写真:やま かづ
地図を見る台湾の台東北部に位置する池上は豊かな自然に恵まれていたため、昔から稲作の盛んな土地でした。そのため、良質な「池上米」が開発され、今では台湾で最も有名なブランド米となっています。
かつて、台湾東部の花連と台東を結ぶ鉄道旅行は大変な時間がかかっていました。そのため、その中間に位置する池上で、竹の葉に包んだ簡素なお弁当を販売するようになりました。それが徐々に評判になり、池上が駅弁の元祖として名を馳せるようになりました。
そんな池上の稲作とお弁当の歴史を現在に伝えているのが「池上飯包文化故事館(池上弁当文化歴史博物館)」なんです。
写真:やま かづ
地図を見る池上駅前の大通りを数分歩くと「池上飯包文化故事館(池上弁当文化歴史博物館)」があります。2階建ての建物の正面にはかつて活躍していたであろう青色の客車が2両置かれており、「池上」の駅名表示板も見られます。
早速、駅弁をいただきたいところですが、まずは2階の「文化歴史博物館」を見学しておきましょう。
正面エントランス前の階段を上がると、そこは池上の米づくりの文化と歴史を伝えるための博物館となっており、当時の稲作のようすがわかる資料や写真が並べられています。また、実際に使われていた農機具や大鍋、かまどなどの炊飯用具も展示されており、昔の日本の農家を思わせるノスタルジーも感じます。
写真:やま かづ
地図を見る2階の「文化歴史博物館」で池上について勉強した後は、お待ちかねのお買い物&お弁当タイムです。
1階のエントランス前のロビーには池上米を初めとした池上特産の農産物、ドライフルーツや駄菓子、あるいは池上米を使ったアイスクリーム「池上米冰淇淋」などが売られています。
お米を買って帰るにはかなりの勇気が要りますが、池上米を使った台湾風せんべいなどは素朴な味わいで、ちょっとしたお土産によさそうです。
また、お目当ての池上弁当は1階奥の専用カウンターで販売しています。一般的に駅の売店で手に入るお弁当は数種類ですが、何とここでは常時10種類以上の駅弁を取り扱っています。
写真:やま かづ
地図を見る「池上弁当文化歴史博物館」の1階にはレトロなインテリアの広いイートイン・スペースがあり、無料のスープも準備されています。
さらに、屋外のエントランス前には大きなテーブルとソファがあります。加えて、屋外に展示されている2両の客車内でも食事できるようにテーブルと椅子が備えつけられています。車内にはクーラーもついていますので、旅情を味わいながら駅弁をつつきたい方はこれらの屋外スペースを使うこともできます。
写真:やま かづ
地図を見る館内では10種類以上の池上駅弁が売られていますが、何といっても一番人気は「正宗池上飯包(元祖池上弁当)」です。
木の箱に入れられた駅弁は紙で包んで輪ゴムでとめられており、懐古的な雰囲気が漂っています。ふたを開けると、揚げ豚肉の醤油煮、ショウガ、煮玉子、野菜の炒め物などいろいろな種類のおかずが白米の上に所狭しと並べられています。これは、おかずがのっていることで白飯の乾燥を防ぎ、また木の箱が余分な水分を吸収するため、冷めてもおいしく食べられるように工夫されているからです。
たしかに、でき立てのお弁当もおいしいですが、ある程度時間がたっても、もちっとした池上米の歯ごたえのあるお弁当も悪くはありません。
なお、包み紙の裏には池上弁当のおいしい食べ方が書かれています。それによると、まずはショウガを食べて口の中をさっぱりさせて白飯をほおばる。その香りを楽しんだ後、おかずを味わうというものです。
なるほど、お米に対するこだわりを感じる説明書きです。
台湾では「駅弁」を「便當(ビンダン)」と呼んでおり、これは日本語の「弁当」が語源となっています。かつては駅弁を売り子さんがホームで立ち売りしていましたが、今はその姿はありません。
しかし、もともと池上駅のホームで駅弁を販売していたのは「全美行」という弁当屋さんのみで、今でも池上駅前で営業を行っています。「全美行」でも昔ながらのお弁当を販売していますが、その種類は1種類のみで、店内に併設されたスーペースでいただくこともできます。
お米が大好きな日本人なら、台湾人のお米にかける情熱が理解できるはず。ぜひ一度現地を訪れて、池上米のおいしさに直接触れていただきたいものです。
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(2024/10/9更新)
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