“幻の高級魚”といわれるクエは、主に冬の九州地方を代表する料理として知られている。が、複雑なリアス式海岸と豊富な栄養分を蓄えた熊野灘で育つ天然クエは、1年を通じてたっぷりとした脂肪を身にまとい、まろやかな甘味と口の中でとろける身の軟らかさで食通にも知られた存在。
この天然クエをフルコースで楽しめるのが、賀田湾に臨む「天然クエの宿 尾鷲シーサイドビュー」。地元の漁師と直接契約し、東紀州産の天然クエを1年中味わうことができる。
定番の鍋から薄造り、アラ炊き、珍味など料理によってさまざまに変化する味や食感は天然物ならでは。特に女将がこだわって自ら味付けする〆の雑炊は、一度食べたら忘れられない味だ。
豊富な水産資源に恵まれた東紀州の中でも、紀伊長島港で水揚げされる本場の伊勢エビは県下第2位の漁獲量を誇る名物グルメ。ミネラル豊富な海で育つために身が大きく、旨みも強いのが特徴だ。
純白に輝くプリプリの身を堪能できるのが紀北町にある「四季活魚の宿 紀伊の松島」。若大将の大西孝政さんが毎日地元漁港で仕入れる天然の魚介類を使った豪快な料理が自慢で、これを楽しみに通うリピーターも多い人気宿である。
ここの名物が、なんと1尾まるごと使う伊勢エビのしゃぶしゃぶ。特製の出汁で太った身をしゃぶしゃぶすると花が咲いたように美しく火が通り、むしゃぶりつくと生で食べるよりも濃厚な甘味が口いっぱいに広がる。食べた後は頭の味噌や足の身までスタッフが丁寧にさばいてくれるので、食べごたえも十分だ。
美熊野牛とは、熊野市にある岡田牧場が一手に飼育する未経産の黒毛和牛のこと。一頭ごとに飼育者や環境、飼料が異なる他の銘柄牛と違い、同じ環境と飼料で肥育される美熊野牛は味が統一できるという特徴を持っている。熊野灘を眼下に眺める好環境と天然水で育った牛は、驚くほど身が軟らかく、牛肉本来の旨みが堪能できると評判だ。
きめ細かい肉質と濃厚な味を持った美熊野牛を満喫できるのが、焼肉店「竹屋」。岡田牧場の精肉店で働いた経験もあるご主人が仕入れ、カットした珠玉の焼肉は、肉の概念を覆す味といっても言い過ぎではない。
カルビやロースはもちろん、ミスジ、ヒウチ、ハラミ、さらにホルモンまで、同じ牛肉かと驚くほど部位によって異なる味が楽しめる。焼きすぎず、ほんの少し赤身が残るレア状態で食べるのが最高!
三重県畜産研究所が日本一の地鶏を目指し、10年の歳月を費やして誕生したのが「熊野地鶏」。天然記念物指定の三重県産軍鶏の一種「八木戸」に、伊勢赤どりと名古屋コーチンを掛け合わせて作られた、雑種強勢の最高傑作といわれている。
徹底した管理のもと、丸山千枚田の飼育用米、熊野市だけで栽培される香酸柑橘「新姫」の果皮粉末を飼料に、ブロイラーの2倍以上に当たる110日の飼育期間で育てられる。その味は噛むほどにジュワッと口に広がる甘さとほどよい歯ごたえが特徴。独特の弾力と甘味がある肉を、ふわりと卵でとじた親子丼はまさに絶品だ。
複雑に入り組んだリアス式海岸に加え、年間降水量4000mmという大台山系を源とする川によって山の栄養分が注ぎ込まれる熊野灘。そこで水揚げされる魚介類は、魚種の豊富さもさることながら、脂の乗りや味の濃さも一級品といわれ、「尾鷲ブランド」として大都市圏のレストランや寿司屋でも人気が高い。
地元でそんな旨い魚を食べるなら水産会社直営の「おわせ魚いちば おとと」内にある「おわせ魚食堂」がおすすめ。たった今水揚げされたばかりの魚を使った丼や惣菜をセルフスタイルで気軽に、思う存分味わえる。会社が所有するマグロ延縄船が入港した時だけメニューに登場する、限定マグロ料理に出会えたらラッキー!
ここで紹介した他に、郷土料理のサンマ寿司やめはり寿司、かんきつ類、白石湖の渡利牡蠣に御浜町の岩清水豚など、東紀州には四季折々の美味しいものが盛りだくさん!
豊饒の海と山に育まれた、バラエティ豊かな味をお楽しみあれ!
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