写真:SHIZUKO
地図を見るえっ、骨仏(こつぼとけ)って? 骨の仏様?一心寺に親しみのない方には、驚愕の響きかもしれない骨仏は、まさに、御遺骨で作られた阿弥陀如来像なのです。
大阪の核心部にある一心寺は、戦災で死亡した方、流行り病で亡くなった方など、名もなき方々を供養してきたお寺。そんな経緯があり、納骨された方々を供養しようと、遺骨そのもので仏像を作り、大切にお祀りするという前代未聞の風習が始まりました。
初代は明治20年。それ以来10年に一度作られてきた骨仏は、現在、14体目。実際は第二次世界大戦で焼失した第七代以前の仏像はなく、ご遺灰で一体となっています。一体につき、約16万体の遺骨から作られる骨仏。全国から納骨される御遺骨で建立された阿弥陀様のお顔を見れば、懐かしい故人の面影が観られるとも言われています。
身内の方が、阿弥陀仏として多くの方から手を合わせていただく仏様に生まれ変わる一心寺。こんなに素敵な供養が出来る場所は他にはありません。
骨から作られるためか、とても白くて大きな阿弥陀如来さま。上の写真のお堂の奥に並んでいらっしゃいます。作られた年代の案内板もあり、どの仏様がいつ作られたかわかるようになっています。そのお姿は、ぜひ、ご自身の目でお確かめください。
写真:SHIZUKO
地図を見る施餓鬼(せがき)=餓鬼道に落ちた霊に、食べ物を与え、供養すること。
その功徳がまわりまわって、現生の自分達を幸せにしてくれると信じられているお参り方法です。ちなみに餓鬼道とは、仏教の世界で六つあると考えられている六道のひとつ。飢えと渇きにさいなまれるお腹が出た餓鬼という醜いものの住む世界。食べ物を口に入れようとすると火になってしまい、一切の食べ物を拒絶され苦しむ世界。それが餓鬼道です。
一心寺は、古くから、年中、施餓鬼を受け入れているお寺として親しまれてきました。細かな宗派に囚われず受け入れてもらえることも庶民にとっては有り難く、一心寺が、広く多くの人に信頼されている所以です。
写真:SHIZUKO
地図を見る庶民に親しまれている由縁のもうひとつ理由に、断酒の聖地であるというちょっとびっくりな理由があります。
境内に、本多出雲守忠朝のお墓があります。ここが断酒を誓う人の聖地なのです。というのも、本多出雲守忠朝は、徳川家康の四天王の一人と数えられた本多忠勝の次男。関ケ原の合戦では大活躍したものの、大坂夏の陣では酒のせいで、大失態を犯した。そんな経験から、死に際に、酒でしくじる人々をなくしたいと願い瞑目したということから、酒封じの神として祀られ、多くの人が訪れています。
切実な願いが書かれたしゃもじを見ていると、ちょっと身につまされます。お酒のことでお困りの方は、一度、お参りされるのもいいかもしれません。
写真:SHIZUKO
地図を見る平成9年に2年の歳月をかけて建て替えられた山門は、まるで美術館か博物館のエントランスのよう。多くのお寺の山門の仁王像は武器を持っているのですが、一心寺の仁王像は素手で戦っています。山門の中に閉じ込められていない自由な仁王像ならではでしょうか。とてもモダンな作りの山門。本当に、ここ、お寺?と思ってしまうほど。一見の価値ありです。
写真:SHIZUKO
地図を見る一心寺は、毎日、施餓鬼供養が行われたり、骨仏があったりとユニークなお寺です。写経道場も整備されていて、いつでも望む人は写経が可能です。また、ヨガ講座で心と体を綺麗に保つ試みもあります。境内の隣には三千仏堂があったり、住居困難者のための入浴サービスを行ったり、そして何より驚くことは、劇場を運営しているということです。若者の文化育成にとても重要な劇場ですが、不採算部門ゆえに、行政ですら劇場運営から手を引くご時世。劇場不足で表現場所が狭められてしまった今、大阪の舞台芸術発展に一心寺が果たしている役割は計り知れません。
決して広くない境内ですが、全国から納骨に訪れる人が後を絶たない人気のお寺です。境内には休憩処もあり、広い本堂でゆっくり過ごすこともできますから、一度行ってみて下さい。
大阪から20分という超便利な位置にある天王寺地区は、あべのハルカスや天王寺動物園、大阪市立博物館やてんしばなど、行ってみたい場所がたくさん。串かつや大阪グルメが堪能できる新世界もすぐそばです。大阪観光のついでに、ちょっと足を延ばしてみて下さいね。
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(2024/11/6更新)
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