広厦天都城のエッフェル塔のレプリカは本物の1/3スケールで108mの高さを誇る。近くには住宅展示センターがあり、中にはこのニュータウンのミニチュアが展示されている。ミニチュアには2013年中国房地産住宅項目品牌価値TOP10のプレートが飾られていて、エッフェル塔周辺は中心商業圏になる予定。
広厦天都城は2002年に第1期工事が始まっているのだが、2014年の時点でもエッフェル塔の真下は畑であり、近くには民工(地方からの出稼ぎ労働者)のテナント小屋が設置されている。
広厦天都城のシャンゼリゼ通りを歩くと、世界一の人口である中国のニュータウンとは思えない程、人の気配が極めて少ない。それなりに入居者がいるマンションや営業している小売店も存在する。しかし街全体で2000人くらいしか住人がいないという噂で、映画のセットのような雰囲気を醸し出している。路上で布団や洗濯物、飲食店の鶏肉を干しているのも衝撃的な光景だ。
広厦天都城のシャンゼリゼ通りにあるアパルトマンは1階のほとんどが空きテナントで、2階より上も入居者が非常に少ない。泥棒除けなのか窓に鉄格子がはめられた部屋もあるが、本物のパリジャンはそのようなことをするとは思われない。窓際のほとんどの鉄柵からのサビの流出を放置しているので、建造物のメンテナンスに資金を回せないと思われる。
営業しているチェーンの土鍋料理店のスタッフは街の工事が完了すれば人口と投資も増えるだろうと言っているが、建設してから10年以上経過してもこの状態なので、絶望的ではないだろうか?
シャンゼリゼ通りの奥にある天都公園はフランス文化を基調とした公園で、ベルサイユ宮殿のアポロン噴水のレプリカもあり、ウェディングフォトの撮影スポットとして人気がある。しかし、園内では観光客や地元住民の姿はない。天都公園の階段の上から街全体を眺めると100億元(約1500億円)もの莫大な金額を投資したというのも理解できる。
中国は古来より大規模な建造物を作り上げる伝統があるのだが、この街は結果としてゴーストタウンになっているのは大丈夫なのだろうか?
園内にはフランス文化とは関係がない古代ローマ風の円形劇場がある。2000人以上の観客が座れるシートやステージの設備はサビだらけで長年使用された形跡がなく、完璧に廃墟である。
しかし劇場前でもウェディングフォトを撮影するカップルはいて、撮影スポットとしては人気がある。園内にはウェディング用のフォトスタジオも営業している。また、園内の山の上には小さいながらも中世城郭風の廃屋もある。
中国の経済発展の結果、各地でゴーストタウンが建設されている。投機目的で部屋を購入して転売しようとする投資家が後を絶たないのも原因ではあるが、広厦天都城は杭州市中心部からバスで50分という立地も敬遠された理由ではないだろうか?地下鉄も開通するという計画も頓挫しているので、よほどのことがない限り、街の人口が劇的に増加するとは思われない。
広廈天都城へ行くには、杭州市の中山北路口か杭州大廈のバス亭から535路のバスに乗り、天都城で下車。市内からバス1本で行けるのは意外と便利である。外国を模倣してここまで大規模なゴーストタウンも珍しいので、杭州へ行った際には是非、広厦天都城への訪問をおすすめしたい。
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