写真:野水 綾乃
地図を見るJR飯田線伊那大島駅から路線バスで約50分。途中、「この先に本当に集落があるの?」と思うような細い山道を抜け、辿り着く大鹿村は、まさに隠れ里といった趣の漂う南アルプス山麓の村。2011年公開の映画『大鹿村騒動記』の舞台としても知られています。
鹿塩温泉「湯元山塩館」は、その大鹿村にあります。塩川という川が流れる谷あいに、旅館はたった2軒だけ。周囲を山の緑が取り囲み、仙郷の感が深い温泉地です。
写真:野水 綾乃
地図を見る塩川のたもとに下りたところに山塩製塩所があります。宿の人に申し出れば案内してもらえますので、ぜひ見学してみましょう。
鹿塩温泉は標高750mの山深い土地ながら、海水とほぼ同じ濃度の温泉が湧き出ています。そのメカニズムはいまだに謎ですが、村を南北に貫く大断層「中央構造線」のミネラル豊富な地質が関係していると考えられています。古くから村人は、この塩泉を汲んで煮物や漬物に利用したり、味噌や醤油の醸造に使ってきました。
山塩館の山塩作りは、明治時代の創業時から始まっています。その後、国の塩専売制度で民間製造ができなくなり、しばらく途絶えていましたが、平成に入って復活。大釜で薪を使って煮詰めるという、昔ながらの方法を守っています。出来たての塩を見せてもらうと、真っ白で、ピラミッドみたいな山型に結晶しています。味わってみると、きつい塩気はなく、塩の味の中にもほのかな甘みが感じられます。
写真:野水 綾乃
地図を見る浴室では、山塩が採れる源泉に浸かることができます。寝湯付きの檜風呂と、大鹿村の天然石を配した石風呂の2つがあり、男女入れ替えで楽しめます。露天風呂はありませんが、窓いっぱいに緑が広がり、内湯とは思えない開放感。
石風呂のほうには、12℃の源泉を加温せずにそのまま注ぐ浴槽があります。最初は冷たく感じますが、慣れるとずっと浸かっていられる心地よさ。ほのかな鉄臭と硫化水素臭が感じられ、源泉そのものの特徴を知ることができます。
写真:野水 綾乃
地図を見るさてお楽しみの夕食。山塩館の料理は専門のシェフや板長が作るのではなく、旅館を営むご家族で心を込めて調理しています。あまり手をかけ過ぎず、シンプルに美味しいものをと心がけているそう。その味の引き立て役が、手作りの山塩です。
イワナの塩焼きは、身の爽やかな香りが引き立って感じられますし、旬の野菜や野草の天ぷらを付けて味わえば、角のない塩加減が素材の濃い味わいをストレートに伝えます。特別料理の鹿肉のロティ―など、大鹿産ジビエも山塩で味わえば絶品!
写真:野水 綾乃
地図を見る山塩はお土産用にも販売されています。生産量が限られているため、購入はひとり1袋限定ですが、塩むすびにしたり、採れたてのきゅうりや、茹でたとうもろこしに付けて味わっても最高ですよ。
ほかにも「山塩アイス」は、ほどよい塩のアクセントが甘ったるくなくて、湯上がりにぴったりですし、「山塩クッキー」や「山塩羊羹」はお土産に喜ばれること間違いなしですね。
いかがでしたでしょうか。大鹿村は、パワースポットの村とも呼ばれています。隣の伊那市との境界にゼロ磁場の「分杭峠」があり、人体に好影響な気のエネルギーが集まっていると言われています。山塩館の不思議な塩泉ともなにかつながりがありそうですね。宿からは車で20〜30分。
ほかにも、春は3000本の桜が残雪の南アルプスを背景に咲き誇る「大西公園」や、6月上旬〜7月上旬にはヒマラヤの青いケシが見られます。春と秋に開催される「大鹿村歌舞伎」も有名です。
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(2024/11/8更新)
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