写真:野口 まさゆき
地図を見る檀林とは寺院の尊称であるとともに、昔の僧侶の学問所のことです。飯高檀林は天正8年(1580年)に開設され、明治7年(1874年)までの294年間の歴史を誇る、日蓮宗の最古、最大、最高の檀林なんです。最盛期には約600人の僧侶が学び、数多くの名僧を輩出しました。
寺の入り口である立派な「総門」をくぐると、その先は巨大な杉並木に囲まれた参道が続きます。もともとこの地は中世の城郭だったため、「空堀」など城跡でよく見られる遺跡も残っています。空まで突き上げるような杉の木の太い幹と地上を這うような苔むした根。深い森に囲まれた参道には凛とした空気感が漂っています。
写真:野口 まさゆき
地図を見る参道の正面に大きな屋根の講堂が現れます。木造入母屋造で、規模は間口26.72m、奥行16.23m、県内では最大の重要文化財です。建立後、火災で一時は焼失しましたが1651年に再建され、その後1997年から2002年にかけての「平成の大修理」により再建当時の姿に復元されています。
講堂を挟むように「鐘楼」や「鼓楼」があり、「総門」とともに四つの建築物が国指定重要文化財になっているんです。また、67,000平方mを超える敷地全体が千葉県指定の史跡となっています。
江戸時代中期には水戸光圀公も檀林を訪れ、周辺には「池田堤」や「黄門桜」など光圀公にちなむ史跡も残っています。明治に入ると檀林は廃止されて飯高寺となり、学問所としては立正大学に歴史が受け継がれていきました。
毎年10月には「飯高檀林コンサート」が講堂前で開催され、美しい音色が境内に響き渡ります。また、敷地内にはカエデやモミジの木も多く秋の紅葉も美しいですよ。
写真:野口 まさゆき
地図を見る飯高寺から歩いて5分くらいのところにある「天神の森」。細くて急な階段を登り切ると小さな社殿と取り囲むようなスダジイの自然林が見事です。社殿脇の一番の巨木の根っこは異常に発達していて、一枚板のように地上に張り出しています。このような根は「板根」と言われ、南洋の熱帯雨林地域では多く見られますが、日本では珍しく学術的にも貴重な自然林なんです。
物の怪が出てきそうな鬱蒼としたスダジイの森。日常とは別世界のような畏敬のある雰囲気がとってもおススメです!
なお、飯高檀林跡(飯高寺)には駐車場が2ヶ所あり、天神の森や飯高神社、妙福寺などの周辺スポットを含め徒歩で約1時間のコースです。
写真:野口 まさゆき
地図を見る飯高寺から北西に約1kmに位置する安久山(あぐやま)地区。ここには市の天然記念物で県内最大級、全国でも十指に入るという大スダジイがあります。樹高25m、幹の周囲10m、樹齢約1,000年ともいわれています。この大スダジイの板根も曲がりくねったダイナミックさで、今にでも木が歩き出しそうな感じなんです!
この「安久山の大スダジイ」がある場所は民家の敷地内です。見学マナーには注意してください。そして「維持管理協力金」を庭にある小箱に入れてくださいね。車の場合は民家の隣地に駐車スペースが2台分ほどあります。
写真:野口 まさゆき
地図を見る大スダジイがある民家の裏庭からは、そのまま傾斜地を谷まで降りていく遊歩道があります。地元の人々の協力で作ったという、ほんとに手作りの道なんです。
道を下りきると目の前には美しい谷津田が広がります。周囲には人の気配は全くなく、稲穂が風になびく音と鳥の声しか聞こえてきません。
森の木々と田んぼや水辺、そしてそこに生きる虫や鳥たち。まさに生物多様性の世界が広がる里山がここにあるのです!
匝瑳市までは東京からは車で約2時間。京葉道路〜千葉東金道路〜圏央道経由、あるいは東関東自動車道〜国道296号経由が便利です。東京から鉄道利用の場合はJRの八日市場駅まで特急で90分、その後は市内循環バスなどで巡ることができます。
匝瑳市は太平洋や九十九里浜の恵みを受け、海のレジャーや新鮮な海鮮料理を味わうこともできます。「里山里海の両方の楽しさを満喫する!」そんな贅沢な旅はいかがですか!?
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この記事を書いたナビゲーター
野口 まさゆき
日本全国の里山を旅しながら風景写真を撮り歩いています。棚田や畑、川や橋、花や樹木、ローカル線等々の日本の原風景ともいえる場所を求め歩いています。歴史的な町並みや城址、古戦場も旅のポイントです。得意なエ…
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