京都の観光地の中でも、ここ平安神宮は人気のあるスポットであり、とりわけ目を引くのが、参道にある朱が鮮やかな大鳥居。
高さは24.4mもあり、まわりの車がまるでおもちゃのように見えてしまうほどの存在感だ。
かつて平安京を訪れた人々が、あまりにも華麗なその建物群の姿を見て驚嘆したように、初めてここを訪れた人は誰もがその大きさに圧倒されるだろう。
平安神宮と聞くと、いかにも平安時代から建っているように感じるが、実は明治28年(1895年)に平安京遷都1100年を記念する事業の一環として、かつての都の中心であった朝堂院を再現して造られたものなのである。
そして現在の神門である応天門は、朝堂院の正門として建っていたものだが、平安時代のオリジナルは左右に栖鳳(せいほう)翔鸞(しょうらん)という楼閣を備えたものだったので、現在のものより相当迫力があったかもしれない。
平安京は794年10月22日、第50代・桓武天皇の詔により始まる。その後、明治2年(1869年)東京に遷都されるまでの1075年間、日本の都として君臨してきた。
その姿を再現している平安神宮の御祭神は、やはり桓武天皇であり、昭和15年(1940年)には平安京最後の帝・孝明天皇が併祀されたことで、2柱の神様がお祀りされていることとなる。
正面の大きな大極殿が拝殿となり左右から支えるように、東の蒼龍楼(そうりゅうろう)・西の白虎楼(びゃっころう)が向かい合うように建つ姿は、荘厳で華麗な平安京を見事に再現してくれている。
蒼龍楼の下が入り口になっている神苑には、紅枝垂れ桜がものすごくたくさんあり、春は桜目当ての観光客が大挙して押し寄せる。だが広大な敷地には季節に合わせてカキツバタ・睡蓮・萩をはじめとする様々な植物が生息しているので、これから秋にかけてはそれらが紅葉して、これまた何とも言えない景観になる。
そんな中で注目したいのが、蒼龍池に並べられた石柱たち。実はこれらの石、なかなかの歴史を持っており、かつて豊臣秀吉が造らせた三条・五条大橋の橋脚に使われていた石の再利用なのである。
斬新なデザインを取り入れ、一見モダンアートのように見せておきながら、400年の歴史がある…京都の奥深いところだ。
こちらの神苑最大の栖鳳池(せいほういけ)には迎賓館として使われている尚美館(しょうびかん)と泰平閣がある。
特に、東山を背に池の中央を横切るように建てられている泰平閣は、ベンチとして腰を掛けられるので、池の上でのんびりと一休みができる。
池には鯉や亀がたくさんいて、有料だが備え付けの餌をあげることもできる。しばし平安貴族のように、優雅な気分に浸ってみてはいかがだろうか。
平安神宮の社殿の屋根は他と違い、蒼い碧瓦(へきがわら)を使っている。これもまた当時の大内裏の建物がこの蒼い瓦を使っていたことを忠実に再現したものといえる。京都には平安宮の建物は残っていないので、歴史学者や建築家などが文献や絵巻物を頼りに解読していき、その建築様式や彩色などを忠実に再現している平安神宮は、京都だけでなく日本にとっても貴重な存在だといえるだろう。
ただ観光するだけではなく、歴史や背景などに思いを巡らせながら、より京都を満喫して頂ければと思う。
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