九州でお芝居ば観るけん!「博多座」で舞台芸術と博多の魅力を堪能

九州でお芝居ば観るけん!「博多座」で舞台芸術と博多の魅力を堪能

更新日:2016/08/05 11:12

ゐさ よりこのプロフィール写真 ゐさ よりこ 舞台芸術ライター
博多には、「舞台芸術の街」という一面もあることをご存知ですか?
博多市内有数の繁華街である中洲川端駅周辺は、かつては芝居小屋が建ち並ぶ興行の盛んな地でした。今も、その面影を残す施設があります。それが「博多座」。西日本一帯から観客が訪れるという九州最大級の舞台芸能文化発信地・博多座の魅力と、楽しみ方をご紹介します。

博多の繁華街にある「芝居小屋」

博多の繁華街にある「芝居小屋」

写真:ゐさ よりこ

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今でこそオフィスビルが道沿いに並ぶ中洲川端駅周辺ですが、その昔は、明治時代から大正期にかけての頃は、ビルではなく芝居小屋が建ち並んでいました。その中で、客席数1,000席と当時としては巨大な劇場だったのが、洋風劇場「博多座」。明治時代に大流行した『オッペケぺー節』を生み出した博多生まれの演劇人・川上音二郎によって建てられました。日本近代演劇史に残る人物が遺したその名と伝統を今に受け継いだのが、中洲川端駅出口の目の前に威風堂々と建つ「博多座」です。

今でも、博多座は九州最大級の劇場。あらゆるジャンルの舞台芸術を上演できる「演劇専用劇場」で、実物大ヘリコプターが舞台の天井を飛び回るような大掛かりな演出も、この博多座であればできます。歌舞伎を九州で定期上演しているのも、この博多座だけ。お芝居好きには、わざわざ本州から来てもいいなと思わせる、結構な魅力を持つ劇場です。

わざわざ博多で芝居を観る理由

わざわざ博多で芝居を観る理由

写真:ゐさ よりこ

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「大きな劇場があちこちにあるのにわざわざ行くの?」と、思われるかもしれません。同じ‟大劇場”でも、博多座は、ちょっと違うのです。

大きな劇場には、ある共通の特徴があります。それは、当然のことですが舞台と客席の距離が遠いこと。都内の名だたる劇場は、客席が2,000席くらいあります。そうなると、「通」の好む3階席からは、役者が米粒にしか見えない、なんてことに。博多座は「九州最大級の劇場」ですが、実は全国にある他の大きな劇場と比べると、やや小さいのです。それが、大きな劇場なのに、大きな劇場とは違うところなのです。

九州地方で最大級の劇場なので、たとえば、都内のある大劇場で上演された大人気ミュージカルが、博多座で上演されることになった場合は、演出も規模もそのままで上演されます。舞台の上の大きさは、他の大劇場と同じなのですね。席数が少ないだけ。お気づきになりましたでしょうか。そう、席数が少ない分、後ろのほうの席でも、舞台に近くなるのです。「大掛かりな演出」を、他の大劇場と比べてより間近に観ることが出来るのです。

そして、演目にもよりますが首都圏よりチケットがいくらか取りやすいのも、博多座の魅力。「都内の劇場では取れなかったけど、博多で取れたから観てくるわ」で、飛行機で博多へGo!なんて、気軽なのに優雅で贅沢な旅が、博多座ならできてしまいます。博多座から地下鉄でたった4駅の福岡空港には、全国各地からのフライトがありますから、最寄りの空港から1〜2時間で、博多座まで直接来ることが出来ますよ。

お芝居以外の「お楽しみ」で、博多そのものを堪能

お芝居以外の「お楽しみ」で、博多そのものを堪能

写真:ゐさ よりこ

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わざわざ来てお芝居だけ観て終わり?なんてことはありません。博多座では、お芝居を観る以外の楽しみもたくさんあります。観劇の休憩時間(20〜30分くらいの休憩が入ります)に、中央部のロビーへ下りてきてください。そこは、博多の味が集められているゾーンなのです。

おいしいコーヒーを淹れるカフェ、福岡県の特産品を使ったアイスクリーム、焼きたて惣菜パン、などなど。お弁当売場に出店しているお店には、博多市内の老舗料亭の名も。手が出ないような格式あるお店のお料理が、わりとお手軽価格で、気軽に味わえてしまうのです。「にわかせんぺい」や辛子明太子など、博多名物を一同に集めた売店もあります。

そもそも、博多座は祇園や天神、中州といった、福岡県の繁華街に近い場所にある劇場。東京都内で言うと、銀座に近い歌舞伎座みたいなイメージです。チケットの半券を持って外へ出れば、30分の休憩時間内に、繁華街をお散歩してくることも難しいことではありません。また終演後に、中州へ向かって飲食店を見つけることも、何ら難しいことではありません。バスを使って移動すれば、博多市のショッピングセンター「キャナルシティ博多」もすぐ近く。お芝居を目的にするのではなく、「旅の一部」としても、十分に楽しめるのです。

でも、一番素敵なものは…

でも、一番素敵なものは…

写真:ゐさ よりこ

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そんな、いろいろな魅力を持つ博多座ですが、もうひとつ、他の劇場にまさる素敵なところがあります。それは、劇場内のスタッフ。

「ようこそ、お越しくださいました。どうぞ、心行くまでお芝居とその空間を楽しんでいって下さい。」このお気持ちを、劇場内のスタッフの方々は、絶やすことのない満面の笑顔で表現してくださいます。気さくで明るく、笑顔で人を「おもてなし」する博多っ子気質がここにあります。

小さいことに見えますが、これ実は、劇場ではわりと大事なのです。「お芝居自体は良かったのに、スタッフは何を聞いても仏頂面、後味悪いなあ〜」ということになると、お芝居の感想なんて消えてしまいます。のちのちまで良い印象を残して帰れる劇場は、良質な劇場です。

九州最大級の劇場で、舞台芸術も、博多の街も楽しめる

福岡空港から地下鉄で16分。駅出口の前にそびえる、クラシカルな建物。それが「博多座」。「観劇なんて普段しないから」「わざわざ博多まで来てお芝居なんて」と思う方にこそ、ぜひ、博多旅行のついででも、お芝居目的でも、行っていただきたい場所です。辛子明太子を買う街と見ている人にも、違う視点から博多を楽しむ方法として、いかがでしょう。博多の「舞台芸術の街」としての表情を、食の楽しみとともに堪能できるところは、この博多座がイチバン。というか唯一。

博多座で、隅から隅までずずずい〜っと、お芝居を、そして、博多を、堪能してください。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/24−2016/06/25 訪問

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