まるで山水画の世界!伊万里焼の聖地・佐賀「秘窯の里 大川内山」

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まるで山水画の世界!伊万里焼の聖地・佐賀「秘窯の里 大川内山」

まるで山水画の世界!伊万里焼の聖地・佐賀「秘窯の里 大川内山」

更新日:2016/07/25 09:44

浦賀 太一郎のプロフィール写真 浦賀 太一郎 週末トラベラー

佐賀県伊万里市は、江戸時代から続く伝統工芸・伊万里焼の町。その伊万里を治めていた佐賀藩は、日本で初めて磁器を完成させ、技術や品質の維持・向上を藩主導で行い、大川内山(おおかわちやま)に「藩窯」を組織し、その技術の流出を防止しました。
大川内山には、伝統的な技法を守りながら、現代の生活にマッチした伊万里焼を焼く窯元が多く残っています。今回は、山水画の様な風景の、『秘窯の里』を紹介します!

秘法!伊万里焼はこうして生まれた

秘法!伊万里焼はこうして生まれた

写真:浦賀 太一郎

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時は江戸時代初期。泰平の世が訪れ、多くの文化が産声を上げ始めた頃、佐賀藩(別名・鍋島藩)でも現代に続く焼き物文化が生まれていました。
伊万里では、もともと古唐津系の焼き物である、陶器が焼かれていましたが、豊臣秀吉の唐入り、いわゆる文禄・慶長の役が、秀吉の死によって頓挫し、撤兵・引き上げの際に来日した朝鮮人の陶工・李三平(日本名・金ヶ江 三兵衛)により、磁器の技術が伝来します。

陶器と磁器、合わせて陶磁器といいますが、ごく簡単に違いを説明すると、陶器は「土」、磁器は「石」であるといえます。陶器には「わび、さび」といった日本風の趣があり、磁器には中華風の装飾を施し、華やかな印象があります。
日本では、古代から陶器は製作されてきましたが、磁器に関しては「陶石」という磁器の原料になる岩石が見つかっていなかったため、作られることはありませんでした。
しかし、李三平が有田で陶石を発見し、国内で初めて磁器を製作することに成功します。

まるで山水画の世界!麗しすぎる大川内山の風景

まるで山水画の世界!麗しすぎる大川内山の風景

写真:浦賀 太一郎

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佐賀藩は、美しい磁器の製作を藩主導で推進し、一大産業とします。そして、その製作技法を他藩に盗まれないよう、比較的開けた土地であった有田から、谷が入り組んだような天嶮の地・大川内山に藩窯を遷します。入口には関所を設置し、絵柄から失敗作の廃棄に至るまで、厳重に管理されていました。陶工たちは藩から扶持(給料)を与えられていましたが、技術の無い陶工は容赦なく解雇され、一切の妥協を許さない精緻な造形と優雅な作風は、やがて「世界の至宝」と称賛され、近世陶磁器の最高峰であるとされています。

伊万里の焼き物は、伊万里津から国内外へ輸出され、最高位の物は「鍋島」と呼ばれ、朝廷や徳川将軍家へ献上されていました。また、大川内山だけに限らず、肥前(現在の佐賀・長崎)で焼かれた焼き物は伊万里津で積み出されたため、一括して「伊万里」と呼ばれるようになり、遠く欧米諸国にまでその名を轟かせ、焼き物の代名詞となりました。江戸時代に肥前国で焼かれた磁器は、現代においては「古伊万里」と称されます。
そして、現代のニーズに合った焼き物や、伝統的な様式そのままに焼かれた焼き物、「鍋島」、「古伊万里」、これらを総称して、「伊万里焼」と呼ばれているのです。

三方を山で囲まれ、険しい山々がそびえ立つ大川内山。坂道に多くの窯元が軒を連ね、煉瓦の煙突が煙を上げています。その風景は、山水画の画題になりそうなほど、素朴で麗しく、まさに焼き物の聖地・秘境のムードが漂っています。
しかもこの風景は単に観光向けに整備された景観などではなく、江戸時代からの伝統技法を守りながら、現代に脈々と受け継がれ、今も新たに伊万里焼が作られている、生きた風景なのです。

高級磁器だけじゃない!かわいくてリーズナブルな伊万里焼もある

高級磁器だけじゃない!かわいくてリーズナブルな伊万里焼もある

写真:浦賀 太一郎

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大川内山の窯元では、伊万里焼の直売が行われていて、それぞれの窯元に個性があり、窯元めぐりを楽しむことができます。
伊万里焼というと、高級で、品格があって、一般ピープルにはとてもじゃないけど手に取ることすらできない。そんなイメージがあるかもしれません。
確かに、凄まじく高級な伊万里焼も多くありますが、かわいらしい絵が描かれ、価格も手頃なものも置かれています。また、訳あり商品やアウトレット販売なども行われており、正規品だとちょっと手が出ないような素敵な焼き物に、思わぬ手軽さで出会えたりもします。

明治の廃藩置県で佐賀藩が廃止になった後、民窯として独立し、伊万里焼の鍋島様式を一貫して守り続けていた「小笠原藤右衛門」は、鉛を一切使わない無鉛絵の具を採用、安心・安全の伊万里焼を買うことができます。
写真のように、誰でも手にとって楽しめる、インテリアのような焼き物も製作し、確かな技術はそのままに、進化をし続けています。

国指定史跡も!秘窯の里を散策しよう

国指定史跡も!秘窯の里を散策しよう

写真:浦賀 太一郎

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大川内山には、昔ながらの薪で炊く「登り窯(写真)」や、発掘された古窯跡、秘窯の里を守った関所跡、佐賀藩祖の鍋島直茂を祀る「日峯さん」など、窯元めぐりだけでなく、陶工たちの暮らしに根付いた文化的風景を散策することができます。
鍋島藩窯公園の、陶片とトンバイ(焼煉瓦)で登り窯をイメージして造られた、高さ5mの大壁画は見応えがあって圧巻!伊万里鍋島焼会館では、小休止に伊万里焼の器でコーヒーはいかがでしょうか。

磁器で作られた雛人形がチャーミングな「磁器ひいなまつり(雛祭り)」や桜の時期に開催される「春の窯元市」、爽やかな音色で夏の暑さを吹き飛ばす「風鈴まつり」など、季節のイベントに合わせて訪れるのもおすすめですよ!
詳しいイベント情報は、MEMO欄の「秘窯の里 大川内山」のイベント情報をチェックしてください。

こんな聖地もあったんだ!大川内山で慣れない焼き物散策を楽しもう

「焼き物」というと、どうしても渋いイメージや、とっつきにくい印象がありますが、実際に訪れてみれば、そんなイメージはすぐに吹き飛ぶはず。色々な趣向の焼き物があり、定番の器から、コーヒーをより美味しく飲めそうなポット、インテリアにしたいオシャレなプレートなど、本当に様々。
「いい仕事してますねぇ!」の中島誠之助さんのように、プロの目利きである必要はないんです。自分の感性に合った、それこそビビビっと来る焼き物に、大川内山では出会うことができます。
では皆さん、がばい(とっても)楽しい佐賀の旅路をどうぞ!

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/05/02 訪問

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