未完の塔を持つ教会!運命に翻弄された蘭「ドルトレヒト大教会」

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未完の塔を持つ教会!運命に翻弄された蘭「ドルトレヒト大教会」

未完の塔を持つ教会!運命に翻弄された蘭「ドルトレヒト大教会」

更新日:2016/07/27 11:54

浅井 みらののプロフィール写真 浅井 みらの 総合旅行業務取扱管理者、総合旅程管理主任者、通訳案内士(英語)、世界遺産検定2級

スペインのサクラダ・ファミリアが140年以上、ドイツのケルン大聖堂が完成まで600年以上要したようにヨーロッパの建設工事は途方もない年月がかかります。無事完成すれば偉業ということになりますが、なかには長い年月の間にプラン変更や中止を余儀なくされた建築物も…。今回ご紹介する教会もそのひとつ。塔が完成しなかったものの、それでも街のシンボルとして愛され続ける「ドルトレヒト大教会」のお話です。

ヨットハーバーとの美しい2ショット

ヨットハーバーとの美しい2ショット

写真:浅井 みらの

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人口11万人が暮らすオランダの静かな街ドルトレヒト(Dordrecht)。アムステルダムやハーグより古い歴史を持ち、貿易で栄えた歴史があります。旧市街の中心地には、存在感あるレンガ造りの建物が。正式名称は聖母教会(The Church of Our Lady)ですが、ドルトレヒトで一番高い建物なので「大教会(Grote Kerk)」という名前で親しまれています。

教会の基礎が築かれたのは12世紀頃といわれていますが、本格的な工事が開始されたのは14世紀初め。100年ほどかけ、写真右側の塔が高さ50mほどまで完成し、残りあと半分という状態のときに、1457年6月に起きた火災が街の半分以上を襲ってしまいます。大教会含む主要エリアが無残にも焼失してしまったのです。

塔からはドルトレヒトの街が一望

塔からはドルトレヒトの街が一望

写真:浅井 みらの

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その後、教会の修復が進むものの塔の高さは50mのまま放置され続けました。その間に緩んだ地盤の影響で塔が沈下し始め、工事を復帰する頃には当初計画していた高さまで建設できないことが判明してしまいます。一時は塔全体を壊し、違うデザインにするアイデアも出てきましたが後日却下されました。

最終的に決着を迎えたのは1626年。強大な時計が塔上部の四方に設置されます。塔の高さは72mになり、展望エリアも設けられました。275段の階段を上りきれば、ドルトレヒトの街を見渡せます。3つの川が合流する景色や貨物船が頻繁に往来する様子、街の名所といえるヨットハーバーや水路まで見渡せ、様々な景色が一望できますよ。

教会の内部もご注目

教会の内部もご注目

写真:浅井 みらの

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塔だけでなく、教会内部にもご注目です。塔に上るには有料(おひとり1ユーロ/2016年6月時点)ですが、教会内部は無料で見学することができます。聖書の引用が多いステンドグラスに街の歴史を語るシーンが。写真正面のステンドグラスは1457年に起きた火災が題材となっています。青い空に立ち上る白い煙に、中心には燃え盛る教会の姿が描かれ、いかに深刻な被害を残したかが伺えますね。

装飾品の美しさにうっとり

装飾品の美しさにうっとり

写真:浅井 みらの

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聖歌隊用に設けられた木製椅子も見逃せないポイントです。1538-41年にかけて作成されたルネッサンス様式のもので、座席の仕切りや後ろのレリーフまで細かい彫刻が施されています。手前の天使も、まるで浮き上がっているような立体感が伝わってきます。

1671年に作られたオルガンも圧倒的な存在感を放っています。銀色のパイプオルガンに黒と金の2色の装飾品が加えられ、上品な華やかさが感じられます。その周りを石の彫刻が取り囲んでいますが、バイオリンやトランペット等が可愛らしく飾られてますので、訪れた際は是非見つけてみてくださいね。

お隣さんが教会

お隣さんが教会

写真:浅井 みらの

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教会の外を出て水路の方へ足を運べば、珍しいものがご覧になれますよ。教会の壁にぴったりとくっついて建てられた家が目に入ります。まるで教会の一部のように見えますが、こちらは一般の住宅エリアとなっており、住民の方が暮らしています。柵や門など仕切りがなく、いかに教会と住民との距離が近いかが伺えます。

ドルトレヒト大教会を訪れるなら天気が安定している4月から10月がお勧め。その間は塔に上ることもできます(月曜はお休み)。11月から3月に訪れる場合は、土曜の午後1時〜4時のみ訪問可能なのでご参考ください。

ヨーロッパ最大のカリヨン

目では見られないドルトレヒト大教会の魅力を最後にもうひとつ。完成を果たせなかった塔内部には67個の鐘がカリヨン(組み鐘)として街に美しい音色を響かせます。鐘の総重量は約55,000kgと、その数字だけで規模の大きさが分かりますよね。これはヨーロッパ最大のカリヨンとして登録され、祝日や特別な日に演奏を聞くことができます。塔が未完でカリヨンを長い間設置できなかったからこそ、1999年まで鐘を新しく追加することができました。運命に翻弄されながらも独自の建ち方を確立した姿に、思わず励まされる逞しい教会です。

掲載内容は執筆時点のものです。 2016/06/17 訪問

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