市営モンテマルティーニ美術館(Musei Capitolini Centrale alla Montemartini)は、カンピドーリオ広場にある「カピトリーニ美術館(Musei Capitolini)」に収めきれない所蔵品を使用されなくなった発電所の建物の中に展示していたことが元々の始まりです。発電所は1912年から60年代半ば頃まで使われていました。その後、コレクションも膨大なものとなり、近年カピトリーニ美術館の分館として独立しました。
本館の「カピトリーニ美術館」はローマ市庁舎の建つカンピドーリオ広場にありますが、こちらの分館は、少し離れた、ローマ・テルミニ駅から地下鉄B線で南に5つ目のガルバテッラ駅(Garbatella)にあります。こちらの美術館のテーマは、"古代ローマ"で、本館に比べると面積はかなり小さいですが、素晴らしいコレクションが揃っています。それでは内部をご紹介しましょう!
写真は「円柱の間」の魚介類のモザイクのコーナー。
モザイクは、紀元前2世紀にローマの浴場のプールの床を飾っていたものなどです。かわいらしいお魚達のモザイクは人気があります。
美術館には全部で3つの展示室があります。
分かり易いようにお部屋ごとに壁の色が塗り分けられています。
「円柱の間」(1階/壁の色は黄色):展示物は共和制時代(紀元前509年〜紀元前27年頃まで)のローマ。古代のお墓など、とても古い時代のもの。
「機械の間」(2階/壁の色は水色):発電機が残る、一番大きな展示室。
「ボイラーの間」(2階/壁の色は緑色):モザイクなど個人のお庭やヴィッラから出土したものを展示。
写真は「機械の間」です。
美術館の中で一番大きなこちらのお部屋には、市中心部のトッレ・アルジェンティーナ広場(Largo Torre Argentina)にある、彼女に捧げた丸い形の神殿(紀元前101年)の遺跡から見つかった巨大な運命の女神フォルトゥーナ("今日のフォーチュン" Today’s Fortune)などが展示されています。
*ずっと後の時代になりますが、この神殿のすぐ横でカエサル(シーザー)が刺殺されました。
このお部屋の展示物は、皆様がご存知のローマの有名観光スポットの地下から出て来たものが多いです。
発電所跡にローマ時代の古代のコレクションを展示する美術館は世界を探してもここだけということもあり、多くのビジターが写真撮影を楽しんでいます。特に「機械の間」には大きな発電機が残されている為、一風変わった面白い写真が撮れるのでお奨めです。
館内には全体で400点を超える展示物があります。
続いて最後の展示室、「ボイラーの間」です。
お部屋に入って一番最初に目に飛び込んでくるのは、躍動感溢れる狩りの場面の床モザイクです。時代的には4世紀のもので、テルミニ駅近くのリキニウス家の庭園内にあった、アーケードの床モザイクだったと推定されています。モザイクの端の方ではクマを捕まえようと男性が蓋を開けた大きな木の箱の上に乗って、箱の入口にプロシュット(ハム)を垂らしています。とても捕まえられそうにありません!
最後は、館内で一番人気のある展示物をご紹介させていただき、記事を締め括りたいと思います。「ボイラーの間」には、静かに物思いに耽る美しい女神像(Statua di Musa)があります。この女神像は1928年にテルミニ駅近くにあったウァリウスの庭園の遺跡から発見されました。大理石で彫られた女神は鼻は欠けてしまっていますが、マントの下に薄っすら見える体のラインやポーズ、髪型などがとてもエレガントです。女神はこの美術館のシンボルアイコンにもなっています。
「モンテマルティーニ美術館」の見学に必要な時間の目安は大よそ1〜2時間です。丁寧に見学するとしても3時間みておけば大丈夫でしょう。この美術館は"古代ローマ"に焦点を絞っている為、市内に数ある美術館・博物館の中でもマニアックな部類に入りますが、この時代の文化に興味がある方にはとても楽しめるスポットです。
美術館の中にはカフェはありませんが、自動販売機が設置されており、簡単な飲み物を購入することが出来ます。
*2014年10月5日よりローマ市営カピトリーニ美術館(本館、分館)は、ローマ市在住者は第一日曜日は無料で入場ができます。その際、ローマ市に在住(住民登録)していることを確認できるもの、または身分証明書の提示が必要です。
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(2023/11/29更新)
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