写真:野水 綾乃
地図を見る肘折温泉は、山形新幹線新庄駅からバスで約1時間。周囲を山々に囲まれた「肘折カルデラ」と呼ばれる窪地にある、隠れ里のような温泉郷です。温泉街を形成する20軒の宿には、大きな旅館もありますが、ほとんどが自炊施設を備えた湯治宿。地元の人や宿泊者同士の、人と人との触れ合いが色濃く残り、古い湯治場ならではの温かくほっこりとした時間が流れています。
「ひじおりの灯」は、そんな肘折温泉と、山形市の東北芸術工科大学が共同で開催するアートプロジェクトです。主役は、旅館や商店の軒先に展示された灯籠絵たち。2016年8月6日(土)から28日(日)までの23日間、新作16作品を含む、44基の灯籠が温泉街を幻想的に彩ります。
写真:野水 綾乃
地図を見る灯籠絵の制作は、毎年雪解けの頃から始まります。東北芸術工科大学の学生や卒業生を中心とした作家たちは、温泉街に数日間滞在。肘折の歴史や自然に触れ、地元に暮らす人に話を聞き、丁寧なフィールドワークを重ねて、灯籠絵として描くストーリーを膨らませていきます。
伝統の肘折こけしや郷土の味・芋煮がモチーフになっていたり、温泉街を流れる川や森に棲む神の存在を表現していたり…。若手作家ならではの新しい目で、肘折という土地の魅力が多彩に引き出されています。
灯籠絵には、地元の月山和紙が使われています。作家たちが和紙に描き終わると、庄内町にある建具屋さんと表具屋の手にわたり、八角形の灯籠絵に仕立てられます。
提供元:ひじおりの灯
http://hijiorinohi.com/昭和12年に建てられた「旧肘折郵便局舎」や、旅館「つたや金兵衛」の湯治部屋では、灯籠絵の室内展示も期間中行われています。室内なら雨の日もゆっくり観賞できますね。
屋外展示のものも同様ですが、ひとつひとつの灯籠絵には作者による解説が添えられています。ぐるり360度、物語が展開するのも灯籠絵の魅力。作品に込められた思いを読みながら、いろんな角度から作品を鑑賞してみましょう。
写真:野水 綾乃
地図を見る「ひじおりの灯」の灯籠絵の展示は1日中行われていますが、点灯は期間中の18時〜20時30分。幻想的な夜の灯籠絵を鑑賞するなら、温泉街の旅館に泊まって楽しむのがおすすめです。
肘折温泉に泊まった翌朝の楽しみといえば、名物の朝市。ナント早朝5時から、冬期を除く毎日開催されています。採れたての野菜や山菜、自家製の漬物や名物しそ巻きなど、近隣の農家のお母さんたちが自慢の逸品を持ち寄って販売しています。温かなお国言葉での会話も旅の思い出になるはず。
「ひじおりの灯2016」は8月6日(土)〜28日(日)で会期中無休です。
また、この秋は「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016」でも再点灯されます。
場所を山形県山形市の山形県郷土館「文翔館」に移し、9月3日(土)〜25日(日)まで開催されます。
肘折温泉の湯は、塩分を含み、体の芯からよく温まる泉質で、温泉ソムリエ的にもおすすめです。
また、温泉街の中心部から徒歩20分のところには、サイダーのような炭酸泉が楽しめる「カルデラ温泉館」もありますので、ゆっくり滞在し、アートと湯めぐりを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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この記事を書いたナビゲーター
野水 綾乃
温泉と旅をテーマに雑誌などで記事を書いているライターです。その土地のものがたりや空気感が伝わる文章を心がけています。現在は故郷の栃木を拠点にしていて、全国の温泉地を行き来する日々。栃木の温泉宿や魅力的…
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(2025/1/19更新)
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