伊豆・三津浜「安田屋旅館」は太宰治が「斜陽」を執筆した超老舗!

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伊豆・三津浜「安田屋旅館」は太宰治が「斜陽」を執筆した超老舗!

伊豆・三津浜「安田屋旅館」は太宰治が「斜陽」を執筆した超老舗!

更新日:2018/09/26 16:31

菊原 朝香のプロフィール写真 菊原 朝香 モデル、美肌温泉家、食べ歩きトラベラー、歴女

伊豆半島の西の付け根、静岡県沼津市。
その駿河湾沿いの静かな港町・三津浜(みとはま)に建つのが、数寄屋造りの純和風旅館「安田屋旅館」。そのたたずまいは、他とは一線を画しています。

それもそのはず創業は約130年前、建物は国登録有形文化財というとても由緒ある旅館なのです。「日本の宿を守る会」会員宿でもあります。しかもあの太宰治が滞在していた宿!太宰が滞在した部屋に泊まってみたくありませんか?

太宰と斜陽と安田屋旅館

太宰と斜陽と安田屋旅館

写真:菊原 朝香

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言わずと知れた、日本を代表する文豪 太宰治。
彼が晩年に執筆したベストセラー長編小説『斜陽』(1947年〈昭和22年〉)は、今も名作として書店に並んでいます。その第一章と第二章を執筆したのは、この「安田屋旅館」のとある一間。伊豆には文豪が愛した温泉や旅館が山とありますが、大半は東京よりの熱海や修善寺あたりに集中していますよね。沼津の小さな漁港にもあるとはとても意外。

きっかけは三津に疎開中だった太宰の弟子、田中英光氏の紹介。太宰は安田屋旅館の松棟2階にある「松弐(まつのに)」(現在は「月見草」)に1947年(昭和22)2月上旬から約半月ほど滞在し、執筆活動にいそしみました。

そして自らの手でその命を絶った衝撃の心中事件はその翌年の6月。太宰を深く慕っていた田中英光も、さらにその翌年の1949年(昭和24)、太宰の墓前にてあとを追うという悲しい後日談を残しています。

約1世紀前に建てられた国登録有形文化財の宿

約1世紀前に建てられた国登録有形文化財の宿

写真:菊原 朝香

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安田屋旅館の建物のうち、松棟と月棟が国登録有形文化財に指定されています。
安田屋旅館の創業は古く、1887年(明治20)。当初は商人向けの宿として営業していましたが、1918年(大正7)の県道開通のおりに今の場所に移り、観光客のための旅館として開業しました。その時に建築されたのは松棟のみでしたが、1931年(昭和6)には新たに月棟を増築。

また太宰が滞在した間「月見草」へと向かう際には、木造の急ならせん階段をのぼらなくてはいけないのですが、これはただの木造の階段ではなく、ヒノキの一枚板でできているとても珍しいものなんです。

文豪「太宰治」の気持ちになってみる

文豪「太宰治」の気持ちになってみる

写真:菊原 朝香

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月見草の間は松棟2階の海側角部屋なので、広縁が続きの2面になっています。その2面全面が窓なので、開放感のある贅沢な造りとなっています。年季の入った趣のある窓と見事な枝ぶりの松越しには、雄々しくそびえる富士山と駿河湾。それはまるで一枚の絵画。このなんとも風情のあるお部屋に太宰は滞在していたのだと思うと、太宰ファンでなくともじんわりと胸に込み上げてくるものがあります。

明治政府設立の功労者・尾崎咢堂は、その雄大な景色をもってこの安田屋旅館を「対岳楼」と名付けました。その美しい景観を一番よく見渡せる部屋が月見草の間なんです。

窓を開け放って目を閉じると、寄せては返し、さざめく波の音。そして風がそよぐたびに鼻をくすぐるさわやかな潮の香り。いつまでも浸っていたいなんともいえないその心地よさは言葉では伝えきれません。
太宰がこの部屋に半月も滞在した気持ちがとてもよくわかります。
この部屋には『斜陽』(新潮文庫)が置いてあるので、読みながら当時の太宰の気持ちに思いをはせてみるのもいいかも。

また松棟1階の坪庭の飛石をわたると、こぢんまりとしたぬくもりのある空間が。どこかなつかしくもある雰囲気のその部屋の名は「伊豆文庫」。太宰を主とした伊豆ゆかりの文豪たちの資料や作品などが自由に閲覧できるようになっています。

新鮮な駿河湾の魚介類を食べて悶絶

新鮮な駿河湾の魚介類を食べて悶絶

写真:菊原 朝香

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朝夕の食事は、基本的には食事処でとなっていますが、プラス料金で部屋出しも可能です。筆者がすすめるのは断然部屋食!
ゆったりと部屋でくつろぎながら、料理長が自ら買い付けてきた地の物を、ふんだんに使った会席料理に舌鼓。日常の疲れが吹き飛ぶ最高の瞬間です。

もちろん主役は、駿河湾が目の前という立地の良さを十分に活かした豊富な海産物。こちらの魚料理を目当てに訪れる常連さんもいるくらい。旬の魚介類のお造りをはじめ、あわびにさざえ、伊勢海老、金目鯛といった近海の特産を活かした献立がずらり。安田屋旅館名物ぷりっぷりの鯛しゃぶもぜひおためしあれ。

霊峰富士と駿河湾をながめながら湯につかる贅沢なひととき

霊峰富士と駿河湾をながめながら湯につかる贅沢なひととき

写真:菊原 朝香

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閑静な竹林の中の渡り廊下をすすむとそこは大浴場。
安田屋旅館は原保(わらぼ)温泉からの新鮮なはこび湯を使っています。
太宰の小説から名付けた内風呂と露天風呂が男女各々1つずつあり、時間は14〜23時と翌6〜10時まで。朝晩で男女入れ替えになります。誰にも邪魔されずにゆっくり温泉を堪能したい方には貸切風呂(有料・要予約)も。

2階の内湯からは富士山と駿河湾の絶景が見渡せるので、明るい時間帯に必ず行ってくださいね。泉質はアルカリ性単純泉。つるつるした肌ざわりで、余分な角質や皮脂を落としてくれる効果が期待できる美肌の湯です。湯あがり後の肌への化粧水の吸い込み具合が全然違います。
立ち寄り湯は11時半〜21時までと比較的遅めの時間まで大丈夫。

太宰じゃなくても長逗留したくなる魅力満載の安田屋旅館

他にも露天風呂付きの客室や特別室などがあります。どの部屋もそれぞれ違った風情があって素晴らしいです。もちろん部屋付き露天風呂もすべて温泉。伊豆・三津シーパラダイス、足をのばせば世界遺産の韮山反射炉や沼津御用邸などへもアクセスしやすい場所。

毎年6月19日の太宰の誕生日には生誕祭が行われ、多数の太宰ファンが訪れています。他にも落語鑑賞会などおもしろいイベントがあるので、合わせて宿泊するのもいいですよね。月見草に宿泊したい場合は電話でその旨を伝えてくださいね。

掲載内容は執筆時点のものです。 2015/10/26−2015/10/27 訪問

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