写真:ろぼたん
地図を見る美術館にも似たシンプルで飾り気のなさが際立った教会の外観。「この地に立ち、聖なる空間とは自然と関わるべきものであると思えた。」と感じた世界的な建築家である安藤忠雄氏が設計したのが北海道 星野リゾート トマムにある「水の教会」です。
ヨーロッパなどでよく見られる荘厳で威厳に満ちた教会とはまるで違った外観の「水の教会」。ですが「水の教会」は装飾や宗教観などがなくとも「教会の原点」が感じられるのです。コンクリートやガラス、鉄といった無機質な現代的な素材で建てられていますが、そこから取り込まれた自然がより印象的にドラマチックに感じられる、そんな造りになっています。
写真:ろぼたん
地図を見る教会内に入って感じる違和感。ステンドグラスなし、祭壇なし。通常、ヨーロッパの教会の多くは縦長でクロス状の建築がされることが多いのですが、「水の教会」のチャペル内は横長、長方形の佇まいです。正面の大きなクロスによって、ここが教会であるということが伝わってくるものの、通常イメージする教会とは少し勝手が違うのです。あえて宗教的なものが除かれたことで、より強い神秘性を感じるかもしれません。
緑の美しいトマムの森、水の流れる音、光の揺らぎ、風の声。それは正面に絶え間なく流れる水によってより強く感じます。それらの自然を映すかのような正面の水はコンクリートの天井に反射して、ゆらゆらと光のカーテンを引くことも。日によって、時間によって違った表情をみせてくれる教会です。
写真:ろぼたん
地図を見る先ほどあるべきはずの「祭壇がない」と言いましたが、実は祭壇の役割を果たしているのが正面にある「水」です。絶え間なく流れるこの水は、トマムの地を流れる川から引いており、清らかに流れ続ける聖域です。
水の祭壇を前に佇めば、目の前に広がる自然がゆっくりと身体の中に流れ込んでくるのを感じるのではないでしょうか。それはまるで京都の寺にある石庭のような世界感に似ています。自然の美や宗教観を意図的に配置した石などで表現した石庭と、「光、水、緑、風」をドラマチックに感じられるように、日常の喧騒から隔絶された場所に建てられた「水の教会」。日本の「禅」にも似たものを近代的な教会で表現しているともいえるでしょう。
「水の教会」ではもちろん結婚式を挙げることができます。朝、昼、夕方、夜と違った魅力のある時間から選ぶことが可能です。親族と親しい友人とで祝う小規模なものが多いとのこと。もともと式はあげるつもりはなかったけれど、2人で北海道旅行を…と雲海で有名な星野リゾート トマムを宿に選んだらこの美しい「水の教会」を発見し、2人だけの式を挙げたカップルも数多いというのも頷けます。
「水の教会」の公開時間は時期によって異なっています。結婚式やその準備の時間には立ち入ることはできませんので、一般開放の時間にあわせて他の予定を組んでおきたいところです。
教会内部へ入るまでのアプローチは、わざと長く歩くように設計されています。その路の途中で取り込まれている光と影や風薫る美しい自然や水の流れは、訪れる季節、時間によって全く違った美しさを見せてくれますよ。
星野リゾート トマムの「水の教会」は、安藤忠雄氏が設計した「光の教会」(大阪)、「風の教会」(兵庫)の教会三部作のひとつといわれています。「光、水、緑、風」といったテーマの全てが感じ取れる「水の教会」は、時の流れを映し出す鏡のような美しい水の祭壇が自然の力を取り込んで、神秘的な時間や幻想的な空間を造り出しています。
「水の教会」の存在を知っている人は、ここを目的に訪れる人もいるほどなのですが、雲海で有名な「星野リゾート トマム」にあるということを知らない人も多いとか。一般の人向けの公開時間を目掛けて一度は訪れたい教会です。
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(2024/12/12更新)
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