熊本・山鹿灯籠祭りで、千の灯りに「あなたもお酔い」

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熊本・山鹿灯籠祭りで、千の灯りに「あなたもお酔い」

熊本・山鹿灯籠祭りで、千の灯りに「あなたもお酔い」

更新日:2017/07/25 11:36

風祭 哲哉のプロフィール写真 風祭 哲哉 B級スポットライター、東海道完歩ブロガー、青春18きっぷ伝道師

豊前街道の宿場町として情緒ある古い町並みが残る温泉の町、熊本県山鹿市。この静かな町が夏のお盆の2日間、美しくも艶めかしい熱気に包まれます。
「よへほ」という哀愁を帯びた調べに乗せて、浴衣姿の女性が大きな金銀の灯籠を被ってしなやかに舞う「山鹿灯籠祭り」。
暑さのピークが過ぎ、頬を撫でる風からかすかに秋を感じる夜、幾重にも重なる灯の輪がゆらゆらと妖しく揺れる情景は、見る人を幻想的な世界へと誘います。

和紙の芸術、山鹿灯籠

和紙の芸術、山鹿灯籠

写真:風祭 哲哉

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古くから豊前街道の宿場町として賑わっていた熊本県山鹿市は、歴史と情緒にあふれる古い町並みが今でも残る静かな湯の町でもあります。

その山鹿の名産品である山鹿灯籠が、山鹿灯籠祭りの象徴。その由来は、日本書紀の時代という遠い昔、山鹿の地を訪れた景行天皇が、菊池川に立ち込めた深い霧に進路を阻まれた際、山鹿の里人がたいまつを揚げてお迎えしたことから始まります。その後、里人たちは天皇の滞在した御所跡に毎年たいまつを献上していたのですが、室町の頃から和紙で作られた灯籠を奉納するようになったのでした。

和紙の芸術、山鹿灯籠

写真:風祭 哲哉

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山鹿灯籠は和紙の芸術と言われていて、この灯籠祭りで踊り子たちがかぶる美しい金灯籠も、木や金具は一切使わず、和紙と少量の糊だけで作られている、というから驚きです。でも確かに紙でなければ、頭の上にこんなに大きな灯籠を載せてしなやかで美しくは踊れませんね。

また、灯籠祭りの当日は、高等な技術を有した数人の灯籠師が製作した神殿造り、座敷造り、城造りなど様々な様式の約30基の灯籠が、町のいたるところで奉納されています。

和紙の芸術、山鹿灯籠

写真:風祭 哲哉

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山鹿灯籠踊りのよへほ節は「酔っちゃいなさいよ」という逢瀬の歌

山鹿灯籠踊りのよへほ節は「酔っちゃいなさいよ」という逢瀬の歌

提供元:くまもと写真館

http://kumaphoto.jp/

浴衣姿の女性が灯籠の灯りを揺らしながら妖しく舞う、山鹿灯籠踊りのバックに流れるのは「よへほ節」。これは古くから山鹿で伝承されてきた俗謡系の三味線唄。

主は山鹿の骨なし灯籠
よへほよへほ
骨もなけれど肉もなし
よへほよへほ

「よへほ」の解釈には諸説あるようですが「酔へ+ほ(相手の気を惹き、注意を促す肥後弁)」で「あなたも踊りを見て酔っちゃいなさいよ、ホラッ」という意味に訳されることが多いようです。

山鹿灯籠踊りのよへほ節は「酔っちゃいなさいよ」という逢瀬の歌

写真:風祭 哲哉

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この、現在のヨヘホ節の歌詞は野口雨情によって美しく書き直されたものですが、元唄は、夜中に家の裏口から忍び込んだ男が、女の部屋の窓にこんにゃくを投げて誘い出し、そして天国のようなところへ二人連れ・・・といった男女の逢瀬や呼び合いを歌った、もっと土俗的で艶めかしいものだったとも言われています。

そんな伝承があるからなのでしょうか、ピンクの浴衣に大きく書かれた「よへほ」の文字が、ゆったりとした情緒漂う調べにのって右へ左へと舞う姿がひときわ妖しく映るのは。

山鹿灯籠祭りは大宮神社での奉納灯籠踊りでスタート

山鹿灯籠祭りは大宮神社での奉納灯籠踊りでスタート

写真:風祭 哲哉

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山鹿灯籠祭りは、毎年8月15日と16日の2日間にわたって行われます。そのスタートは市内の大宮神社で8月15日の18時30分からはじまる奉納灯籠踊り。夏の夕暮れがまだ訪れる前、鮮やかなピンクの浴衣を着た踊り子の舞からこの艶やかな祭りがはじまります。

この踊り子たちは「山鹿灯籠踊り保存会」のメンバー。山鹿近郊に住む高校生以上の未婚の女性しか入れないのだそうです。メンバーは仕事や家事の合間を縫って稽古に励み、この祭りの舞台で一糸乱れぬ優雅な舞を披露するほか、全国各地のイベントや海外公演などにも参加して山鹿のPRにも貢献。境内はこの踊りを楽しむたくさんの人であふれ、彼女たちの美しい所作を写真におさめています。

幻想的な山鹿灯籠踊りは、夜が似合う

幻想的な山鹿灯籠踊りは、夜が似合う

写真:風祭 哲哉

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大宮神社での奉納灯籠踊りが終わると、「山鹿灯籠踊り保存会」の踊り子たちは市内の中心部へと移動します。次に踊りが行われる市内のメインストリートまでは徒歩10〜15分程度ですが、なんと彼女たちはその浴衣姿のまま隊列を組んで足早に歩いて移動するのです。この艶やかな浴衣姿の大移動も山鹿灯籠祭りの隠れた見どころのひとつかもしれません。

幻想的な山鹿灯籠踊りは、夜が似合う

写真:風祭 哲哉

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九州の遅い日の入りがようやくはじまり、あたりがうっすらと闇に包まれる頃、「おまつり広場」と呼ばれる市内の目抜き通りで、2回目の灯籠踊りが行われます。沿道には山鹿温泉の総湯であり町のシンボルでもある「さくら湯」があり、細川藩の御茶屋を起源とした重厚感あふれるその建物と灯籠踊りのコラボレーションが見られるあたりがベストポジションかもしれません。

灯りをともした金灯籠がおぼろげに、そして妖しげに揺れ動くさまは、まさに幻想的。山鹿灯籠踊りは、やっぱり夜が似合います。

幻想的な山鹿灯籠踊りは、夜が似合う

写真:風祭 哲哉

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山鹿灯籠祭りのハイライト、千人灯籠踊り

山鹿灯籠祭りのハイライト、千人灯籠踊り

提供元:くまもと写真館

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15日の夜は、祭り会場からほど近い菊地川河畔で納涼花火大会も行われますが、山鹿灯籠祭りのハイライトはなんといっても翌16日夜の「千人灯籠踊り」 。これは文字通り、頭上に金灯籠を載せた女性1000人の踊り。山鹿小学校の校庭に設けられた特設会場のやぐらを中心として踊りの輪が幾重にも連なり、闇の中に浮かび上がる千の灯が、「よへぼ」の調べにのって渦のように揺らめく様子はまさに圧巻のひとこと。

山鹿灯籠祭りのハイライト、千人灯籠踊り

提供元:くまもと写真館

http://kumaphoto.jp/

この千人灯籠踊りは第1部、第2部と2回行われますが、桟敷席や枡席なども用意され、事前に予約が可能です(有料)。また太鼓や子供たちの灯籠踊り、松明行列などもあり、千人灯籠踊り以外も楽しめます。

山鹿灯籠祭りで、ぜひ妖しく酔ってみよう

山鹿地方は、2016年の熊本の震災でも幸いなことに大きな被害はなく、山鹿灯籠祭りはその後も例年と大きく変わることなく開催されています。

毎年お盆の時期には全国各地でさまざまなお祭りやイベントが行われていますが、この山鹿灯籠祭りはその中でも1度は行ってみる価値のあるもの。
ぜひ「よへほ」の調べにのって、妖しくも美しい夏の夜に「あなたも酔っちゃいなさいよ、ホラッ」。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/08/15 訪問

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