磐梯山の標高は1816メートル。猪苗代湖の北にそびえ、頂上からは猪苗代湖や裏磐梯の湖沼群、飯豊山や吾妻連峰などが望める360度パノラマの絶景スポットです。仮に下界の眺望がなくとも、写真ような雲海を見下ろすのも一興です。
登山が可能なのは、残雪がある雪解け時期のゴールデンウィークから積雪前の11月上旬頃まで。紅葉が見ごろになる9月中旬から10月中旬がベストシーズンですが、週末は駐車場が満車になるほど混雑します。
多くの登山者が利用する一番人気の八方台登山口からのコースは、磐梯山ゴールドラインの駐車場から頂上までの高低差が一番少なく、約2時間ほどで登れる初心者にも上りやすいルート。所要時間は往復で約4時間です。
一方、NHKの『ブラタモリ』で紹介された、裏磐梯スキー場の斜面を登る裏磐梯登山口からのコースは、スキー場の上で分岐し、銅沼・中の湯跡を経由し、八方台登山口からのコースに合流します。下山は途中の弘法清水から火口壁を下るルートを通り変化のある周遊を楽しめます。往路は約3時間半、復路は約2時間半で、周遊すると約6時間です。
磐梯山の北側、裏磐梯に広がる大小の湖沼群は、登山中、各所から見下ろすことができます。山頂だけでなく、南斜面を登る翁島登山口コース以外では、森から木々の開けた場所や、山頂手前で弘法清水が湧き、休憩小屋が2棟「弘法清水小屋」「岡部小屋」が並ぶ弘法清水近辺や、その下方に位置する高山植物が咲くお花畑などからも、天気が良ければ桧原湖などがくっきりと確認できます。
明治21年の噴火であれだけの距離にある湖沼群が誕生したのですから、岩なだれにる土砂の流出がどれほど広範囲だったかがわかります。
裏磐梯登山コースを弘法清水から火口壁を下って行く手前で横から見えるのが、切り立った火口壁とその下方の窪地、火口原や銅沼です。明治21(1888)年7月15日、現在ある大磐梯の北側にあたる小磐梯(火口から650メートルの高さ)が、水蒸気爆発により山体崩壊し、大絶壁の火口壁が形づくられました。
このルートは火口壁を直登する険しいルートで、途中、急坂で鉄の手すりが連続して取り付けられた場所や、滑りやすい箇所もあり下りでも注意が必要です。また、火口壁を下り、川上登山口コースとの分岐点付近は、ガレ場となっていて大雨の流出でルートがわかりにくくなる場合があり注意が必要です。
裏磐梯スキー場の斜面は、明治21年の大噴火以降に起きた昭和29(1954)年、火口壁の斜面崩壊で土砂が流れ下ったことにより形成されました。火山の恵みの一つと言える場所です。
2011年、磐梯山とその周辺地域は、地形や地質等に特徴があるとして日本ジオパークに認定されました。ジオパークとは、ジオ(地球)に関わるさまざまな自然遺産、たとえば、地層・岩石・地形・火山・断層などを含む自然豊かな公園です。日本ジオパークには2016年7月現在、磐梯山を含む39の地域が日本ジオパークに認定されていて、うち8地域が世界ジオパークの認定も受けています。
磐梯山ジオパーク協議会では、人と大地の関係を、楽しみながら学習できる自然の公園として、磐梯山の火山の怖さ、自然の恵みを伝えています。
火口付近の銅沼は、明治21年の噴火後に誕生し、鉄やマンガンなどが多く溶け出し、強酸性です。湖底に水酸化鉄を含んだ泥が溜まり、赤茶けて見えます。湖面のすぐそばまで行けて、磐梯山方面には噴火跡の爆裂火山壁や、現在の火山活動の証の噴煙を望むことができます。また紅葉時期には、周囲の木々の紅葉に映え絶景です。
NHKの『ブラタモリ』で、五色沼の水源として紹介されました。山頂まで登山しなくても、銅沼へ向かうルートは二つあります。番組のように、裏磐梯スキー場の緩やかな斜面を約30分登り、分岐点を八方台登山口コースの中の湯跡方面へ約15分進むルート。もう一つは、磐梯山ゴールドラインの八方台登山口から約30分、中の湯跡へ。その分岐からさらに30分下るルートです。
銅沼から見ると、噴火による山体崩壊の激しさを認識できると思います。他にもぜひ裏磐梯の湖沼群を見下ろしたり、爆裂火口壁の荒々しさを見て、噴火の激しさやその後形成された自然美を感じてみませんか?
裏磐梯の大噴火の痕跡を見ることができる裏磐梯登山コースは、行きと帰りで別ルートを通る周遊が可能です。また、八方台登山コースから、帰りに、裏磐梯スキー場の上を通り、銅沼・中の湯跡を経由して、八方台登山口に戻るルートも周遊可能です。
お薦めを二つご紹介します。一つ目は、弘法清水にある2軒の休憩小屋で味わえる、温まるきのこ汁です。そして、登山後に汗を流すのにお薦めなのが、日帰り温泉施設「香の湯」です。裏磐梯スキー場から桧原湖周遊道路を五色沼方面に進み、裏磐梯剣ケ峯交差点を左折し、ペンションがある一角で、車で約15分。自然の中で天然温泉露天風呂が楽しめます。
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(2023/12/5更新)
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