千葉・濃溝の滝〜岩のトンネルを貫く秘境の渓流

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千葉・濃溝の滝〜岩のトンネルを貫く秘境の渓流

千葉・濃溝の滝〜岩のトンネルを貫く秘境の渓流

更新日:2016/07/08 15:32

大木 幹郎のプロフィール写真 大木 幹郎 巨木マニア、中級登山者、ブロガー

東京湾と太平洋に挟まれた、千葉県の房総半島。美しい海岸線に観光スポットが集中していますが、内陸部の丘陵地帯にも、多くの景勝地が秘められています。この地域で近年、特に注目を集めているのが濃溝の滝。大きな岩のトンネルを貫く滝と、そこから続く美しい渓流。房総半島の秘境をご紹介します。

幻想の世界への入口・濃溝の滝

幻想の世界への入口・濃溝の滝

写真:大木 幹郎

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濃溝の滝(のうみぞのたき)がある場所は、房総半島のほぼ中央、君津市にある清水渓流広場。周囲は、標高300m台の緩やかな山地が主脈を成す、県内でも特に緑の豊かな地域です。清水渓流広場は、片倉ダムの上流、笹川の渓流沿いにある自然公園で、ここの南端に濃溝の滝があります。

濃溝の滝は、渓流の岩壁に穿たれた大きな岩のトンネル。トンネルの下には、小さな段差の滝が作られ、そこを渓流の清水が流れていきます。不思議の世界への入口のような幻想的な岩のトンネル、渓流を囲む高い岩壁、広い岩の川底。ここは正しく房総半島の秘境です。

清水渓流広場は、内部を周遊する遊歩道が整備されていて、駐車場のある入口から一周すると約15分。遊歩道の先からは、渓流の浅瀬に下りることができ、濃溝の滝を間近に眺めることが出来ます。県道沿いで遊歩道も整備された場所。濃溝の滝は、実は比較的にアクセスが容易な秘境です。

濃溝の滝は川廻しのトンネル

濃溝の滝は川廻しのトンネル

写真:大木 幹郎

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渓流が貫く岩のトンネル・濃溝の滝。このトンネルの穴は、なんと人力で掘削されたのです。今から約350年ほど前の江戸時代、久留里藩の藩主・土屋氏によって進められた、川廻しによるもの。川廻しとは、曲がった川を真っ直ぐに短縮し、農地を拡大する河川工事です。川の蛇行部分の前後に、最短で真っ直ぐ繋がる新流路を堀り、蛇行した旧流路は、埋め立てて農地としました。

清水渓流公園を周遊する遊歩道の東側は、川底のように低い位置にあり、ほぼ全体が木道です。この遊歩道は、川廻しを行う前の、笹川の旧流路だった場所の一部。濃溝の滝を経由しない旧流路は、県道24号線の東側を蛇行しながら北上、清水渓流公園の入口付近で、木道の遊歩道となっている場所と繋がっていたのです。

濃溝の滝の見所

濃溝の滝の見所

写真:大木 幹郎

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濃溝の滝の見所について3つ簡単にご紹介します。

■濃溝の滝の観賞地点
滝の代表的な観賞地点は、浅瀬の岩場と高台の2つ。滝の正面にある浅瀬の岩場へは、木道の遊歩道から近づきます。ここは滝を正面にして間近に眺めることができる、特に人気の場所。高台とは、遊歩道の西南端、幸運の鐘と階段のある位置で、滝を見下ろせる格好の展望台です(写真はこの位置から撮影)。この高台からは、濃溝の滝の奥から続く、小さな滝を見通せます。なお、この小さな滝の一番下の段にある岩は、亀のような形をしていることから、濃溝の滝は、亀岩の洞窟とも呼ばれています。

■濃溝の滝に差し込む朝日
滝のトンネルは、ほぼ東西に貫通しているため、早朝は朝日の光がトンネルに差し込む、奇跡のような光景を目の当たりにできます。朝日が差し込む時刻は、日の出から約1〜2時間後。近年、濃溝の滝が一気に注目されるに至ったのは、SNS(Twitter、Instagram、Facebook等)によって、この場面の写真が拡散し、大勢の感動を集めたためです。

■ホタル
夕方以降に、ホタルが見られるようになるのは、6月下旬から7月上旬。場所は、清水渓流公園の東側にある木道の遊歩道の一帯です。日没後は真っ暗になりますので、足元を照らす照明器具は必須。

清水渓流公園で見れるもう1つの滝

清水渓流公園で見れるもう1つの滝

写真:大木 幹郎

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清水渓流公園で見ることが出来る滝は、実は濃溝の滝の他にもう1つあります。この滝がある位置は濃溝の滝の下流で、遊歩道上の東屋がある辺りから西側に見下ろすことができます。平らな岩の川底全体が、約4mほどの落差で切れ落ちた場所にある滝です。中々に見応えがありますので、濃溝の滝を観賞する前後で、忘れずに見ておきましょう。

写真は、もう1つの滝を、その上部から接近して撮影したもの。ダイナミックに切れ落ちた岩棚の先に、幅の広い渓流がどこまで続いています。

もう1つの滝へは、濃溝の滝の前から、渓流の中を歩いて近づいています。この滝へどうしても接近されたい場合は、危険がありますので、その道の経験者(沢登り、渓流釣り、現地を知る人)に必ず先導してもらいましょう。

濃溝の滝から続く秘境の渓流

濃溝の滝から続く秘境の渓流

写真:大木 幹郎

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写真は、先にご説明した、もう1つの滝の上部の眺め。濃溝の滝から先の渓流は、このような広い岩の川底が続いています。濃溝の滝だけでなく、続く周囲の渓流にも、美しい秘境の景観が広がっているのです。

最後に、濃溝の滝の名前にまつわる小話をひとつ。昔、濃溝の滝の下流にある、この滝の端には水車小屋があり、岩に溝を彫って水車を回していたといいます。農業用の水車を回す溝。農溝。この滝も、農溝の滝と呼ばれていたそうです(現地掲示版より)。上流にある川廻しのトンネルの名前が、濃溝の滝で定着した由来は、下流にあるこの滝にあったのです。

おわりに

以上、濃溝の滝のご紹介でした。大きな滝のトンネルから続く渓流は、まるで不思議の世界への入口のような、とても幻想的な景観です。とてもインパクトのある景観ですが、山の急流にあるような荒々しさはなく、穏やかな雰囲気に包まれています。目に優しい渓流を包む木々の緑、耳に心地よい緩やかな水の流れ、近づく者を拒まない、足をそっと濡らす浅瀬の川底。ここには、物珍しさだけでなく、心癒される水と緑の風景があります。

濃溝の滝は、特殊な景観に、房総半島の中央にある渓流の奥地といった立地に、ましく秘境といえる場所ですが、実は、アクセスが比較的に容易です。県道沿いにあり、遊歩道が滝の目前まで整備。そして、東京の中心部(千代田区)から、車で約1時間30分ほどの距離(東京湾アクアライン経由)。

珍しく感動的な景色をお求めの方、渓流での納涼をお求めの方、房総半島へ海のレジャーで訪れる方、濃溝の滝への訪問をお勧めいたします。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/01−2016/07/02 訪問

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