写真:Hiroko Oji
地図を見る南西フランスの大西洋岸に君臨する世界的なワインの名産地ボルドー(Bordeaux)。そのボルドーから列車で東へ約40分のところにあるのが、今回ご紹介するサンテミリオン(St-Emilion)の町です。
サンテミリオンは、町の名前にも由来する修行僧聖エミリオンが、隠遁生活を送るために洞窟を掘ったのが、この町の始まりとされていて、その歴史は8世紀に遡ります。曲がりくねった細い路地は石畳の情緒たっぷりの通りとなっており、両側にぎっしりと建ち並ぶ建物は12〜15世紀に建てられたものが多く、名産のワインを売るショップが入り、どのお店に入ろうか迷ってしまうほど。カフェ・レストランも建ち並び、どこでも気軽に美味しいワインがお料理と共にたしなめます。
町中には、古くからのライムストーンという石でできた建物が連なり、凝ったデザインの看板が通りの上にぶら下がっています。屋根付きの昔からの洗濯場があり、中世の時代には屋内市場として賑わったホールや、美しい回廊が見られるワインカーヴなどが点在し、どの路地を歩いても中世の真っただ中!お伽話の中のようなこの町では、時間を気にせず、迷子になって彷徨うのも楽しいひと時となるはずです。
写真:Hiroko Oji
地図を見る8世紀、修行僧の聖エミリオンが隠遁生活のために洞窟を掘ったことが始まりとされ、彼の死後、弟子たちが地下の石灰岩をくり抜いてモノリス(一枚岩)教会を造ったのが9世紀。地下墓地や、聖エミリオンが住んでいた庵などを合わせて、観光局主催のガイドツアーで見学できるようになっています。
モノリス教会は、ゴシック様式とロマネスク様式で造られており、一枚岩でのものは他に類を見ない珍しいもの。階段を下り、普段は鍵のかかっている庵の中に入ると、岩の内部は十字型をしていて、彼が普段使っていたベッドやテーブル・椅子が置かれています。この椅子は石壁を繰り抜いた部分に彫られ「子宝の椅子」とも呼ばれていて、この椅子に座った女性は1年以内に妊娠するという言い伝えもあります。ただし、座ってはいけないという表示が横に置かれていて、座ることはできません。
また、地下に広がる鐘楼の真下にも入ることができます。ここは地下墓地となっていて、巨大な石柱が並ぶ、20メートル×13メートルの広さ。昔の遺体置き場と墓があり、ひんやりした空気が漂っています。円錐形の天井の壁には絵が彫り込まれ、バイオリンを弾く人や二人の天使に見える絵も確認できます。石柱にも赤い色で花の絵や模様が描かれています。出口付近には人骨の一部と思えるものもあり、個人では見られない部分が時間をかけてたっぷり見学できるので、満足できるものとなるでしょう。
写真:Hiroko Oji
地図を見る町の西外れにあるひときわ高い塔は「王の塔(Tour ru Roy = King’s keep)」!L字型になった洗濯場の脇を上って行くと、塔の足元に出ます。入り口で入場料を払うと、英語の説明書を貸してくれます。狭い石段を上り詰め、塔の上の広いテラスに出るとそこから見えるのは、地平線まで続く緑豊かな葡萄畑。足元には、石が敷き詰められた屋根の連なりが美しいサンテミリオンの町並み。一際目立つ天にも向かうモノリス教会の尖塔がこれまた美しい!ぜひこの眺めを見逃さないでくださいね。
写真:Hiroko Oji
地図を見るサンテミリオンの町を取り囲む葡萄畑は、広大そのもの!この葡萄畑の間をお散歩するのも、豊かな葡萄の実りを間近に見ることができ、心も満たされるのですが、この間をプチトランという可愛い観光列車で回ることができます。短時間で多くの「シャトー」と言われるワイナリーを訪れるのにも便利なので、お薦めです。観光案内所の向かいにある教会の横の通りから出ますので、ご利用くださいね。なお、この教会の内部や隣接する修道院の回廊も見事なので、どうぞ立ち寄ってみて下さい。
写真:Hiroko Oji
地図を見るワイン愛好家にとっては楽しみが溢れるサンテミリオンの町。周辺に点在するシャトー巡りが魅力ですが、そんな時間の余裕がないという方でも、町中で充分楽しめます。軒を連ねるワインショップでは、個人の好みをしっかり聞いてくれ、試飲もいろいろ薦めてくれるので、好みのワインを購入するのが可能です。また、日本への宅配も応じてくれますので、いろいろ相談してみて下さい。
サンテミリオンの町は、町並みを散策したり、周囲の葡萄畑を巡るだけでも充分満足できるところですが、観光局主催のガイドツアーは、個人では入れない所に入って説明してくれるので、参加する価値は大ありです!ツアーは10時以降、フランス語や英語で行われ、人数が集まれば随時出発できるようになっています。所要1時間半ほどで、鍵のかかっている地下墓地や、聖エミリオンの住んでいた庵が見られます。ただし、写真撮影は禁止なので、しっかり目に焼き付けてきてくださいね。
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この記事を書いたナビゲーター
Hiroko Oji
旅の計画を練り、現地でその土地ならではの経験を楽しみ、帰ってきたら写真の整理をして旅行記や記事を書くと、一つの旅で3〜4回楽しんでいます。アメリカで大自然の偉大さに圧倒され、人生観が大きく変わりました…
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