいます。
利用時間は9:30〜20:00。悪天候の時以外は開いており、もちろん無料です。(電車利用がない場合は、駅構内に入るためには入場料か駅ナカショッピングモールでの買い物証明が必要です)
写真:陽月 よつか
地図を見る展望デッキに入ると一面ガラス張り! 下を通ってゆく鉄道が見えます。足元からガラスになっていて、子どもでもそのまま見られるのが親子連れに嬉しいですね。電車好きな小さな子が思わず歓声を上げるスポットです。
覗ける線路は難波・京都方面、5線の線路が乗り入れてきます。送電線の上から見ることになるので撮り鉄さん向きではないかもしれませんが、乗り入れる路線の種類が多いので、眺めるには見応え充分。
そしてこちらの線路、すべてが左右に交差する形で接続されているのがわかりますか? これが大和西大寺駅に鉄道好きが集まる最たる理由、平面交差。当駅は平面交差の数、つまり線路の切り替えポイント(分岐器)の数がとても多いので有名なのです。駅構内だけでも、なんと28器! 日本最多ではと言われています。
というのも、当駅は近鉄奈良線・橿原線・京都線が乗り入れ、その特急以下の全ての電車の発着駅、更にそれらが5方面に分岐するというたいへん忙しい駅なのです。あまりの過密ダイヤに、ニコニコ動画ではカオス駅認定をされているほど。
だったら駅を広げれば…となるところですが、それが難しいのです。というのも、奈良は工事で地面を掘るとすぐに遺跡が出てきてしまう(特にここは平城宮が近いため、ほぼ確実に地下に何かあるだろうと見られている)ため、地下工事がなかなか出来ず。用地の狭さから大規模な工事が難しくまた景観上の問題もあるため、立体交差もなかなか作れず。
そんな古都ならではの悩みのお陰で、珍しい切り替えポイントだらけの名物駅となったわけなのです。
写真:陽月 よつか
地図を見る展望デッキは難波・京都方面側ですが、実は大和西大寺駅の最大の珍しい線路ポイントは、奈良・橿原方面側の方。こちら、なんと最多部分で6本もの線路が切り替えポイントでつながっているのです。これもまた、日本最多ではないかと言われています。
その線路は御覧の通りのややこしさで、何がどう繋がっているのかパッと見ではほぼわかりません。これはもう立派な現代アート! 鉄道好きでなくても、珍しい光景に目を見張ることでしょう。
駅の前後の両方で平面交差する駅というだけでも珍しい上に、この複雑さ。切り替えポイント数が日本一なことも考え合わせると、これはもう、平面交差駅としても日本一ではないでしょうか。
切り替えポイントを愛好するタモリは、展望デッキが作られる前からプライベートで当駅を訪れていたとのこと。
また『タモリ倶楽部』などで知られる、日本で最も有名な鉄道ファンの一人である南田裕介氏が、一番好きな駅として大和西大寺駅を挙げている理由も「設置されている分岐点の半端ではない数の多さ」だとか。
写真:陽月 よつか
地図を見るまた、鉄道好きの中でも車窓風景派には、大和西大寺駅から奈良方面へと発車した電車が、平城宮跡の中を大きく横切っていくことで有名。進行方向に向かって、左に第一次大極殿、右に朱雀門と、壮大な悠久の景色を車窓から楽しむことができるのです。
電車で世界遺産を観光目的でなく横切ることができるなんて、日本でここだけではないでしょうか?
大事な遺跡を線路が横切るなんてとんでもない! との考えもありますが、こちらの線路、平城宮跡が特別史跡に指定される前から通っていて、付近住民からすると80年間以上も見慣れた風景。
「車窓から宮跡が見えて奈良らしさが感じられる」との肯定的な意見も多く(奈良新聞調べ)、奈良の人々に見守られ1300年の時を超えて、都・平城宮の中を今日も電車が走っているのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るそんな様々なタイプの鉄道好きを集める大和西大寺駅では、ライトな鉄道好きや鉄道好きビギナーも、もちろん楽しむことができます。
お手軽に気楽に電車を楽しむなら、駅ナカショッピングモールのカフェ「幡・イノウエ」がおすすめ。カウンター席から展望デッキ越しに電車を眺めることができるのです。
こちらは1、2番ホームの上辺りに当たりますので、伊勢の観光特急として有名な「しまかぜ」をはじめ、「アーバンライナー」「ビスタカー」「伊勢志摩ライナー」など、沢山の特急が入ってくる様子を見ることができます。
特等席で電車を眺めながらお茶をのんびりと…、いえ、のんびりはできないかもしれません。なにせ乗り入れ電車の種類の多さもダイヤの頻繁さも、日本トップレベルの駅。ついつい窓から目が離せなくなって、いつの間にかお茶が冷めてしまうかもしれませんね。
大和西大寺駅の楽しみ方、いかがでしたでしょうか?
ちなみにこちらの駅、これだけ鉄道好きに嬉しい駅でありながら、駅ナカショッピングモールでは奈良土産やお弁当をはじめ沢山のお店が並び、鉄道にまったく興味のない方でも楽しめるという盛りだくさんな駅。電車に乗らず買い物だけをしにわざわざ訪れる人も多いのです。
そして土日には、たくさんの鉄道好きたちが揃ってホームでカメラを構えています。これもまた駅の名物かも?
ターミナル駅なので、アクセスのしやすさは抜群! 三重、京都、大阪、兵庫、それからもちろん奈良の主要駅からすべて一本で訪れることができます。ぜひ特急車両に乗って訪れてみて下さいね。
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(2024/12/4更新)
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