写真:河東 壁
地図を見るカオダイ教は、ベトナムの新興宗教のひとつで、その思想は、仏教、キリスト教、イスラム教、儒教、道教をミックスして成り立っています。タイニン省を中心に広がり、信徒数約100〜300万人といわれています。世界で人気のある宗教をミックスした、ということですが、何といってもその派手な建築物をみれば、そういうことか、と、なんとなく納得するのではないでしょうか。
カオダイ教総本山は、ホーチミンから車でおよそ2時間半。個人で行くのは難しいので、現地発着ツアーなどを利用して見学します。午前中にカオダイ教総本山を訪れ、ランチをはさんでクチトンネルを観光、市内に戻る、という、ガイド付き・ホテル送迎付きの1日ツアーが一般的です。
写真:河東 壁
地図を見る正午の礼拝が始まる少し前に着くよう、ツアーのスケジュールが組まれています。行きの道中は、ガイドさんによるカオダイ教解説を、わかりやすくたっぷりと聞くことができます。質問もたくさんできますので、ぜひ疑問をぶつけてみてください。
そしてジリジリした白い太陽がほぼ真上に登ろうかという時間に、総本山に到着します。熱をあびながら建つ派手な建造物が、帰る頃には特に派手に見えなくなるほど、外観はまだ控えめな方といっていいでしょう。この建物の内部に比べれば。
中に入ると、青空の描かれた天井にドラゴンが巻きつく柱が天井を支え、きらびやかというか、ギラギラした装飾が壁や天井を覆っています。でも何より目を引くのは、細長い礼拝堂の奥に鎮座する巨大な球体です。宇宙を表現しているかと思われるデザインです。
その中央には、片目がこちらを見ています。描かれているのは心臓に近い左目で、左目は心とつながった目として天眼と呼ばれます。カオダイ教では、この天眼が神であり、象徴的な存在となっています。天眼は、この宇宙柄の球体の中心にはもちろん、窓枠の中央にも繰り返し描かれていて、かの有名な秘密結社フリーメイソン?!と、短絡的に結びつけずにはいられません。
写真:河東 壁
地図を見る写真:河東 壁
地図を見るまた、カオダイ教では、たくさんの聖人や使徒の存在もあります。
キリスト、釈迦、観音菩薩、ムハンマド、孔子、関羽、ソクラテス、トルストイ、ヴィクトル・ユーゴーと、哲学者なども敬われています。簡単にいえば世界の“人気者”を集めているのです。孔子とヴィクトル・ユーゴーが「愛と正義」と署名している場面を描いた大きな絵画なども飾られています。
どうして、世界の“人気者”を集めるのか、それは、信徒、とくに若い信徒を増やしたいからです。カオダイ教は宗教団体として独自の軍隊をもち、ひとつの国を作りたいのだとか。それでも、現在では信徒の高齢化が進んでしまっているのが現状です。カオダイ教の集団礼拝は1日に、0時、6時、12時、18時の4回行われます。その礼拝の多さが、若者の獲得の高い壁のひとつだとか・・・。
写真:河東 壁
地図を見るツアーでは、礼拝のために信徒の方々が集まりはじめる少し前に到着し、建物内部を隅々まで自由に見学することができます。12時前になると、続々と装束を着た人々が集まってきますが、みなさん基本的に静かです。カオダイ教の信徒には階級があり、位の高い人は赤や黄色、青色など色のあるの装束を着ています。白い装束に白い鉢巻をまいた女性がいたら、それは夫を亡くした方です。
礼拝が始まる時間になると、階段上の両脇に回廊から観光客は2階に上がり、礼拝堂を見降ろすような形で、自由に見学することができますが、厳粛な雰囲気を邪魔してはならないと緊張した空気に包まれます。男性信徒たちによる楽器の生演奏と女性信徒たちのコーラスが繰り返され、粛々と祈りの時間が過ぎていきます。見学者は、礼拝の邪魔をしないように途中で退席し、次の目的地へ向かいます。
世界の宗教をミックスしてできたカオダイ教、ド派手な礼拝堂の珍しさがその魅力ですが、歴史や思想の一部を知るだけでは、逆になんだかよくわからなくなってしまうでしょう。その宗教観もとても気になるところです。ベトナム旅行に行くなら、カオダイ教総本山見学は、間違いなく、その旅の軸となることでしょう。
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(2023/12/2更新)
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