東京・神保町「揚子江菜館」は“冷やし中華始めちゃった店”

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東京・神保町「揚子江菜館」は“冷やし中華始めちゃった店”

東京・神保町「揚子江菜館」は“冷やし中華始めちゃった店”

更新日:2016/07/08 13:51

Naoyuki 金井のプロフィール写真 Naoyuki 金井 武蔵国ナビゲーター、歴史探索ブロガー

本の街で有名な神保町には数多くの中華料理店があります。その中でも最も古い中華料理店が"すずらん通り"にある『揚子江菜館』。
110年の歴史を持つ老舗中の老舗ですが、注目するのは《冷やし中華》発祥の店であることです。「冷やし中華はじめました」のフレーズはこの店の為にあるようなもので、日本の夏の風物詩はここから始まったのです。
本格的な中華料理の店で食べる、元祖冷やし中華の味わいを楽しんでみましょう。

揚子江菜館とは

揚子江菜館とは

写真:Naoyuki 金井

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魯迅や蒋介石、周恩来が生まれ育った場所として有名な中国"寧波"で生まれた周所橋が、明治39年西神田で開業したのが『揚子江菜館』。元は「支那そば」と云う屋号で営業していましたが、店名を改めた年を創業年としています。その時のシンボルが京劇の化粧をしたお面で、現在はこれが登録商標となっています。

初代周所橋は、常に貧しい留学生を支援し、お金が無くてもある時払いで料理を食べさせたそうです。そういった面倒見のよい性格が"寧波華僑総会"と"神田中華組合"を創立し、初代会長を務めた原動力となったのです。
そして店は震災後、昭和初期から現在の神保町すずらん通りに移転しました。

元祖冷やし中華

元祖冷やし中華

写真:Naoyuki 金井

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初代の長男で生れも育ちも日本人なのが、2代目周子儀(大谷子儀)です。店を起こした初代に変わり、2代目が行ったのは店のメニュー作りで、現在の店のメニューの基盤となったもの。初代からの特徴であった三杯酢から起こした"タレ"を、2代目は日本人の口に合うように改良したのです。それが「甘いけどサッパリしてくどくない」酢タレの味でした。

味のシンボルである甘酢系の料理が《酢豚》《かに玉》《肉団子》《鶏のから揚げ甘酢掛け》等があり、その代表格が《冷やし中華》。2代目が神田の老舗「まつや」の蕎麦が好きだったことから、中華そばの"ざる蕎麦"から発想し、「雲を頂く富士山の四季」をイメージして昭和8年に産まれたのです。

五色涼拌麺

五色涼拌麺

写真:Naoyuki 金井

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こうして生まれた元祖冷やし中華ですが、このような元祖や発祥にはいつの時も諸説あるのが常です。
冷やし中華の発祥説には、ここ揚子江菜館と仙台にある「龍亭」というお店の二説あるのですが、それぞれの主張を聞く限りでは龍亭は自ら昭和12年に生まれたとあるので、一応、揚子江菜館が元祖、発祥の店と考えてよいでしょう。

こうして生まれた冷やし中華は『五色涼拌麺』と名付けられ、名前の"五色"が富士山の四季を表しています。春の土のチャーシュー、夏の緑がキュウリ、秋の落ち葉のタケノコ、冬の雪が寒天、そして富士山頂にかかる雲を、錦糸卵で表現しており、タップリかけられたタレが富士五湖なのです。

甘酢系グルメ

甘酢系グルメ

写真:Naoyuki 金井

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見事にそびえ立つ富士山は、かなりボリューミーで沢山の具材が使われています。きゅうり、シイタケ煮、エビ、チャーシュー、シナチク、いんげん、寒天、錦糸玉子というランアップですが、富士山に掛かった錦糸玉子の雲を取り除くと、何と溶岩や雪をイメージした鶏だんごとウズラの玉子が現れる凝り様なのです。

冷やし中華には珍しいストレートの細麺は、濃く甘いタレが適度に絡むので、スルッとした喉越しの良さとサッパリ感が強調されています。全体を包む八角の香りが本格的中華料理の味わいで、最後は意外な酸味に包まれる逸品。現在の冷やし中華では味わえない深い味なのです。

老舗中華の味

老舗中華の味

写真:Naoyuki 金井

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勿論、老舗の揚子江菜館では、とにかくメニューが豊富です。特に括ってしまうのがお好きで、五色涼拌麺と三絲冷麺、そして坦坦冷麺を《三大冷麺》と呼んでいます。また池波正太郎が好んで食べた上海式肉焼きそばと、栄養バランス満点な五目焼きそばを揚子江菜館《名物やきそば》にしています。

《揚子江辛み三兄弟》は、海鮮麻辣湯麺(しびれ辛)、上海坦坦麺(甘辛)、酸辣湯麺(すっぱ辛)の三つで、これに乾隆肉麺を加えると《そば四天王》と呼び、一見整然としたカオスなのです。

その他サービス品として、200gのハンバーグの乗った獅子頭カレーなど、とにかく目移してしまうメニューが溢れています。

最後に。。。

2016年110年を迎える老舗『揚子江菜館』はいかがでしたか。
冷やし中華(五色涼拌麺)が1,500円(取材時)と聞いて二の足を踏むかもしれませんが、歴史と伝統、そして味と量を考えると元祖冷やし中華の価値はネタとしても十分余りある物があります。
是非、一度「冷やし中華始めちゃったお店」で、元祖冷やし中華を味わって下さい。きっと発祥の味と姿に感動すること間違いありません。

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掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/03 訪問

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