歴史が奏でる台湾コーヒー「蜂大珈琲」で至福のひとときを

歴史が奏でる台湾コーヒー「蜂大珈琲」で至福のひとときを

更新日:2018/07/23 15:21

やま かづのプロフィール写真 やま かづ 機内食&マンゴーにはうるさいトラベルライター
台湾の飲み物といえば、香り高いウーロン茶やタピオカの入ったミルクティーが有名ですが、「蜂大珈琲」の伝統的なコーヒーも忘れてはいけません。
1950年代にコーヒー豆と器具の販売を開始した「蜂大珈琲」は並行して喫茶店もオープン、当時はまだ高級品だったコーヒーを台湾の人々に広めました。
そんな「蜂大珈琲」、今でも昔ながらのスタイルを貫き、台湾人のみならず旅行者にも至福のひとときを提供しています。

台北・西門町に息づく喫茶店「蜂大珈琲(フォンダーカーフェイ)」

台北・西門町に息づく喫茶店「蜂大珈琲(フォンダーカーフェイ)」

写真:やま かづ

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「蜂大珈琲(フォンダーカーフェイ)」はいわゆる昔ながらの喫茶店で、ミックスカルチャーを謳歌する若者で賑わう台北・西門町にあります。創業は1956年、当時はまだ高級な嗜好品だったコーヒー豆やコーヒー器具の販売を開始すると同時に喫茶店の営業も始めました。
現在でも当時の面影そのまま、レトロな雰囲気が残る決して広いとはいえない店内には、4人用テーブルや2人用テーブル、そしてカウンターがあります。

そんな「蜂大珈琲」には、日中は古くからのなじみの客に加えて旅行者も訪れ、2階席まで埋まることも珍しくありません。しかし、夕方以降は客足も少なくなり、店内は徐々に落ち着いた空気が流れ始めます。

大人気!店頭販売の台湾風焼き菓子をイートイン

大人気!店頭販売の台湾風焼き菓子をイートイン

写真:やま かづ

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「蜂大珈琲」の店頭では伝統的な焼き菓子類を販売しています。ショーケースに入っているものもあれば、ガラス瓶に入っているものもありますが、基本的にはどれも1個ずつのばら売り、そんなところにもまたレトロ感が漂っています。

中でも特に人気の焼き菓子は、クルミの入ったクッキー(合桃酥)、アーモンドの入ったクッキー(杏仁餅)、アワビの形をしたパイ(鮑魚酥)です。そのほかにも、鶏肉片の入ったクッキー(鶏仔餅)、キャラメル風味やクルミ入りのパイナップルケーキなどもあり、地元の人が時折立ち寄って買い求めています。

なお、店頭と店内ではお勘定が別となっています。これらの焼き菓子をイートインする場合は、先に支払いを済ませる必要がありますので念のため。

さすがコーヒー専門店、バリエーション豊かなコーヒーがラインナップ

さすがコーヒー専門店、バリエーション豊かなコーヒーがラインナップ

写真:やま かづ

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メニュー表には、ブルーマウンテンを筆頭にコロンビア、ブラジル、ジャワ、コナなど10種類以上のコーヒーが並んでいますが、やっぱり目を引くのは台湾コーヒーです。台湾中部に位置し、高級ウーロン茶の産地としても有名な阿里山は、実は良質なコーヒー豆の産地でもあります。しかし、台湾コーヒーの絶対的な生産量が少ないため希少価値は大、お値段もそれなりですが、味の違いのわかる方にはぜひ試していただきたいものです。

その他、「蜂大珈琲」のオリジナルブレンドもありますので、特にこだわりのない方なら、台湾コーヒーが隠し味として使われているこちらがお勧めです。
さらに、数種類のフレーバーティーやフレッシュジュースのほかにもトースト、サンドイッチ、アイスクリームなどのサイドメニューも充実、小腹がすいている方にはうってつけです。

店内を見回すと数々のコーヒー器具が!

店内を見回すと数々のコーヒー器具が!

写真:やま かづ

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狭い店内の壁に沿って仕立てられた棚の上、あるいはカウンターの奥にあるカップボードには数々のコーヒーミル、ロースター、サイフォンなどのコーヒー器具が置かれています。さっきまで音を立てて仕事をしていた雰囲気のあるサイフォンもあれば、もう何年も働いた形跡のないミルもあります。ところ狭しと並べられたそれらの機器たちは、よく言えば「歴史的資産」、悪く言えば「売れない骨董品」のようです。

しかし、お店の入り口近くで、ガリガリと音を立てながら回っている年代物のロースターが店内に香りを漂わせているのを見ると、「売れない骨董品」の例えが間違っていることに気づきます。

店内奥の席を陣取ると窓の外に見えるのは「西門紅楼」

店内奥の席を陣取ると窓の外に見えるのは「西門紅楼」

写真:やま かづ

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店内の窓越しから見える「西門紅楼」は1890年後半の日本統治時代に建てられた赤レンガ造りの八角堂で、当時の最先端を行く娯楽施設でした。館内では衣料品、雑貨、化粧品などが売られ、日本人の憩いの場として賑わっていました。

現在の「西門紅楼」の建物内部でも当時の様子を再現しており、写真や資料でその歴史を紹介しています。また、カフェやシアターなども併設しており、台湾の最新文化の発信基地としても開放されています。

このたび「西門紅楼」の1階と連絡する「16工房(Creative Boutique)」がオープンしました。台湾の新鋭デザイナーによる衣類、雑貨などを扱うショップが並び、メイド・イン・台湾のファッションが楽しめるスポットとして人気が出始めています。

*現在、八角堂が全面改修工事に入っており、観覧できません。工事終了予定は2017年秋ごろです。「16工房」は営業しています。

ドトールでもスタバでもない、いわゆるフツーの喫茶店

台湾コーヒーの歴史を奏でる「蜂大珈琲」は、いわゆるフツーの喫茶店です。慣れてしまえば居心地はとってもいいのですが、それは喫茶店での過ごし方を知っている人に限られるかもしれません。

店員さんの気のきいたサービスもない、Wi-Fiもない、あるのはローストされたコーヒー豆の香りとゆったりと流れる時間だけです。店内でお気に入りのコーヒーを頼めば、時間の過ごし方はあなた次第。ぼけーっと人間ウォッチするのもよし、ガイドブックを広げて次のスケジュール確認をするもよし、台湾の昔ながらのコーヒーを味わいながら、ぜひゆっくりと経過する時間を楽しんでください。

注)記事内の「珈琲」は、正しくは「王」へんではなく「口」へんです。

この記事の関連MEMO

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/07/16−2016/07/18 訪問

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