写真:陽月 よつか
地図を見る奈良県奈良市、豪邸の並ぶ閑静なお屋敷街の中でひときわ目を惹く美しい日本家屋、それが今回ご紹介する和カフェ「みやけ(旧鴻池邸表屋)」です。一見するとすごいお邸ですが、まさにその通り!
こちらの建物は、旧鴻池邸表屋。かつては大阪市今橋にあった鴻池男爵家の本邸で、大塩平八郎の乱(1837年)で焼失後に再建されたお屋敷です。大阪美術倶楽部として使用された後、今はこちらに移築され、江戸時代の豪邸とはかくぞやとその威風を示しています。
お邸は石垣の上、通りから見上げれば松のあいだに客門付きの大塀が見えます。とろりと白い漆喰塗りの壁に黒い瓦葺きが映える、典型的な京阪豪商の町家建築です。2階に刻まれた虫籠窓(むしこまど)が美しく、階段を登ってゆくと見える1階の木枠の細格子と共に、門をくぐる前から日本情緒を感じさせてくれます。
写真:陽月 よつか
地図を見る門をくぐって左奥、カフェスペースはもちろん畳のお座敷です。お座敷の奥の窓には趣きのある竹林の庭が広がり、まるで避暑地に来たかのよう。竹庭を正面に眺めて座るか、広いお座敷でゆったり足を伸ばすか悩むところです。
そしてさあお菓子はお抹茶は…とその前に、何気なく置かれているので何気なく見てしまいがちながら、よくよく見るとジワジワくるのが調度品。なんと、美術館クラスが贅沢に飾られているのです。
例えば何気なく置いてある金箔張りの衝立は鴻池伝来の品とあり、諌鼓(かんこ)鶏の天下泰平の縁起図は永春斎(江戸時代の狩野派の画家)の画です。大人の背ほどもある文楽人形「熊谷次郎直実」や、晩翠の書も。藤村の詩を書いた書は詩集「夏草」の「晩秋の別離」、奈良を舞台に詠った一節です。また一時資料館だった名残りに、鴻池家の歴史的資料も展示してあります。
鴻池家ってもしかしてカナリすごい…? と、紐解けば期待を裏切りません。鴻池家は戦国時代の武将・山中鹿之介氏の子孫と伝えられ、清酒造りから始まり大坂随一の両替商・日本最大の財閥となった一族。「鴻池の犬」との落語ができるほど有名で、明治時代に設立した第十三国立銀行(鴻池銀行)は現・三菱東京UFJ銀行の前身の一つ、他にも逸話を数々数える歴史的一族なのです。
写真:陽月 よつか
地図を見るそんな富豪オーラの今も漂うお座敷ですが、連日多くの人がお店を訪れるのは建物ではなくお菓子ゆえ! こちらでいただけるお菓子は、1907年(明治40年)創業の高級老舗あんこ屋「三宅製餡」のこだわりぬいた絶品和風おやつなのです。
その原材料へのこだわりは、もはや採算度外視と言えるほど。良いものを惜しげもなく使い、最高に上質なお菓子を丁寧に作っているのです。本業たるあんこはもちろんのこと、果物は契約農家から、お抹茶は宇治の最高級抹茶、シロップや黒蜜も当然のように自家製などなど、こだわりを書き出せばキリがないほど。そのために量産できないものも多く、特に果蜜を使うものはほとんど数量限定となっています。
写真はあんみつ(570円)とお抹茶(セット300円、通常515円)。ちょっと小振り? いえいえ、写真のスプーンはティースプーンサイズではなくもっと大き目、なかなかボリュームがありますよ! 黒蜜と抹茶蜜を選ぶことができ、クリームあんみつもあります。あま〜くてほろっと崩れるあんこと甘すぎない黒蜜が、手作り寒天にとろんと絡む、幸せな王道あんみつです。
その他にもメニューはぜんざいや白玉ぜんざい、アイス系などさまざま。抹茶パフェ・黒糖きなこパフェも大人気。夏季のみ限定でかき氷もいただけます。また、テイクアウトの和菓子をお座敷でいただくこともできますよ。
写真:陽月 よつか
地図を見るそのテイクアウトできる和菓子たちがこちら。中庭のお隣、売店スペースで取り扱っています。お取り寄せ(配送)も可能でギフトセットもあり、また好みの内容で詰め合わせもして貰えるので、「今の季節らしいお菓子をこれくらいの取り合わせで」なんて頼み方をする方も。
手土産にも贈り物にも喜ばれること受けあいのお菓子たちですが、一番多いのは自宅用。カフェ帰りに、美味しかったから家族にも、となるのですね。人気の品は多々ありますが、特に人気が高いのは「パイ大福」。香ばしいパイ生地にもっちりとした大福が入っており、そのままでも美味しいのですが、いただく前にちょっと温めるとパイ生地のパリパリさと大福の柔らかさが増して、うっとりする美味しさに!
ほかにも定番のどらやきや塩豆大福、酒粕を練り込んだフィナンシェ「富のほうせき」、奈良土産にも最適な抹茶餡をミルク風味の生地で包んだ「ならさんぽ」など、芸術品のようなお菓子たちが店内にずらりと並んでいます。夏には斑まんじゅうや竹水ようかんといった風に、季節ごとの限定商品も。また、あんみつやかき氷に乗っているあんこもこちらで単品購入ができます。さすがあんこ屋さんですね。
写真:陽月 よつか
地図を見る新作「和じぇらーと」もおすすめです! 写真はミルクといちごのダブル(450円、シングル300円)。
片や奈良市唯一の牧場である植村牧場さんの新鮮ミルクから作った、優しく自然な甘さのミルクジェラート。片や大和郡山市の契約農家さんのいちごから手作りした、香料・着色料一切ナシの果実感あふれるいちごジェラート。それがダブルでいちごミルクにできるなんて、幸せすぎる!
種類はその2つに加え、抹茶、ブルーベリー、チョコレート、あずきの全部で6種類。それらの中から日替わりで4種類ずつ店頭に並びます。また6種のラインナップ自体も随時新作と入れかわる可能性があるので、気になるものはお早めにチェックしてくださいね。
アイスよりもまろやかでソフトクリームよりも濃厚な「和じぇらーと」は、8月半ばを目安にお取り寄せも始まる予定とのこと。自宅でも食べられるなんて楽しみですね
本格和カフェ「みやけ(旧鴻池邸表屋)」、いかがでしたでしょうか? お取り寄せは公式HPからも注文することができますよ。
また夏季のみ取り扱っているかき氷は、下記関連MEMOの「711年から冷えてます!氷の聖地・奈良より絶品かき氷4選をお届け」記事にてご紹介しています。ぜひ合わせてチェックしてみてくださいね。
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(2023/11/30更新)
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